※TYPE-MOONの記事はこちらから→ ■TYPE-MOON関連記事・もくじ■
※『うみねこのなく頃に』はこちらから→ ■うみねこ推理 目次■
月姫リメイク(6)天体の卵の正体・古い宇宙・続マリ/ラウ問題
筆者-Townmemory 初稿-2023年7月1日
前回(第5回)の後編です。直接的な続きとなりますので、少なくとも前回を読んでからここに来られることを強くお勧めします。
前回、「ロアが時間を巻き戻したい理由はいくつか考えられる」としましたが、そのいくつかの続き。
それと、マーリオゥ/ラウレンティス同一人物かそうでないか問題を別のアングルで再び取り上げます。
できれば順番にお読みいただくことを推奨します。
月姫リメイク(1)原理血戒と大規定・上
月姫リメイク(2)原理血戒と大規定・下
月姫リメイク(3)ロアの転生回数とヴローヴに与えた術式
月姫リメイク(4)ロアのイデア論・イデアブラッドって何よ
月姫リメイク(5)マーリオゥ/ラウレンティス同一人物問題・逆行運河したいロア
「いいね」はこちらをクリック
●ビッグバンの前にあったもの
「ロアさんはなぜ時間を逆行させたいのか」というお話の別案、というかバリエーションその2です。
前回は、「ロアはビッグバンの瞬間に何が起こっていたか知りたい。それこそ宇宙の秘密そのものだからだ」という話でした。
それはいいとして別の考え方もあります。
ロアが到達したいのは、
「ビッグバンが起こるよりさらに前、ビッグバン以前である」
という考えも魅力的だと思うので、そちらも掘っておきます。
(思いついたのはこちらの案が先でした)
ロアが遡行したいのはビッグバンの先。宇宙が始まるより前のところ。
宇宙はビッグバンのときに始まったのですが、じゃあビッグバン以前には何があったのか。これはだれしも思うような疑問ですよね。
現行の答えとしては、ビッグバン以前に宇宙はなかったので、その答えは無である……というか、無は有を前提とした概念なので無ですらないのですが、最近では「ビッグバン前にもなんかあるんじゃね?」という研究もあるそうです。
聞きかじりで適当なことを言いますが、最近の宇宙物理学では、ビッグバン以前はべつだん無ではなく、「古い宇宙があった」という説があるらしい。
古い宇宙がふくらみすぎ、年老いすぎて限界までくると、こんどは収縮を始め、どんどん小さくなり、最小まで圧縮される。
するとそれが爆発してビッグバンになり、新しい宇宙ができる。
どうやら宇宙は、ふいごみたいになっていて、最大までふくらむと最小まで縮むのである。
最小まで縮むたびに新たなビッグバンが起こって、宇宙が更新される。
もしこういう宇宙モデル(説)を、ロアが採用している場合、彼は何を思うだろう。
●宇宙の終焉
もしも時間をビッグバン「以前」まで巻き戻すことができるのなら、ロアは「古い宇宙の終わり」を見ることができる。
古い宇宙が終わりを迎えた姿は、考え方によっては「宇宙の究極の姿」「宇宙が最後にたどりつく究極のかたち」だろう。
そこにもし人がいるのなら、そのありかたは「人が最後に到達する究極の姿」だろう。
そこに世界があるのなら、「究極の世界のかたち」だろう。
そうではないかもしれないのだけど、ロアは、そうであってほしいと願って、それに賭ける可能性がある。
このまま鈍行列車に乗るような気持ちで、何千億回と転生を繰り返していけば、「現行の宇宙の最後の姿」を見ることもできるのかもしれない。
けれどロアはおそらく、転生に飽いてしまってる。もうそろそろ、転生を続けるのは無理そうだという感覚を持っている。(第3回を参照)
このまま鈍行列車に乗って、いまの宇宙の終点に行くことはできないなと思ったロアは、「ここらで一発、いっきに目的達成してやろう」と考える。
宇宙が始まる前まで逆戻りして、まえの宇宙の終点を見ようとする。
ロアがそういうことを考える可能性も、ありうるんじゃないかしら。
●もし時を戻せるなら
そして。
「いまの宇宙が生まれる前には、前の宇宙があった」
というのは、
「いまのロアが生まれる前には、前のロアがいた」
というのと、構造がまったく同じだ。
ロアがもし、「まえの宇宙を見ればいい」というアイデアを思いつくのだとしたら、思いついた理由はロアが転生者だからだ。
おそらくロアは、転生者になったことをものすごく後悔している。なるんじゃなかったと思ってる。
だからなるべく転生しなくてすむよう死徒になったし、四季が死んだら転生せずに志貴に乗り移ろうとする。
ロアはきっと、
「できることなら、転生を始める前の、最初の自分に戻りたい」
と思ってそうな気がする。
もし戻れたら、決して転生者になったりはしないのに。
彼が本心ではそう思っているのなら、
「時を戻したい。戻そう」
そういうたくらみを思いつくことができるし、そういう手法で見たいものを見ようという実験を考えつくことができる。
●ロアは朱い月に会いたいのか?
