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ep5狂言説あれこれ2・夏妃を陥れるつもりはなかった?
筆者-初出●Townmemory -(2009/09/18(Fri) 09:48:31)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=32722&no=0 (ミラー)
[Ep5当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
「ep5は夏妃を陥れるための狂言」、というメジャーな推理について、考えるシリーズです。この路線、思った以上に細部の整合がむずかしいです。
ep5狂言説あれこれ1・ノック狂言説
以下が本文です。
☆
これは、個人的にまだ採用できていない「ep5狂言説」を、自分が納得できるくらいに成立させてみよう、というこころみです。
ここでは、
「留弗夫夫妻、絵羽夫妻、楼座が、子供たちを使って、『殺人事件があったフリ』という狂言を企てた。それは金蔵がすでに死んでいることを夏妃に認めさせることを目的としていた」
という説について検討していきます。
また、ここでは基本的に、赤字はまるごと鵜呑みにします。
●夏妃の濡れ衣はイレギュラーな事態か?
さて、根本的なところから疑問に思うのですが、「金蔵の死亡を夏妃に認めさせる」ことを勝利条件だとした場合、
「夏妃を殺人犯に仕立て上げる」
という詰め手は、有効といえるでしょうか。
実際にヱリカが誘い水を向けていましたが、夏妃は、
「私はやっていません。きっとお父様が殺したのでしょう」
と主張すれば、状況を切り抜けることができます。金蔵が殺したということは、金蔵は生きているということですから、夏妃は金蔵の死亡を絶対に認めないということです。
「夏妃を殺人犯に仕立て上げる」という詰め手は、「夏妃が絶対に金蔵の死亡を認めなくなる」という結果を容易に導きます。
劇中では、金蔵に罪をなすりつけたくなくて、夏妃は追い詰められていましたが、それは夏妃という人が、たまたま非常識なまでに高潔だったからです。ふつう、陰謀というのは、こういう心理的不合理を前提としたりはしません。
さて、そこで、
「夏妃を犯人にするつもりはなかった(シナリオにない事態だった)」
というのはどうかしら、と考えてみました。
絵羽、留弗夫たちの当面の問題は、金蔵の書斎を確かめさせてもらえない、ということでした。まず、書斎に押し入り、金蔵の不在を確認したうえで、夏妃を問い詰めれば、とりあえず事態は進展するのです。
こんなシナリオだったら、整合しないでしょうか。
まず、殺人事件が起こったことにする。
金蔵に報告する・金蔵の安否を確認するという口実で、書斎の窓を破ることができる。
蔵臼を拉致してあるので、最高序列者が絵羽になり、ガラス破りを阻止できる者がいない。
金蔵の不在を確認できる。
金蔵がすでに死んでいることを、夏妃に自白させる。
夏妃が犯人として告発される、というところまでは、この狂言では、想定されていなかった。あくまで、書斎に押し入るところまでが目的だった。
だって、よく考えたら、この推理ではいとこチームと楼座を、朝からひたすら別室にじっと待機させているわけで、これって、長時間もつような工作じゃないです。もって、午前中いっぱいってところでしょう。
絶対、真里亞がぐずりだしますし、隠れているあいだはごはんだって食べられません。厨房を仕切っているのは郷田ですし、郷田は夏妃に忠誠を誓っている人ですから、抱き込めません。
さて、そうだとして、この狂言は戦人の介入によって失敗に終わります。
戦人が、「金蔵は窓から出て行った」ことにしてしまいましたからね。
戦人がその行動を取るということは、彼は狂言にはまったく参加していない、知らされていない、と考えるのが妥当です。
この推理には、ひとつ大きな問題点があります。
この場合、狂言チームは、
「蔵臼を拉致監禁する」
という条件が必要になってきます。
そしてこれって、それ自体が犯罪を構成する行動です。
つまり蔵臼はあとで、絵羽夫妻、留弗夫夫妻、楼座を、監禁罪で告発することができます。
この行動は、誇張でもなんでもなく、
「蔵臼を拉致監禁して、財産の強奪を図った」
以外のなにものでもありません。
蔵臼が金蔵の財産を横領していた証拠がうまく出てくれば、もしかして交渉により、相殺してイーブンに持ち込めるのかもしれませんが、出てこなかったら狂言側は一方的に犯罪者です。
しかも、金蔵の死体がちゃんと出てくれば良いですが、出てこなかった場合、夏妃は、
「あれは脅されて、お父様は死んでいると言わされました」
と、あとで前言を撤回してしまえば良くなります。
とりあえず狂言説は、この部分を何らかのかたちで回避する必要がありそうです。
続き→ ep5狂言説あれこれ3・南條は誰の味方?
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
■関連記事
●EP5推理
ep5初期推理その1
ep5初期推理その2・ノックス十戒と赤字への疑問
ep5初期推理その3・新たな連続殺人者
ep5初期推理その4・第一の晩
ep5初期推理その5・第二の晩
ep5初期推理その6・戦人の謎
ep5初期推理その7・ノック問題
ep5初期推理その8・赤で語るプレイヤーと赤い竜
【ヱリカ犯人説】Ep5第二の晩以降の展開は?
