旧知のお二人の先生が共著で上梓された本です。小林健二先生は,かつて東海大学総合内科時代から大船での同僚として,中野弘康先生は私の教え子であり後に同僚として,いずれも一緒に仕事を共にした優秀な「内科医」です(あえて消化器内科医と特定しません)。
急性腹症に関しての古典的名著として『Cope's Early Diagnosis of the Acute Abdomen』という本があります。日本語の本では日本版Copeとでも言える窪田忠夫先生による『ブラッシュアップ急性腹症 第2版』があります。いずれも急性腹症について詳細に記載された名著です。
本書は対象を若手の医師を念頭において,上記の本に書かれているような内容が簡潔ににわかりやすく解説されています。特に副題にあるように「診療に直結する病歴聴取,身体診察」について具体的に詳述してあるのが特長です。読んでいて,当院で現在も継続している「Morning Report」で,かつてそれぞれの先生と一緒に研修医たちに教えていた日々を思い出しました。それほど共有してきた内容がすべてまとめられています。非常にシンプルな体裁なので読み通すことは易しいと思います。その上で同じような症例に出会ったときに,何度も読み返すのがいいと思います。研修医の皆さんにはオススメです!