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ep5初期推理その3・新たな連続殺人者
筆者-初出●Townmemory -(2009/08/23(Sun) 08:09:58)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=31448&no=0 (ミラー)
[Ep5当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
EP5を読み終えた、直後の考えを書き付けておくシリーズです。
ep5初期推理その1
ep5初期推理その2・ノックス十戒と赤字への疑問
以下が本文です。
☆
●ヱリカ犯人説序説
ep5を読んで、「今回の殺人犯は古戸ヱリカかな?」という直感がはたらきました。
なので、まずはヱリカ犯人説で、推理を組んでみようと思います。組んでみて、うまく整合しないようだったら、また別のやつを考えます。
さて、古戸ヱリカは、「謎に直面したい」「そして探偵したい」「謎を暴いて賞賛を得たい」という人です。そのためには何でもしそうですね。
彼女は、こんなことを言っています。
「私が旅行に行くと、必ず人が死ぬってお約束がありまして。」
もちろん、ジョークかもしれません。しかし、ジョークではないとしたら?
旅行に行くたび、偶然にも、かならず人死にに遭遇する。そんな馬鹿げたことは、確率的にありえません。「探偵小説じゃあるまいし」。
でも、こうだったらどうでしょう。
「古戸ヱリカは常習的な殺人者である。誰かに疑いがかかるような状況を用意したうえで人を殺す。そして、自分の用意したストーリーを探偵気取りで披露する」
これなら、旅行に行くたびに必ず人が死に、事件解決率は100パーセントです。
ep5の幻想大法廷のシーンで、このゲームにおける「真実」というものの扱いが、ある程度、提示されました。
夏妃が犯人だ、という推理をみんなが認めるならば、べつに夏妃が真犯人でなくても、魔女幻想は打ち破れる。
たとえ冤罪でも、つじつまさえ合っていれば「真実」ということでオッケー。
「本当に起こったこと」と、違っていても、かまわない。勝利条件を満たしてゲームクリア。ヱリカはベルンカステルの優秀な駒でしたー、となる。
ヱリカが暴く「真実」は、明らかに「そういう真実」です。
彼女は、金蔵がすでに死亡しており、最初から書斎にいなかったことを、確信していました。
金蔵の不在を確信していたにも関わらず、「金蔵が死体を移動させた」という推理を披露し、そのことに対して、疑問も、心のとがめも、一切感じていません。
彼女の考える「真実」とは、「その場にいる全員が納得する説明」です。
彼女は、本当のことを知りたい人、なのではなく、
「かっこよく誰かを告発し、そいつが犯人であることを、みんなに認めさせたい」
という願望の人だと思えます。
でも、現実的に考えて、その願望が、常に満たされるとは限りません。人間には限界があるのだから、解けない謎なんて当然あるでしょう。でも、彼女は、謎が解けないなんてことを自分に許すとは思えません。探偵気取りで振る舞ったあげく、答えがわからないなんてカッコワルイにもほどがあります。
謎が存在しなければならない。
それは必ず解けなければならない。
その最も簡単な方法は、自分で謎を作る、です。
郷田と熊沢の部屋に封印をした。事件が起こる前に。
ゲストハウスのすべての窓に封印をした。事件が起こる前に。
一晩中、何かが起こらないかどうか聞き耳を立てていた。事件が起こる前に。
そんな不自然な行動はありえません。事件が起こるとあらかじめ知っているのでない限り。
それだけの行動をしたあげく、夏妃がゲストハウス2階に上がるのだけはたまたま見逃した?