『Land of the golden witch』の大ネタって何?
ep5狂言説あれこれ2・夏妃を陥れるつもりはなかった?
筆者-初出●Townmemory -(2009/09/18(Fri) 09:48:31)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=32722&no=0 (ミラー)
[Ep5当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
「ep5は夏妃を陥れるための狂言」、というメジャーな推理について、考えるシリーズです。この路線、思った以上に細部の整合がむずかしいです。
ep5狂言説あれこれ1・ノック狂言説
以下が本文です。
☆
これは、個人的にまだ採用できていない「ep5狂言説」を、自分が納得できるくらいに成立させてみよう、というこころみです。
ここでは、
「留弗夫夫妻、絵羽夫妻、楼座が、子供たちを使って、『殺人事件があったフリ』という狂言を企てた。それは金蔵がすでに死んでいることを夏妃に認めさせることを目的としていた」
という説について検討していきます。
また、ここでは基本的に、赤字はまるごと鵜呑みにします。
●夏妃の濡れ衣はイレギュラーな事態か?
さて、根本的なところから疑問に思うのですが、「金蔵の死亡を夏妃に認めさせる」ことを勝利条件だとした場合、
「夏妃を殺人犯に仕立て上げる」
という詰め手は、有効といえるでしょうか。
実際にヱリカが誘い水を向けていましたが、夏妃は、
「私はやっていません。きっとお父様が殺したのでしょう」
と主張すれば、状況を切り抜けることができます。金蔵が殺したということは、金蔵は生きているということですから、夏妃は金蔵の死亡を絶対に認めないということです。
「夏妃を殺人犯に仕立て上げる」という詰め手は、「夏妃が絶対に金蔵の死亡を認めなくなる」という結果を容易に導きます。
劇中では、金蔵に罪をなすりつけたくなくて、夏妃は追い詰められていましたが、それは夏妃という人が、たまたま非常識なまでに高潔だったからです。ふつう、陰謀というのは、こういう心理的不合理を前提としたりはしません。
さて、そこで、
「夏妃を犯人にするつもりはなかった(シナリオにない事態だった)」
というのはどうかしら、と考えてみました。
絵羽、留弗夫たちの当面の問題は、金蔵の書斎を確かめさせてもらえない、ということでした。まず、書斎に押し入り、金蔵の不在を確認したうえで、夏妃を問い詰めれば、とりあえず事態は進展するのです。
こんなシナリオだったら、整合しないでしょうか。
まず、殺人事件が起こったことにする。
金蔵に報告する・金蔵の安否を確認するという口実で、書斎の窓を破ることができる。
蔵臼を拉致してあるので、最高序列者が絵羽になり、ガラス破りを阻止できる者がいない。
金蔵の不在を確認できる。
金蔵がすでに死んでいることを、夏妃に自白させる。
夏妃が犯人として告発される、というところまでは、この狂言では、想定されていなかった。あくまで、書斎に押し入るところまでが目的だった。
だって、よく考えたら、この推理ではいとこチームと楼座を、朝からひたすら別室にじっと待機させているわけで、これって、長時間もつような工作じゃないです。もって、午前中いっぱいってところでしょう。
絶対、真里亞がぐずりだしますし、隠れているあいだはごはんだって食べられません。厨房を仕切っているのは郷田ですし、郷田は夏妃に忠誠を誓っている人ですから、抱き込めません。
さて、そうだとして、この狂言は戦人の介入によって失敗に終わります。
戦人が、「金蔵は窓から出て行った」ことにしてしまいましたからね。
戦人がその行動を取るということは、彼は狂言にはまったく参加していない、知らされていない、と考えるのが妥当です。
この推理には、ひとつ大きな問題点があります。
この場合、狂言チームは、
「蔵臼を拉致監禁する」
という条件が必要になってきます。
そしてこれって、それ自体が犯罪を構成する行動です。
つまり蔵臼はあとで、絵羽夫妻、留弗夫夫妻、楼座を、監禁罪で告発することができます。
この行動は、誇張でもなんでもなく、
「蔵臼を拉致監禁して、財産の強奪を図った」
以外のなにものでもありません。
蔵臼が金蔵の財産を横領していた証拠がうまく出てくれば、もしかして交渉により、相殺してイーブンに持ち込めるのかもしれませんが、出てこなかったら狂言側は一方的に犯罪者です。
しかも、金蔵の死体がちゃんと出てくれば良いですが、出てこなかった場合、夏妃は、
「あれは脅されて、お父様は死んでいると言わされました」
と、あとで前言を撤回してしまえば良くなります。
とりあえず狂言説は、この部分を何らかのかたちで回避する必要がありそうです。
続き→ ep5狂言説あれこれ3・南條は誰の味方?
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