「もしドラ」の作者の岩崎夏海さんだった。
「本の読み方を伝えたい」ということで、
『もしも小学六年生が村上春樹の
「かえるくん、東京を救う」を読んだら』
というテーマで授業をしていた。
本を読む、ということは、
自分の知らないことに出会って考える、
ということなのだ。
自分は好奇心が強いほうなので、
本を読むのは好きなのだが、考えてみれば、
知らないことや初めてのことに出会うというのは、
本を読むことに限ったことではない。
そして、それは、基本的にはリスクを含む。
本を読む、くらいなら、
時間が無駄になる、程度のリスクだが、
知らない人に会う不安、
初めてのことをする不安、面倒さ、
うまくできないかもしれないという気持ち、
報われないかもしれないという気持ち、
などなど、考えると気持ちがどんどん萎縮する。
特に、歳をとるともう、
新しいことを試しても、
うまくゆかないことのほうが多くなるので、
ついつい面倒になって、
安楽で平穏な既知の世界に閉じこもりがち。
本を読むときですら、知っていることを確認して
安心するという方向で読むことが多い。
しかし、番組を見ていて、
命をとられない程度に、大きな傷を負わない程度に、
知らないことを楽しむ、というのは
いくつになっても大切だなぁ、と改めて思った。
本を読むくらいの気楽さで、
というわけにはなかなかゆかないが、
でもまあ、命をとられるわけではないのなら、
もう少し気楽に、また、知らないことを楽しんでみようか
という気分になった。
唐突な連想だが、
羽生さんの「リスクを取ることの大切さ」
というのもこういうことなのだろう。
羽生さんもまた、知らないことを楽しむことの天才だ。
番組中の「問いをみつける」という課題で
子供たちの抱いた疑問が、次々とつながって
議論が広がってゆく様子は、
ちょうど、内田樹さんが言うところの
> 教師として私は、若者たちに
> 「知性が好調に回転しているときの、高揚感と多幸感」
> をみずからの実感を通じて体験させる方法を工夫してきた。
という状態のように見えた。
岩崎さんの「真摯さ」が伝わった感じ。
個人的な理想としては、
もう少し第一印象が砕けていて、
でも実は真摯というのがいいのだけれど・・・
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