ロアは時間逆行して何をしたいのかシリーズその3。
(アイデアがどんどん発散してしまってますが、いいことにする)
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』ロアルートのロアは、憧れのアルクェイドがいつのまにか世間並みになっちゃってるせいでガッカリする。
ところがその後、アルクェイドの中から朱い月の側面が顔を出したとたんに歓喜するのです。
(どうもこのセリフを見ると、ロアはこれ以上転生できないという条件があるっぽいのですがそれはさておき)
このシーンを見ると、どうもロアの本命は朱い月なんじゃないかという感じがある。
彼がアルクェイドに執着するのは、彼女が朱い月を内包しているから、という読みができる。
そういえばロアは幼少時に、満月を見上げて「ああ、宇宙のすべてを知りたい」という動機を持ったのです。(たぶんこれが「八百年前に見た永遠」だろう)
ロアにとって、月は「宇宙におけるすべての秘密」を象徴するものだ。
月は「宇宙のすべての秘密の象徴」なので、千年城で「人の形をした月」(朱い月の側面を持つ女)に出会って、脳みそが沸騰してしまう。この女と永久に紐づいていたいと思って血を吸わせてしまう。
そういう感じだとしたら、ロアが真にフォーカスしているのは朱い月だということになる。
地球(この世界)と月は、いってみれば双子のようなもので、発生した瞬間から、お互いを見つめあってきたような間柄だ。
月は、人類の知らない世界の秘密を知っている。
だから、月にアクセスする。月の意思である朱い月に触れて何かを知ろうとする。
というようなことは、ロアがやろうとしてもおかしくはない。
で、前回仮説を立てた「地球ビッグバン理論」てのがあったでしょう。
宇宙を開闢したビッグバンがあるのなら、「小規模なひとつの宇宙」である地球を開闢した、地球ビッグバンがあってもいいんじゃないか。その地球ビッグバンの瞬間にアクセスできたら、地球の秘密は全部わかるんじゃないか。というような話。
(詳しくは前回を参照してください)
で。
地球のビッグバンまで遡行しようとすると、朱い月に会える可能性がある、と私は思っています。
これを説明するの、ちょっといろいろ寄り道が必要でややこしいのですが、まあ順繰りに読んでいって下さい。
●天体の卵とは何か
くりかえしますが前回推論した「地球ビッグバン説」を前提とした話になりますので、そちらを読んでからおいで下さることを強く推奨します。
シエルルートエクストラ、アルクェイドが肉体をぶっこわされて、その直後に光体となるシーン。
赤白い光が、一点からぶわっと広がっていく表現とともに、以下のような地の文があらわれます。
『月姫 -A piece of blue glass moon-』 14/果てずの石 Note.白亜の雪
※傍線は引用者による
傍線部分を取り出すとこうなります。
・天体の卵は通常、星の内海にある
・天体の卵は、宇宙の始まりを示すインフレーションを起こす
宇宙の始まりを示すインフレーションというのは、ふつうに読んだらビッグバンのことなので、
「天体の卵の正体は、地球を発生させた“地球ビッグバン”の核である」
ようするに、本稿の説における「地球ビッグバン」と、作中に出てくる用語「天体の卵」は、同じものである……と推定するわけです。
上の引用部によれば、天体の卵は、通常、星の内海にあるということなので、「地球ビッグバンは星の内海で起こった」と推定する。
ようするに、「地球ビッグバン」とは何なのか。べつだん、物体としての地球が大爆発によって発生したわけではない。
そうではなくて、「概念としての地球」が、「概念次元」(星の内海)において、「概念的大爆発」によって誕生したんだというような……。
まず地球という概念が爆発によって発生し、物体としての地球が、概念を覆うようにして後付けで出来てきた。
自分でも何言ってんのって感じなんですが、そうとしか言いようがない……。
ロアは「天体の卵」を求めている、と自分で言っています。
本稿の説では、ロアは「時間を逆流させることで地球を誕生させたビッグバンの瞬間に行きたい」。
ロア本人が言ってることによれば、彼は天体の卵を求めている。
その意味でも、天体の卵と地球創生ビッグバンは重なります。
で、さらに論理はツイストしていくのですが、
・時間を逆流させると地球創生ビッグバン(天体の卵)にたどりつける
・天体の卵は、星の内海にある
これを足し合わせると、
「地球創生ビッグバン(天体の卵)に向かおうとすると、自然に星の内海に行ける」
そして、星の内海には、天体の卵のほかに何があるのかというと、「月」がある見込みなのです。
●そこには彼がいる
月姫リメイクのヴローヴ戦のあたりで、星の内海に関する謎めいた地の文が出てきます。
画面に月が大写しになったうえで、以下の文章が挿入されます。
「ソラ」というのは、見上げる空と「時空」とのダブルミーニングのように読めます。
「ソラを覆う天蓋」というのは、「空ないし時空にフタがされている」くらいの意味に読めそうですね。
「空にフタをするもの」という文字表現とともに、月のビジュアルが表示されるのですから、ソラを覆う天蓋は「月」のことでいいと思います。
その「月」が、「星の内海」にあって、歌っていると地の文は語る。
この引用部、私に翻訳させると以下のようになります。
月は星の内海にいる。
地球のテクスチャーはまだ完全に貼られておらず、ブカブカ浮いちゃったり剥がれたりしてる。
月はそれを嘲笑ってる。
人間が人間向きのテクスチャーを必死で固定しようとしたり、二十七祖がそれを邪魔してひっぺがそうとしたり、ごちゃごちゃやってる状況を笑って見てる。
……ところで、
月は星の内海にあるの?