そんな説明を真に受けるよりは、「殺人者は古戸ヱリカであり、夏妃に罪を押しつけた」と考えるほうが自然です。
●朱志香説との関連
わたしはep1~4の殺人者は、例外的な局面を除いて、朱志香だと見ています。
(詳しくはこちらをご覧ください→ ■目次(全記事)■)
朱志香の殺人計画は、当然、ep5でも存在しました。
が、それを実行する前に、朱志香本人が殺されちゃった。そしてヱリカが、別の思惑に基づいて連続殺人を始めた。そういう感じで見ています。
ep5で描かれる現象のうち、いくつかは朱志香が起こしたものであり、それ以外はヱリカが起こしたものだと考えています。
●電話の男(ひとりめ)
電話の男は、どうも2人いるっぽい、という話はすでにしました。 →ep5初期推理その1【EP5ネタバレ注意】
電話は3回あるのですが、1回め(親族会議前)と2回め(4日深夜、秋のカード)の電話の男は「俺」なのに対し、3回め(5日朝、クローゼットの命令)は「僕」なのです。
ひっかけの可能性もありますが、ここは、「俺男」と「僕男」がいるのだと仮定することにします。
で、1回めと2回めの電話をかけてきた「俺男」は、朱志香だと見ます。
そんな電話をかけた理由は、夏妃を脅し、命令を聞かせるため。
聞かせたい命令とは、「親族会議を中座し、自室にこもり、一切の連絡を絶て」というもの。
どうしてそんな命令を聞かせたいのか。
親族会議のメンバーは、基本的に7人。夏妃が中座することで、6人になる。第一の晩の被害者をちょうど6人、一室に集められるから。
どうして、除外する1名に夏妃が選ばれたのか。
お母さんだから。お母さんをその手にかけたくないから。
●「秋」カードと逆トリック
夏妃の部屋にカードを仕込むためには、マスターキーがなければなりません。
わたしは「朱志香は6本めのマスターキーを持っている」という推理ですから、問題ありません。問題ある方は、源次か紗音から借りたことにするか、嘉音が実在しないことにして、彼の分のキーを朱志香が持ってることにして下さい。
カードは、タロットカードに酷似したデザインだということでした。それは、オカルトに精通した人物=従来の犯人、を容易に連想させ、整合します。
カードは、春夏秋冬、4枚用意された。これはOKだと思いますが、それはそれとして、朱志香は、夏妃が「秋」と答えることを知っていたのではないかと考えます。
もちろん、紗音から聞いたのです。
わたしはこれは、『四季』シリーズで有名な森博嗣リスペクトの「逆トリック」じゃないかと見ました。前にもちょっと書きました→ep5初期推理その1【EP5ネタバレ注意】
カードが4枚あるという簡単な謎が解けた人よりも、それが解けなくて、「紗音が怪しい」と思った人のほうが、実は真実に近いところに立っている。
そんな趣向ではないか、と考えました。ちょっと深読みがすぎるのかもしれませんが、そう思っておくと、個人的に面白くて好きなので、そう思うことにしました。
●ふたりめの「電話の男」
さて、本来の電話の男(俺男)=朱志香と夏妃との通話を、なんらかの方法で、今回の殺人犯が聞いていたとします。この推理では、ヱリカです。
朱志香が使っていたボイスチェンジャー(存在を推定)を入手すれば、同じ声が出せます。
4日深夜の電話を盗み聞きしたヱリカは、夏妃のアリバイをまるまる6時間空白にできることに気づき、それを利用します。
朱志香は、夏妃を犯行から遠ざけるために工作をしていたのですが、ヱリカはそれをまるっきり悪意で逆用します。
まず朱志香を殺し、「電話の男」という立場を乗っ取ります。
翌朝、蔵臼を縛り上げ、ボイスチェンジャーを使って夏妃に電話をかけます。そして、ある特定の時間帯に一時間、クローゼットで隠れん坊をしろと命令します。
もちろん、夏妃からアリバイを奪い、その時間帯に次の殺人を発生させることで、彼女を犯人に仕立て上げるためです。
蔵臼を人質に取る、というオプションは、いくつかの理由で、必要でした。
朱志香は、「19年前の罪を夫と娘にばらすぞ」という脅迫をしていました。
夫と娘のうち、娘のほう、朱志香が死んでしまっているのですから、この脅迫は効果が半減です。
だから、よりさしせまった、さらに強力な脅しのタネが必要だったのです。
もう一つ。夏妃の味方を、出来る限り取り除いておいたほうが良い。
夏妃が精神的に追い詰められすぎた場合、電話の脅迫を夫に知らせてしまう可能性が高い。蔵臼に知られれば、あとは全員が知るのはすぐのことで、そうなれば夏妃はクローゼットに隠れる必要をなくしますから、第二の晩の工作は失敗です。
続きます。
続き→ ep5初期推理その4・第一の晩
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
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筆者-初出●Townmemory -(2009/08/23(Sun) 08:09:58)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=31448&no=0 (ミラー)
[Ep5当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
EP5を読み終えた、直後の考えを書き付けておくシリーズです。
ep5初期推理その1
ep5初期推理その2・ノックス十戒と赤字への疑問
以下が本文です。
☆
●ヱリカ犯人説序説
ep5を読んで、「今回の殺人犯は古戸ヱリカかな?」という直感がはたらきました。
なので、まずはヱリカ犯人説で、推理を組んでみようと思います。組んでみて、うまく整合しないようだったら、また別のやつを考えます。
さて、古戸ヱリカは、「謎に直面したい」「そして探偵したい」「謎を暴いて賞賛を得たい」という人です。そのためには何でもしそうですね。
彼女は、こんなことを言っています。
「私が旅行に行くと、必ず人が死ぬってお約束がありまして。」
もちろん、ジョークかもしれません。しかし、ジョークではないとしたら?
