通訳案内士のブログ

口述試験tip

明日はいよいよ全国通訳案内士二次試験(口述試験)ですね!




私が受けた6年前とは少し様変わりしていますが、要の2分間のプレゼンと逐次通訳はそのまま残っています。




あまり偉そうに言える立場の人間ではないのですが、経験者として思いついたことをアドバイスさせてください。




私が苦手だった逐次通訳。私が受けた時(2015年と2016年の2回受けました)は一番最初に出ました。




試験官が一回だけ述べる文章を英語に訳すわけですが、難しそうな日本語に気を取られ過ぎないことが肝心です。


過去問例:

もともと相撲は五穀豊穫を神に感謝する神事でした。鎌倉時代には武士の鍛錬を目的とした…


「五穀豊穣」と聞いてギクっとして「どう訳すんだっけ?」となってしまうと後の言葉が頭に入らなくなります(私は二度目の口述試験の通訳問題の中で試験官が読み上げた「河口」と「養殖」という日本語でパニックに陥りました)。冷静になって、言葉の意味を噛み砕いていけば”good harvest”くらいの言葉が浮かんでくるかもしれません。




あと神事とか鍛錬とか、一見難しい日本語の名詞に引きづられないようにすればどの問題も決して難しくはない気がしてきます。そしてそう思うことが何よりも重要です。



いざ英語に訳す時、まず主語と動詞、目的語をはっきりさせる。
Sumo!
was!
それから目的語
a ritual!



できれば試験官が日本語で文章をしゃべっている最中にこの3つのSVOそれぞれの単語を確定させます。メモは取らなくてもOK。取るべきものは「もともと」とか「鎌倉時代」とか年号とか地名とか固有名詞など。



そして文章に肉付けをしていく。基本日本語は文の終わり辺りに目的語や結論がくるので、主語と動詞を言ったら、後ろから順に英語になおしていけばうまくいく場合が多いです。



Sumo was originally a ritual to thank god for good harvest.



英語だとえらく簡単に聞こえますが全然こんな文章で合格点をもらえるはずです。そしてこんな文章や英単語は二次の試験会場にいる人なら誰でも言えるし知っています。リラックスした心持ち+一見英語に訳しずらい日本語でも意味を噛み砕いて考える習慣を身につけると逐次通訳は一気に楽になります。



次に2分間のプレゼン。まずは「お題」選びです。試験官から提示された3つの題を決めます。当たり前ですが自分にとってより馴染みのあるものがいいです。



過去問を掲載しているウェブサイトなどを参考に3つの題から自分にとっての最適な題を瞬時に選ぶ練習をしてみてはいかがでしょうか?



3つのどれも自分にとって馴染みのないものという地獄のような状況も高確率で出てきます。そんな窮地で考えることは、多少は英語で説明できるお題があるかどうかです。



「多少」の英語というのはハロー通訳アカデミーの「日本的事象英文説明300選」に載っているようなそれぞれの事象を説明する30語〜50語前後で構成された文章程度のものです。馴染みのないお題でもそれを言えるかどうか。そこにかかってきます。



プレゼンは出だしが重要です。緊張すると声が裏返り、日本人特有の甲高い声になってしまい、英語を発声するのに全く適さない状況に陥ります。どんな題をしゃべる時も出だしに定型文的な英語を最初から決めておいて、落ち着いてゆっくりと(どんなにゆっくりと喋っているつもりでも緊張していると早口になって側から聞くと意味不明な英語になりがちです)大きな声で話します。



その後に、ハローの300選で暗記した事象の「概要」を30秒位かけてまたまたゆっくりと落ち着いて喋る。残りの時間は自分の経験や、その他いろんなものに当てはめて乗り切ります。



具体的に書くと…

七五三
ラムサール条約
稟議

の3つのお題が出されたとします。どれも準備してきたものとは違うお題。そういう場合は先に書いたようにせめて20〜30秒位英語で語れるお題を選びます。



"Ok, then.  I would like to talk about Shichi-Go-San."
冒頭、落ち着いてこれくらい言えれば5秒くらい稼げます。そして「300選」に載っているような事象の概要を続けてゆっくりと喋ります。



残りの時間は、例えば

東京では七五三はどこでよく見かけることができるか?
自分が子供の頃はどこへ行って、何をしたかか?
なんで着物を着るのか?
男の子が履いているスカートのような衣装は何か?
有料なのか?いくらかかるのか?

などなど外国人旅行者が考えそうな疑問や興味のひきそうなことなどを何点か喋ることができれば残りの時間なんてあっという間に終わることでしょう。難しい気取った文章で喋ろうとせず、自分語り的な感じで喋ることができれば楽勝です。



Kimono-clad small children are often seen at Shinto shrines in November, especially on the weekend. In Japan, a traditional rite of passage called Shichi-Go-San is held at this time of the year(originally it was held on November 15). Shichi-Go-San literally means 7-5-3. It is also a celebration for boys and girls who become three, 5-year-old boys, and 7-year-old girls. 

(以下自分語り)

We took our daughter to Meiji Shrine when she was three in 2019, and she received a divine blessing from the priest. After the ritual, we walked around and took many photos of her. Everywhere she went, she was surrounded by a lot of foreign tourists who seemed to be very curious about her outfit. We were also asked by everyone if we would allow them to take photos of her. It was a very pleasant experience for both of us. (it cost me a lot though😭💸) She will be seven and our boy will turn five next year. I am really looking forward to seeing them in the lovely kimono again!🎎

↑たまたまSNSに掲載した自分の体験をもとにした七五三についての文章。ゆっくり喋って1分40秒くらいです。冒頭に定型文を入れたらちょうど2分弱。





昨日西新宿のパークハイアットへ仕事で行きました。あいにく富士山は見えませんでした。東京都在住の人は合格すると都庁ビルの上の方の階に行って登録手続きをします。私が合格した年、2017年の2月に同じく西新宿の都庁ビルの窓ガラスから似たような景色を写真に撮りました。明日受験する皆様も同じ景色が見られますように!


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