月はお空に浮かんでいますけど……。
でも、星の内海は概念次元なのですから(そう書いてありますから)、星の内海にいる月は実体のない「概念としての月」なのでしょう。
そういえば、TYPE-MOON世界には、実体を失って概念的な存在になるも、復活のときを待っている、月そのものと同一視されるような人物がおりました。
そいつは、地球の表面で人間と吸血鬼がごちゃごちゃやっているのを、コメディーとして笑って見てそうな人物だ。それは朱い月だ。
つまりロアは、この世の秘密を全て知りたいと願って時間を逆回しし、地球創生ビッグバンの瞬間まで遡行すると、その過程で、「彼にとっての宇宙の秘密の象徴」である朱い月に出会う可能性がある。
●「???」って誰なのよ
ロアに関してはいったんここまで。
続きまして、もういっかいマーリオゥ/ラウレンティス問題を取り上げます。
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』のマーリオゥルートにおけるラスボスは蒼崎青子です。
マーリオゥの目的は、ロアから不老不死の秘法を入手することです。
ところがゼルレッチから依頼を受けた蒼崎青子が、ロアを工房ごと爆破してしまったので、マーリオゥは重要なものを何も手に入れられなかった。なので破れかぶれになって青子に戦いを挑む、というお話でした。
いっぽう、蒼崎青子ルートは、マーリオゥとまったく同じ声でしゃべる謎の人物「???」が、青子に仕事を依頼するところから始まります。
依頼内容は「ロアを見つけて捕まえろ。工房は保全しろ」。青子はこの条件を受諾します。
青子は手加減がきかない人なので、結局こっちのルートでもロアと工房をまとめて爆破してしまうのですが、彼女は「これじゃあ報酬がもらえない!」と後悔していました。
このお話、両方とも「青子の行動とマーリオゥの思惑が背反する」というふうに要約できるっぽいので、一見、ほとんど同じに見えます。
でも実はぜんぜんちがうふたつの物語なんじゃないかという疑いを指摘したいのです。
この二つのお話が、同一に見えるのは、青子ルートの依頼者である謎の人物「???」が、マーリオゥの声でしゃべり、マーリオゥが依頼しそうなことを依頼するからです。
だけど、この人物がマーリオゥなら、「マーリオゥ」と書けばいいじゃないか。なんでハテナマークでぼやかすのだろう。
蒼崎青子は、マーリオゥのことを「司祭代行」と呼びます。
いっぽう、青子ルートでは、謎の人物「???」氏のことを、彼女は「司祭」と呼ぶのです。
こうなると。
マーリオゥと、謎の人物「???」は、別人なのではないか。
マーリオゥ「司祭代行」は、ラウレンティスの代行を務めている人だ。
じゃあ、青子に「司祭」と呼ばれている人物は?
ラウレンティスその人なんじゃないか。
●ラウレンティスは阻止しなくてよい
以下、「???」司祭がラウレンティス本人ならば、お話はどんな様相を呈するのかを示します。
「???」司祭(暫定ラウレンティス)が登場するのは蒼崎青子ルートです。
青子は、「不老不死の秘術を聞き出す前にロアを倒しちゃった」ことを後悔しています。「???」司祭からお金がもらえないからです。
このルートの青子は、「不老不死の秘術を聞き出すつもりだった」ことになります。
いっぽう、マーリオゥルートでは、青子は意図的にロアと工房をぶっこわします。
なぜならゼルレッチから「マーリオゥとロアを取引させるな」「ロアの文献をマーリオゥに渡すな」と厳命されていたからです。
このルートの青子は「マーリオゥに不老不死の秘術を与えない」ことを目的としていたのです。
蒼崎青子ルートでは、「???」司祭に不老不死の秘術を与えるつもりだった。
マーリオゥルートでは、マーリオゥに不老不死の秘術を与えないつもりだった。
これらの条件を素直に受け取るなら、こうなるんじゃないでしょうか。
「???」司祭=ラウレンティスがロアから不老不死の秘術を入手しても、世界はべつだん滅びない。
よってゼルレッチは、秘術の入手阻止を蒼崎青子に依頼しない。
マーリオゥがロアと取引をする(秘術を手に入れる)と、世界が滅びる。
だからゼルレッチは、その阻止を蒼崎青子に依頼する。
前回、詳しく検討しましたが、
マーリオゥは若返りの呪いを受けているので、「時間は戻るもの」という原理を持っている。
「時間は戻るもの」という原理をロアが入手してしまうと、時間を宇宙開闢まで巻き戻そうとするロアの儀式は成功してしまう。