旅行に行くたび、偶然にも、かならず人死にに遭遇する。そんな馬鹿げたことは、確率的にありえません。「探偵小説じゃあるまいし」。
でも、こうだったらどうでしょう。
「古戸ヱリカは常習的な殺人者である。誰かに疑いがかかるような状況を用意したうえで人を殺す。そして、自分の用意したストーリーを探偵気取りで披露する」
これなら、旅行に行くたびに必ず人が死に、事件解決率は100パーセントです。
ep5の幻想大法廷のシーンで、このゲームにおける「真実」というものの扱いが、ある程度、提示されました。
夏妃が犯人だ、という推理をみんなが認めるならば、べつに夏妃が真犯人でなくても、魔女幻想は打ち破れる。
たとえ冤罪でも、つじつまさえ合っていれば「真実」ということでオッケー。
「本当に起こったこと」と、違っていても、かまわない。勝利条件を満たしてゲームクリア。ヱリカはベルンカステルの優秀な駒でしたー、となる。
ヱリカが暴く「真実」は、明らかに「そういう真実」です。
彼女は、金蔵がすでに死亡しており、最初から書斎にいなかったことを、確信していました。
金蔵の不在を確信していたにも関わらず、「金蔵が死体を移動させた」という推理を披露し、そのことに対して、疑問も、心のとがめも、一切感じていません。
彼女の考える「真実」とは、「その場にいる全員が納得する説明」です。
彼女は、本当のことを知りたい人、なのではなく、
「かっこよく誰かを告発し、そいつが犯人であることを、みんなに認めさせたい」
という願望の人だと思えます。
でも、現実的に考えて、その願望が、常に満たされるとは限りません。人間には限界があるのだから、解けない謎なんて当然あるでしょう。でも、彼女は、謎が解けないなんてことを自分に許すとは思えません。探偵気取りで振る舞ったあげく、答えがわからないなんてカッコワルイにもほどがあります。
謎が存在しなければならない。
それは必ず解けなければならない。
その最も簡単な方法は、自分で謎を作る、です。
郷田と熊沢の部屋に封印をした。事件が起こる前に。
ゲストハウスのすべての窓に封印をした。事件が起こる前に。
一晩中、何かが起こらないかどうか聞き耳を立てていた。事件が起こる前に。
そんな不自然な行動はありえません。事件が起こるとあらかじめ知っているのでない限り。
それだけの行動をしたあげく、夏妃がゲストハウス2階に上がるのだけはたまたま見逃した?
