浜離宮の中島のお茶屋でお客様と一緒に冷たい抹茶をいただきました。
アメリカ人女性三人をお連れし、二人は飲み干しましたが、一人は
Not bad
と言いながら半分以上残していました。
抹茶や緑茶が苦手な方が意外に多いことを新たに発見しました。
今年の春以降、少人数のプライベートツアーを担当する機会が増えてきており、食文化をはじめ、個々のお客様と直接交流する機会が増えてきました。
「Sushiは大好きだけど、Raw fish(生魚)は絶対ダメ」という方は昔から多く、最初はどんな冗談かと思ったものです。
でも実際に本当に多くいるんです。
外国では寿司屋といっても、現地の人や日本以外のアジア系の方が経営している店が多く、日本では「あり得へん」変わったスタイルの寿司が多いようです(カリフォルニアロールを寿司の「定番」だと思っている方もたくさんいました)。
先日、オーストラリアから来た親子5人組(40代前半くらいの夫婦と14歳、12歳、10歳のお子さん)を一日東京観光にご案内しました。
明治神宮のフードコートで昼食をとることになり、私もラーメンとビールをごちそうになりました。
三人のお子さんは焼きそば(Chow meinと言えば通じます)、お父さんもラーメン、お母さんは炭火焼き鳥丼を注文しました。
14歳の女の子が焼きそばを箸で摘むと、おどけて
I’m gonna slurp noodles like locals!
とお母さんに言いました。
するとお母さんは険しい表情になり、
No! You may not!
と叱ったんです。
女の子は肩をすくめ、無音で焼きそばを食べて完食しました。
お父さんもフォークでスパゲッティのように麺を巻いて、これまた無音で食べていました。スープはレンゲで一口ずつ、丼は持ち上げません。
ここで通訳ガイドが
「日本ではラーメンは豪快に音を立てて食べるんですよ」
と自ら音を立ててすすって見せたり、お客さんにやらせてみることはケースバイケースではありますが、基本的に避けた方が無難だと考えています。
昔からハリウッド映画や外国のドラマで、日本を題材にした作品の中で麺を「ズズズー」とすするシーンは「鉄板ネタ」として取り入れられてきました。
これは、裏を返すと外国人にとって非常に珍しく、かつとても行儀の悪い行為と映っていることに他なりません。
そして、日本に来たからといって「郷に入れば…」と無理に勧めたり、ガイドがやってみせることは、お客様にとって受け入れ難いことが多いと思っておいた方が良いと思います。
本当かどうかは分かりませんが、「食後にゲップをすることが食事を作ってくれた人への感謝の気持ちを表す」という国が世界のどこかにあるという話を子供の頃に聞いたことがあります。
もし本当にそんな国があったとして、実際に行ってみて現地のガイドさんが「ゲップをするのは文化だから、どうぞあなたもやってみてください」と言われても、できるかと言ったら多分できないと思います。
我々通訳ガイドは、英語圏のお客様にとって「slurping」も「burping」も同じくらい不作法で悪いマナーであると認識しておいた方が良いと思います。それを踏まえた上で、人によってどう対応するかを決めるのが良いですね。
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先日、今年度の全国通訳案内士の一次(筆記)試験がありました。
知り合いが受験しましたが、今年は一般常識の一教科だけで良かったようで、自己採点の結果、次に進めるとのことです。自分のことのように嬉しかったです。
試験問題を見せてもらいましたが、あれを20分で解くのは酷だと思いました。
問題も相変わらず難しいです。
私が受けた時代は、解答率が悪いと合格基準点を下げてくれ、私もそのお陰で救われたのですが、今はそうではないと聞きます。
国を挙げてインバウンドを推進し、現場は通訳案内士不足で大変だというのに、政府は(全国通訳案内士は国家資格)何をしたいのか疑問に思い、憤りを感じます。
私は2016年度の試験に合格し、翌2017年に通訳案内士団体の新人バス研修に参加し、同じバスに乗った人たちと繋がりができました。
一ヶ月ほど前に都内の某ホテルロビーで同期の仲間の一人と久しぶりに再会し、その人がまとめてくれたおかげで、先日同期の仲間十数名で新橋の居酒屋に集まりました。
元々皆さん個性が強く、バックグラウンドも素晴らしい方ばかりでしたが、しばらくお会いしないうちにさらにパワーアップされており、自分が一瞬恥じ入りそうになりました。
しかし、一緒に場を過ごしているうちに、良い意味での刺激を受け、もっと前向きに頑張ろうという気持ちになりました。素晴らしい同期の仲間に感謝の気持ちでいっぱいです。