という推定ですので、
ここまでの流れを是とするなら、
「マーリオゥは際限なく若返る」
「マーリオゥは『時間は戻るもの』という原理を持っている」
「この原理をロアが入手すると、世界中の時間が巻き戻り、滅ぶ」
「だからマーリオゥとロアを取引させてはならない」
「ラウレンティスとロアを取引させても(不老不死の秘術を入手させても)かまわない」
「ということはラウレンティスは『時間は戻るもの』という原理を持っていない」
「ならば、ラウレンティスにかけられた呪いは若返りではない」
(たぶん際限なく老衰する呪い)
という感じになりそうです。
ところで、この二つの物語にはもうひとつ大きな違いがあります。
●青子と橙子の呪い対応
「???」司祭が出てくる蒼崎青子ルートでは、蒼崎青子は、呪いの進行を「自分が」抑制してあげられる、と受け取れる発言をしています。
いっぽう、マーリオゥルートでの青子は、マーリオゥの呪いの進行を「蒼崎橙子が」抑制できるというのです。
どうもこれ、
・ラウレンティスの呪いを青子は止めることができるが橙子はできない。
・マーリオゥの呪いを橙子は止めることができるが青子はできない。
みたいな条件があるっぽいですね。
(ラウレンティスのほうは「青子も橙子も」止められる、でもいいが)
ラウレンティスの呪いとは肉体時間に関するものである、という現状の推定をよしとするなら、
「呪いを受けたという原因と、呪いの効果が肉体に反映されるという結果を結んでいる糸をびよんびよんに伸ばして放り捨てる」
ことで、青子は時間の呪いを止めることができそうではあります。
「現在のラウレンティスという結果と、過去のラウレンティスという原因を、定期的に入れ替える」でも現状維持が可能かもしれない。
だけどそれなら、マーリオゥの時間の呪いも同様に抑制できそうな気はするんですよねぇ……。
いろいろ前提が間違っているのかもしれない。
マーリオゥと橙子のほうは、「マーリオゥをもう一人つくる」みたいなインチキで対応できそうな感じはしています。
若返りの呪いの作用はマーリオゥのもう一つの体のほうが受け持つので、マーリオゥ本人は若返りをしなくなる、とか。
「マーリオゥの体のスペアを作り、マーリオゥ本人の若返りが限界にくるたびに新しい体に魂を乗せ換える」
などでもいい。
いまのところどうも、パキッとした答えにはならないのですが、そのうちぽろっと解けそうな気もするので、宿題として保持しておくことにします。
今回はここまで。
次回、阿良句博士の所業をあばく。および、もう一度フランス事変。その他こまかい謎。
続き。
月姫リメイク(7)すべてが阿良句博士のしわざ・ロアの転生回数再び
■この記事を気に入った方はX(旧Twitter)にてリポスト(リンク)をお願いします。
クリックでブログランキングに投票できます
※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
※『うみねこのなく頃に』はこちらから→ ■うみねこ推理 目次■
月姫リメイク(6)天体の卵の正体・古い宇宙・続マリ/ラウ問題
筆者-Townmemory 初稿-2023年7月1日
前回(第5回)の後編です。直接的な続きとなりますので、少なくとも前回を読んでからここに来られることを強くお勧めします。
前回、「ロアが時間を巻き戻したい理由はいくつか考えられる」としましたが、そのいくつかの続き。
それと、マーリオゥ/ラウレンティス同一人物かそうでないか問題を別のアングルで再び取り上げます。
できれば順番にお読みいただくことを推奨します。
月姫リメイク(1)原理血戒と大規定・上
月姫リメイク(2)原理血戒と大規定・下
月姫リメイク(3)ロアの転生回数とヴローヴに与えた術式
月姫リメイク(4)ロアのイデア論・イデアブラッドって何よ
月姫リメイク(5)マーリオゥ/ラウレンティス同一人物問題・逆行運河したいロア
「いいね」はこちらをクリック
●ビッグバンの前にあったもの
「ロアさんはなぜ時間を逆行させたいのか」というお話の別案、というかバリエーションその2です。
前回は、「ロアはビッグバンの瞬間に何が起こっていたか知りたい。それこそ宇宙の秘密そのものだからだ」という話でした。
それはいいとして別の考え方もあります。
ロアが到達したいのは、
「ビッグバンが起こるよりさらに前、ビッグバン以前である」