そんな説明を真に受けるよりは、「殺人者は古戸ヱリカであり、夏妃に罪を押しつけた」と考えるほうが自然です。
●朱志香説との関連
わたしはep1~4の殺人者は、例外的な局面を除いて、朱志香だと見ています。
(詳しくはこちらをご覧ください→ ■目次(全記事)■)
朱志香の殺人計画は、当然、ep5でも存在しました。
が、それを実行する前に、朱志香本人が殺されちゃった。そしてヱリカが、別の思惑に基づいて連続殺人を始めた。そういう感じで見ています。
ep5で描かれる現象のうち、いくつかは朱志香が起こしたものであり、それ以外はヱリカが起こしたものだと考えています。
●電話の男(ひとりめ)
電話の男は、どうも2人いるっぽい、という話はすでにしました。 →ep5初期推理その1【EP5ネタバレ注意】
電話は3回あるのですが、1回め(親族会議前)と2回め(4日深夜、秋のカード)の電話の男は「俺」なのに対し、3回め(5日朝、クローゼットの命令)は「僕」なのです。
ひっかけの可能性もありますが、ここは、「俺男」と「僕男」がいるのだと仮定することにします。
で、1回めと2回めの電話をかけてきた「俺男」は、朱志香だと見ます。
そんな電話をかけた理由は、夏妃を脅し、命令を聞かせるため。
聞かせたい命令とは、「親族会議を中座し、自室にこもり、一切の連絡を絶て」というもの。
どうしてそんな命令を聞かせたいのか。
親族会議のメンバーは、基本的に7人。夏妃が中座することで、6人になる。第一の晩の被害者をちょうど6人、一室に集められるから。
どうして、除外する1名に夏妃が選ばれたのか。
お母さんだから。お母さんをその手にかけたくないから。
●「秋」カードと逆トリック
夏妃の部屋にカードを仕込むためには、マスターキーがなければなりません。
わたしは「朱志香は6本めのマスターキーを持っている」という推理ですから、問題ありません。問題ある方は、源次か紗音から借りたことにするか、嘉音が実在しないことにして、彼の分のキーを朱志香が持ってることにして下さい。
カードは、タロットカードに酷似したデザインだということでした。それは、オカルトに精通した人物=従来の犯人、を容易に連想させ、整合します。
カードは、春夏秋冬、4枚用意された。これはOKだと思いますが、それはそれとして、朱志香は、夏妃が「秋」と答えることを知っていたのではないかと考えます。
もちろん、紗音から聞いたのです。
わたしはこれは、『四季』シリーズで有名な森博嗣リスペクトの「逆トリック」じゃないかと見ました。前にもちょっと書きました→ep5初期推理その1【EP5ネタバレ注意】
カードが4枚あるという簡単な謎が解けた人よりも、それが解けなくて、「紗音が怪しい」と思った人のほうが、実は真実に近いところに立っている。
そんな趣向ではないか、と考えました。ちょっと深読みがすぎるのかもしれませんが、そう思っておくと、個人的に面白くて好きなので、そう思うことにしました。
●ふたりめの「電話の男」
さて、本来の電話の男(俺男)=朱志香と夏妃との通話を、なんらかの方法で、今回の殺人犯が聞いていたとします。この推理では、ヱリカです。
朱志香が使っていたボイスチェンジャー(存在を推定)を入手すれば、同じ声が出せます。
4日深夜の電話を盗み聞きしたヱリカは、夏妃のアリバイをまるまる6時間空白にできることに気づき、それを利用します。
朱志香は、夏妃を犯行から遠ざけるために工作をしていたのですが、ヱリカはそれをまるっきり悪意で逆用します。
まず朱志香を殺し、「電話の男」という立場を乗っ取ります。
翌朝、蔵臼を縛り上げ、ボイスチェンジャーを使って夏妃に電話をかけます。そして、ある特定の時間帯に一時間、クローゼットで隠れん坊をしろと命令します。
もちろん、夏妃からアリバイを奪い、その時間帯に次の殺人を発生させることで、彼女を犯人に仕立て上げるためです。
蔵臼を人質に取る、というオプションは、いくつかの理由で、必要でした。
朱志香は、「19年前の罪を夫と娘にばらすぞ」という脅迫をしていました。
夫と娘のうち、娘のほう、朱志香が死んでしまっているのですから、この脅迫は効果が半減です。
だから、よりさしせまった、さらに強力な脅しのタネが必要だったのです。
もう一つ。夏妃の味方を、出来る限り取り除いておいたほうが良い。
夏妃が精神的に追い詰められすぎた場合、電話の脅迫を夫に知らせてしまう可能性が高い。蔵臼に知られれば、あとは全員が知るのはすぐのことで、そうなれば夏妃はクローゼットに隠れる必要をなくしますから、第二の晩の工作は失敗です。
続きます。
続き→ ep5初期推理その4・第一の晩
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
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