通訳案内士のブログ

豚がいた

昨日は土曜ということもあり一人参加のビジネス客が目立ちました。



デラウエア州から来た中年の男性は原子力関係のアメリカ連邦政府の役人の方で、明日から神奈川県の某私立大学で一週間の特別講座を受け持ち、週末にFukushimaに行くのだそうです。



同じくアメリカ人でシカゴの中年女性はシンガポールでの仕事の後、帰国前に週末を過ごすために初来日。ふくよかな体型の持ち主で後半ハァーハァー言いながら歩いていました。



浅草では疲れ切ってしまったのかベンチにずっと座っていました。たまたま昨日は浅草神社の境内で日光猿軍団のショーをやっていたので誘ってみましたが「猿も象も人生で嫌というほど見てきたから結構!」と言われました。動物関係の仕事なのでしょうか?



その時、浅草神社と浅草寺本堂の間辺りより奇妙な鳴き声が聞こえてきました。



「グゥェー!グヒィー!」
けたたましい野獣のような鳴き声。周りでは人々の歓声のような声も聞こえます。鳴き声の主と周りを囲む人混み私たちがいた方に近づいてきました。



何がいるのか近づいてみたら何と豚。丸々太った美味しそうな豚がリードに繋がれ、飼い主の男性に引かれて境内を散歩していたのです。





猿や象には興味がないと言っていたアメリカ人女性もこの豚には大喜び。バス駐車場の方へ歩いて行ったので一緒についていきました。名札には「とんかつ」。この子の名前でしょうか。イノシシのような牙がでてました。イノブタ?



女性はこの「とんかつ君」をみて元気を取り戻しようで“He made my day!”とはしゃいでいました。



都内の一日ツアーはとにかく歩くので歩き慣れていない人は午前中はよくても午後ランチを終えたくらいから段々と元気がなくなってくる人が多いです。



それでもツアーの後半に訪れる浅草寺仲店の活気のある様子を見ると(元気が)回復する人が多いですが、彼女には仲店通りも浅草寺の豪華な山門、五重塔も回復の起爆剤にならなかったようです。



「とんかつ君」のお陰で沈みかけていた彼女の気持ちも復活してくれました。ありがとう、とんかつ君!



すっかり元気になった彼女はその後、かっぱ橋道具街を通っていた時「ここで質の良いcooking knifeを見つけることができますよ」と私が案内していると「”Ginsu Knife”も売ってるのかしら?」と大きな声で言い一人でウケていました。私も女性の思わぬ一言に大爆笑。



“Ginsu Knife”とはアメリカのテレビショッピングで一時期流行っていた「なんちゃって日本包丁」です。日本人シェフに扮した東洋人が、これまた大袈裟な日本人風英語アクセントで包丁の素晴らしさを熱く語り、Ginsu Knifeの切れ味を証明するため、いろんな食材を試し切りしていた(日本人から見ると)インチキ感満載の包丁がこの「ギンスナイフ」でした。



私も約20年位前、アメリカ滞在時にこのGinsu Knifeのshow(テレビ番組はshowといいます)を何度も目にしたことがありました。彼女の一言で鮮明に記憶が蘇りました。
※追記
私が観たモノとは違いますがYouTubeに90年代前半のCMを見つけました


バスの中ではアメリカ人は全員このギンスナイフを知っていました。事情の知らない国から来た人のために「ギンスナイフの生い立ち」を説明したら皆さんウケてくれました。



そんなことを話して車内が盛り上がっていたら、もう上野の辺りまでバスは来ていました。昨日は「とんかつ君」と「ギンスナイフ」のお陰でツアーは大成功に終わったという話でした。







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