という考えも魅力的だと思うので、そちらも掘っておきます。
(思いついたのはこちらの案が先でした)
ロアが遡行したいのはビッグバンの先。宇宙が始まるより前のところ。
宇宙はビッグバンのときに始まったのですが、じゃあビッグバン以前には何があったのか。これはだれしも思うような疑問ですよね。
現行の答えとしては、ビッグバン以前に宇宙はなかったので、その答えは無である……というか、無は有を前提とした概念なので無ですらないのですが、最近では「ビッグバン前にもなんかあるんじゃね?」という研究もあるそうです。
聞きかじりで適当なことを言いますが、最近の宇宙物理学では、ビッグバン以前はべつだん無ではなく、「古い宇宙があった」という説があるらしい。
古い宇宙がふくらみすぎ、年老いすぎて限界までくると、こんどは収縮を始め、どんどん小さくなり、最小まで圧縮される。
するとそれが爆発してビッグバンになり、新しい宇宙ができる。
どうやら宇宙は、ふいごみたいになっていて、最大までふくらむと最小まで縮むのである。
最小まで縮むたびに新たなビッグバンが起こって、宇宙が更新される。
もしこういう宇宙モデル(説)を、ロアが採用している場合、彼は何を思うだろう。
●宇宙の終焉
もしも時間をビッグバン「以前」まで巻き戻すことができるのなら、ロアは「古い宇宙の終わり」を見ることができる。
古い宇宙が終わりを迎えた姿は、考え方によっては「宇宙の究極の姿」「宇宙が最後にたどりつく究極のかたち」だろう。
そこにもし人がいるのなら、そのありかたは「人が最後に到達する究極の姿」だろう。
そこに世界があるのなら、「究極の世界のかたち」だろう。
そうではないかもしれないのだけど、ロアは、そうであってほしいと願って、それに賭ける可能性がある。
このまま鈍行列車に乗るような気持ちで、何千億回と転生を繰り返していけば、「現行の宇宙の最後の姿」を見ることもできるのかもしれない。
けれどロアはおそらく、転生に飽いてしまってる。もうそろそろ、転生を続けるのは無理そうだという感覚を持っている。(第3回を参照)
このまま鈍行列車に乗って、いまの宇宙の終点に行くことはできないなと思ったロアは、「ここらで一発、いっきに目的達成してやろう」と考える。
宇宙が始まる前まで逆戻りして、まえの宇宙の終点を見ようとする。
ロアがそういうことを考える可能性も、ありうるんじゃないかしら。
●もし時を戻せるなら
そして。
「いまの宇宙が生まれる前には、前の宇宙があった」
というのは、
「いまのロアが生まれる前には、前のロアがいた」
というのと、構造がまったく同じだ。
ロアがもし、「まえの宇宙を見ればいい」というアイデアを思いつくのだとしたら、思いついた理由はロアが転生者だからだ。
おそらくロアは、転生者になったことをものすごく後悔している。なるんじゃなかったと思ってる。
だからなるべく転生しなくてすむよう死徒になったし、四季が死んだら転生せずに志貴に乗り移ろうとする。
ロアはきっと、
「できることなら、転生を始める前の、最初の自分に戻りたい」
と思ってそうな気がする。
もし戻れたら、決して転生者になったりはしないのに。
彼が本心ではそう思っているのなら、
「時を戻したい。戻そう」
そういうたくらみを思いつくことができるし、そういう手法で見たいものを見ようという実験を考えつくことができる。
●ロアは朱い月に会いたいのか?
ロアは時間逆行して何をしたいのかシリーズその3。
(アイデアがどんどん発散してしまってますが、いいことにする)
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』ロアルートのロアは、憧れのアルクェイドがいつのまにか世間並みになっちゃってるせいでガッカリする。
ところがその後、アルクェイドの中から朱い月の側面が顔を出したとたんに歓喜するのです。
(真祖アルクェイド)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 ロアルート
戯れだ、一撃(くちづけ)を許す。
その血、その魂を捧げるように、
最期の生を叫ぶがよい。
(ロア)
は―――それでこそ、それでこそだ!
八百年前、私は確かに永遠を見た。
あの時よりいささかも色あせない月の姫よ―――!
十八度目の死、最期の転生を、ここで燃やし尽くして
ご覧に入れよう!
