ふと見つけた美術系のTV番組で,ベン・シャーンが紹介されていた。展覧会をやっていることがわかって急きょ行ってみた。
ベン・シャーンの絵を初めて見たのは,高校生の頃だった。当時ときどき画廊に出かけたりしていたのだが,どこでベン・シャーンを知ったのかは覚えていない。しかし,彼の絵が展示されることを知って小さな画廊に一人で,多分土曜日だったろうか,学校の帰りに学校から淀屋橋の画廊まで歩いて見に行った。そこで目にした1枚の絵(リトグラフ)がとっても気に入って,長い時間眺めていた。もちろん画廊の人にとっては何じゃこの高校生は・・・という感じだったろう。すっかり忘れいてたそんなことを,何故か30数年ぶりに思い出した。
葉山にある美術館で行われていた展覧会は思ったよりも大規模で,回顧展とでも言えるようなものだった。とてもシンプルな,しかし一目でベン・シャーンと分かる線で描かれた人物や,沢山の習作は面白かった。また彼が撮影した沢山のスナップ写真もとても興味深かった。
展示の途中で見かけて,あっと思ったのが高校生の頃に見とれたあの一枚の絵だった。
「美しきものすべて All That is Beautiful」
というタイトルのリトグラフで,沢山のビルやクレーンがシンプルな白黒で描かれて,一部にステンドグラスのように色を塗った部分がある,まさにあの絵だった。記憶では全体が白っぽいと思ったのだが,30数年経って元の用紙が黄ばんだのだろうか。版画だからまったく同じ一枚ではないかもしれないが,まさか同じ絵をもう一度目にできるとは思わなかった。
帰りのミュージアムショップでは,ポスターやら画集など思わず「大人買い」である。