(どうもこのセリフを見ると、ロアはこれ以上転生できないという条件があるっぽいのですがそれはさておき)
このシーンを見ると、どうもロアの本命は朱い月なんじゃないかという感じがある。
彼がアルクェイドに執着するのは、彼女が朱い月を内包しているから、という読みができる。
そういえばロアは幼少時に、満月を見上げて「ああ、宇宙のすべてを知りたい」という動機を持ったのです。(たぶんこれが「八百年前に見た永遠」だろう)
―――それは、彼が他人(ひと)の人生を学ぶ前。『月姫 -A piece of blue glass moon-』 7/孵化逆I Note.憐憫
まだ幼い、子供の頃の話。
(略)
私は今でも覚えている。
父の目を盗んで、一夜だけの旅に出たあの時間を。
たかくたかく、
何の支えもなく私を見つめていた、あの石の不思議さを。
空に輝く白い円盤と、その円盤を霞ませる雲。
あれはなんなのか。
どのような意図で、どのような仕組みで在るものなのか。
手の届かないものに対する期待、興味、恐怖。
(略)
彼はこの時、宇宙のすべてを論理的に明かしたいと、天上の主に願ったのだ。
ロアにとって、月は「宇宙におけるすべての秘密」を象徴するものだ。
月は「宇宙のすべての秘密の象徴」なので、千年城で「人の形をした月」(朱い月の側面を持つ女)に出会って、脳みそが沸騰してしまう。この女と永久に紐づいていたいと思って血を吸わせてしまう。
そういう感じだとしたら、ロアが真にフォーカスしているのは朱い月だということになる。
地球(この世界)と月は、いってみれば双子のようなもので、発生した瞬間から、お互いを見つめあってきたような間柄だ。
月は、人類の知らない世界の秘密を知っている。
だから、月にアクセスする。月の意思である朱い月に触れて何かを知ろうとする。
というようなことは、ロアがやろうとしてもおかしくはない。
で、前回仮説を立てた「地球ビッグバン理論」てのがあったでしょう。
宇宙を開闢したビッグバンがあるのなら、「小規模なひとつの宇宙」である地球を開闢した、地球ビッグバンがあってもいいんじゃないか。その地球ビッグバンの瞬間にアクセスできたら、地球の秘密は全部わかるんじゃないか。というような話。
(詳しくは前回を参照してください)
で。
地球のビッグバンまで遡行しようとすると、朱い月に会える可能性がある、と私は思っています。
これを説明するの、ちょっといろいろ寄り道が必要でややこしいのですが、まあ順繰りに読んでいって下さい。
●天体の卵とは何か
くりかえしますが前回推論した「地球ビッグバン説」を前提とした話になりますので、そちらを読んでからおいで下さることを強く推奨します。
シエルルートエクストラ、アルクェイドが肉体をぶっこわされて、その直後に光体となるシーン。
赤白い光が、一点からぶわっと広がっていく表現とともに、以下のような地の文があらわれます。
それは、言ってみれば原理の種だった。
10のマイナス15乗メートルの極点に圧縮された、この領域の全情報。
星の内海、概念次元にあるかぎりは何の異常も呼び起こさない天体の卵。
だが、それが物質として出現してしまった時、膨大なエネルギーは極点では抑えきれなくなり、急速に膨張する。
天文学において膨張現象(インフレーション)と呼ばれる、
宇宙の始まりを示す現象。
極小ではあるがそれに類似したモノが、この領域で起きようとしている―――!
『月姫 -A piece of blue glass moon-』 14/果てずの石 Note.白亜の雪
※傍線は引用者による
傍線部分を取り出すとこうなります。
・天体の卵は通常、星の内海にある
・天体の卵は、宇宙の始まりを示すインフレーションを起こす
宇宙の始まりを示すインフレーションというのは、ふつうに読んだらビッグバンのことなので、
「天体の卵の正体は、地球を発生させた“地球ビッグバン”の核である」
ようするに、本稿の説における「地球ビッグバン」と、作中に出てくる用語「天体の卵」は、同じものである……と推定するわけです。
上の引用部によれば、天体の卵は、通常、星の内海にあるということなので、「地球ビッグバンは星の内海で起こった」と推定する。
ようするに、「地球ビッグバン」とは何なのか。べつだん、物体としての地球が大爆発によって発生したわけではない。
そうではなくて、「概念としての地球」が、「概念次元」(星の内海)において、「概念的大爆発」によって誕生したんだというような……。
まず地球という概念が爆発によって発生し、物体としての地球が、概念を覆うようにして後付けで出来てきた。
自分でも何言ってんのって感じなんですが、そうとしか言いようがない……。
ロアは「天体の卵」を求めている、と自分で言っています。
―――さて。『月姫 -A piece of blue glass moon-』 11/後日談。 Note.カルマの清算
それでは、カレとの約束通り宴を始めよう。
天体の卵。
永遠の証明。
大いなる主の愛に応える為―――
―――私のパンティオンを、起動させるのだ。
本稿の説では、ロアは「時間を逆流させることで地球を誕生させたビッグバンの瞬間に行きたい」。
ロア本人が言ってることによれば、彼は天体の卵を求めている。
その意味でも、天体の卵と地球創生ビッグバンは重なります。
で、さらに論理はツイストしていくのですが、
・時間を逆流させると地球創生ビッグバン(天体の卵)にたどりつける
・天体の卵は、星の内海にある
これを足し合わせると、
「地球創生ビッグバン(天体の卵)に向かおうとすると、自然に星の内海に行ける」
そして、星の内海には、天体の卵のほかに何があるのかというと、「月」がある見込みなのです。
●そこには彼がいる
月姫リメイクのヴローヴ戦のあたりで、星の内海に関する謎めいた地の文が出てきます。
画面に月が大写しになったうえで、以下の文章が挿入されます。
星の内海、ソラを覆う天蓋は謳う。『月姫 -A piece of blue glass moon-』 5/絶海凍土 Note.凍土のワルツ
祖に呪いあれ。
人の世に呪いあれ。
いまだ原理は定着せず。この星の礎(いしずえ)はあまりに脆い。
「ソラ」というのは、見上げる空と「時空」とのダブルミーニングのように読めます。
「ソラを覆う天蓋」というのは、「空ないし時空にフタがされている」くらいの意味に読めそうですね。
「空にフタをするもの」という文字表現とともに、月のビジュアルが表示されるのですから、ソラを覆う天蓋は「月」のことでいいと思います。
その「月」が、「星の内海」にあって、歌っていると地の文は語る。
この引用部、私に翻訳させると以下のようになります。
月は星の内海にいる。
地球のテクスチャーはまだ完全に貼られておらず、ブカブカ浮いちゃったり剥がれたりしてる。
月はそれを嘲笑ってる。
人間が人間向きのテクスチャーを必死で固定しようとしたり、二十七祖がそれを邪魔してひっぺがそうとしたり、ごちゃごちゃやってる状況を笑って見てる。
……ところで、
月は星の内海にあるの?
月はお空に浮かんでいますけど……。
でも、星の内海は概念次元なのですから(そう書いてありますから)、星の内海にいる月は実体のない「概念としての月」なのでしょう。
そういえば、TYPE-MOON世界には、実体を失って概念的な存在になるも、復活のときを待っている、月そのものと同一視されるような人物がおりました。
そいつは、地球の表面で人間と吸血鬼がごちゃごちゃやっているのを、コメディーとして笑って見てそうな人物だ。それは朱い月だ。
つまりロアは、この世の秘密を全て知りたいと願って時間を逆回しし、地球創生ビッグバンの瞬間まで遡行すると、その過程で、「彼にとっての宇宙の秘密の象徴」である朱い月に出会う可能性がある。
●「???」って誰なのよ
ロアに関してはいったんここまで。
続きまして、もういっかいマーリオゥ/ラウレンティス問題を取り上げます。
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』のマーリオゥルートにおけるラスボスは蒼崎青子です。
マーリオゥの目的は、ロアから不老不死の秘法を入手することです。
ところがゼルレッチから依頼を受けた蒼崎青子が、ロアを工房ごと爆破してしまったので、マーリオゥは重要なものを何も手に入れられなかった。なので破れかぶれになって青子に戦いを挑む、というお話でした。
いっぽう、蒼崎青子ルートは、マーリオゥとまったく同じ声でしゃべる謎の人物「???」が、青子に仕事を依頼するところから始まります。
依頼内容は「ロアを見つけて捕まえろ。工房は保全しろ」。青子はこの条件を受諾します。
青子は手加減がきかない人なので、結局こっちのルートでもロアと工房をまとめて爆破してしまうのですが、彼女は「これじゃあ報酬がもらえない!」と後悔していました。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 蒼崎青子ルート
あ。やば、倒しちゃった――!?
不老不死の秘術とやらを
聞き出さなきゃいけなかったのにぃぃ――!
グッバイ、私のボーナス!
このお話、両方とも「青子の行動とマーリオゥの思惑が背反する」というふうに要約できるっぽいので、一見、ほとんど同じに見えます。
でも実はぜんぜんちがうふたつの物語なんじゃないかという疑いを指摘したいのです。
この二つのお話が、同一に見えるのは、青子ルートの依頼者である謎の人物「???」が、マーリオゥの声でしゃべり、マーリオゥが依頼しそうなことを依頼するからです。
だけど、この人物がマーリオゥなら、「マーリオゥ」と書けばいいじゃないか。なんでハテナマークでぼやかすのだろう。
蒼崎青子は、マーリオゥのことを「司祭代行」と呼びます。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 マーリオゥルート
―――何か問題ある、マーリオゥ司祭代行?
吸血鬼を退治するのがアナタたちのお仕事だもの。
いっぽう、青子ルートでは、謎の人物「???」氏のことを、彼女は「司祭」と呼ぶのです。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 蒼崎青子ルート
あら、守りが薄いと思ったら、
司祭様におかれましてはお忍びだったんだ。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 蒼崎青子ルート
司祭ともあろう方がイライラしちゃってさー。
あ。その体質のせいで怒りっぽいの?
こうなると。
マーリオゥと、謎の人物「???」は、別人なのではないか。
マーリオゥ「司祭代行」は、ラウレンティスの代行を務めている人だ。
じゃあ、青子に「司祭」と呼ばれている人物は?
ラウレンティスその人なんじゃないか。
●ラウレンティスは阻止しなくてよい
以下、「???」司祭がラウレンティス本人ならば、お話はどんな様相を呈するのかを示します。
「???」司祭(暫定ラウレンティス)が登場するのは蒼崎青子ルートです。
青子は、「不老不死の秘術を聞き出す前にロアを倒しちゃった」ことを後悔しています。「???」司祭からお金がもらえないからです。
このルートの青子は、「不老不死の秘術を聞き出すつもりだった」ことになります。
いっぽう、マーリオゥルートでは、青子は意図的にロアと工房をぶっこわします。
なぜならゼルレッチから「マーリオゥとロアを取引させるな」「ロアの文献をマーリオゥに渡すな」と厳命されていたからです。
このルートの青子は「マーリオゥに不老不死の秘術を与えない」ことを目的としていたのです。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 マーリオゥルート
感謝こそされ、
煙たがられるなんて事はないでしょ?
たとえば―――死徒が残した文献を残らず秘匿しよう、
なんて考えでもないかぎりは。
(略)
でも、ちょっとだけ虫の知らせはあったかな。
ゼルレッチの爺さんから電話があってさー。
なんでも、このまま貴方がロアと取引すると、
何もかも悪い方に転がっていくんだとか。
蒼崎青子ルートでは、「???」司祭に不老不死の秘術を与えるつもりだった。
マーリオゥルートでは、マーリオゥに不老不死の秘術を与えないつもりだった。
これらの条件を素直に受け取るなら、こうなるんじゃないでしょうか。
「???」司祭=ラウレンティスがロアから不老不死の秘術を入手しても、世界はべつだん滅びない。
よってゼルレッチは、秘術の入手阻止を蒼崎青子に依頼しない。
マーリオゥがロアと取引をする(秘術を手に入れる)と、世界が滅びる。
だからゼルレッチは、その阻止を蒼崎青子に依頼する。
前回、詳しく検討しましたが、
マーリオゥは若返りの呪いを受けているので、「時間は戻るもの」という原理を持っている。
「時間は戻るもの」という原理をロアが入手してしまうと、時間を宇宙開闢まで巻き戻そうとするロアの儀式は成功してしまう。
という推定ですので、
ここまでの流れを是とするなら、
「マーリオゥは際限なく若返る」
「マーリオゥは『時間は戻るもの』という原理を持っている」
「この原理をロアが入手すると、世界中の時間が巻き戻り、滅ぶ」
「だからマーリオゥとロアを取引させてはならない」
「ラウレンティスとロアを取引させても(不老不死の秘術を入手させても)かまわない」
「ということはラウレンティスは『時間は戻るもの』という原理を持っていない」
「ならば、ラウレンティスにかけられた呪いは若返りではない」
(たぶん際限なく老衰する呪い)
という感じになりそうです。
ところで、この二つの物語にはもうひとつ大きな違いがあります。
●青子と橙子の呪い対応
「???」司祭が出てくる蒼崎青子ルートでは、蒼崎青子は、呪いの進行を「自分が」抑制してあげられる、と受け取れる発言をしています。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 蒼崎青子ルート
司祭ともあろう方がイライラしちゃってさー。
あ。その体質のせいで怒りっぽいの?
(???)
そうだよ。分かってんじゃねえか。
これが最後のチャンスだったってのにな!
(蒼崎青子)
? 応急処置でいいならできるよ?
ようはそれ、止めればいいんでしょ?
(???)
なん―――だと―――?
いっぽう、マーリオゥルートでの青子は、マーリオゥの呪いの進行を「蒼崎橙子が」抑制できるというのです。
(蒼崎青子)『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』 マーリオゥルート
それなんだけど。
現状維持でいいなら手が無くもないわ。
ようは………しなければいいんでしょう?
ならうちの姉貴に相談してみて
そういう小ずるい逃げ道を考案することに関しちゃあ、
右に出るヤツはいない変人よ。
どうもこれ、
・ラウレンティスの呪いを青子は止めることができるが橙子はできない。
・マーリオゥの呪いを橙子は止めることができるが青子はできない。
みたいな条件があるっぽいですね。
(ラウレンティスのほうは「青子も橙子も」止められる、でもいいが)
ラウレンティスの呪いとは肉体時間に関するものである、という現状の推定をよしとするなら、
「呪いを受けたという原因と、呪いの効果が肉体に反映されるという結果を結んでいる糸をびよんびよんに伸ばして放り捨てる」
ことで、青子は時間の呪いを止めることができそうではあります。
「現在のラウレンティスという結果と、過去のラウレンティスという原因を、定期的に入れ替える」でも現状維持が可能かもしれない。
だけどそれなら、マーリオゥの時間の呪いも同様に抑制できそうな気はするんですよねぇ……。
いろいろ前提が間違っているのかもしれない。
マーリオゥと橙子のほうは、「マーリオゥをもう一人つくる」みたいなインチキで対応できそうな感じはしています。
若返りの呪いの作用はマーリオゥのもう一つの体のほうが受け持つので、マーリオゥ本人は若返りをしなくなる、とか。
「マーリオゥの体のスペアを作り、マーリオゥ本人の若返りが限界にくるたびに新しい体に魂を乗せ換える」
などでもいい。
いまのところどうも、パキッとした答えにはならないのですが、そのうちぽろっと解けそうな気もするので、宿題として保持しておくことにします。
今回はここまで。
次回、阿良句博士の所業をあばく。および、もう一度フランス事変。その他こまかい謎。
続き。
月姫リメイク(7)すべてが阿良句博士のしわざ・ロアの転生回数再び
■この記事を気に入った方はX(旧Twitter)にてリポスト(リンク)をお願いします。
クリックでブログランキングに投票できます
※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
(当ブログは名無しの投稿を推奨しておりません。なにがしかの名前を名乗ることによって「他とは異なる自分」を主張していただきたいと思います)