通訳案内士のブログ

タコの口

娘が最近気に入っているアニメ「SpongeBob SquarePants(スポンジボブ)」。1999年より続くアメリカの長寿アニメ番組で、国内ではNHK Eテレ(旧教育テレビ)土曜日夕方に放送されています。アマゾンプライムでも見れます。



私が10代後半の頃、"The Ren & Stimpy Show"という、可愛い動物のキャラクターが登場する一見子供向け、でも内容は過激でお下品な描写が多いアメリカのアニメが好きで良く見ていました。スポンジボブは実際に子供向けの番組ですが"Ren&Stimpy"と作風が良く似ているのが懐かしく、娘が観ている後ろから覗いて、ついつい見入ってしまうことが多いのです。





あるエピソードを観ていた時、登場した巨大タコ(タコをモチーフにした主要キャラ、イカルドがネプチューンサンと呼ばれる100年に一度現れる光の球の光線を浴びてこの巨大タコに変身した)の口元がとても気になりました。




上下顎から出た鋭い歯というか牙というか。我々日本人がイメージするタコの口って、歯なんてものはなく「ちゅーちゅー」と突き出た丸い口というのがお決まりだったはず。




こちらは"Pirates of the Caribbean"に登場した"Kraken(クラーケン)"という巨大タコのような化け物。クラーケンとは18世紀頃、船乗り達に恐れられていたタコやイカのような姿をした伝説上の海の魔物。




そういえば昔観たこの映画に登場する巨大タコ、クラーケンにも鋭い牙があったのをスポンジボブのタコの牙を見て思い出したのでした。



実際のタコの口は一体どうなっているのかとても気になって調べてみたところ、このタコの口、牙(みたいな部分)は「カラストンビ」と呼ばれているそうなんです。タコイカなど頭足類の顎板(がくばん)の俗称だとか。「カラストンビの燻製」なんて食べ物もあるそうです。



日本ではタコを描いてみて!といわれたらほとんどの人が丸い「ちゅーちゅー口」を加えるのを忘れないはずです。そしてそのコミカルな口のせいかタコを獰猛な生き物としてみる傾向は少ないように思われます。



一方で欧米ではクラーケン、海の魔物のイメージが強いのか、恐ろしい生き物としての扱われている場合が多いのでしょうか?



魚の骨など硬いものを簡単に噛み砕くという、タコの口(英語ではbeakと表現するのが一般的なよう)は凶暴で恐ろしい生き物としてタコを描く際に不可欠なパーツだという認識なのかな??欧米の子供達が描くタコを一度見てみたくなりました。



また、我々英語通訳ガイドが時々接するユダヤ教を信じるイスラエル人やユダヤ系アメリカ人の方々が鱗(やヒレ)を持たない水中生物を一切食べないことにも起因しているのかもしれません。何せタコは通称"devil fish"ですからね。旧約聖書にも
"All that have not fins and scales in the seas, and in the rivers, of all that move in the waters, and of any living thing which is in the waters, they shall be an abomination unto you"
「海でも川でも、すべて水に群生するもの、またすべて水の中にいる生き物のうち、鰭や鱗のないものはすべて、あなた方には忌むべきものである」(レビ記第11章10節)
と書かれている位。かわいそうなタコ。美味しいのにね。



娘と一緒にみたアニメでタコに対する日本、欧米での認識の違いにプチカルチャーショックを味わったという話でした。



コメント一覧

guideinterpreter
popraさん、おはようございます😃
タコは欧米では本当に恐れられているんですね。愛聴しているイギリスのPodcastのエピソードで「ゲテモノ食い」の例でタコとイヌを同列に挙げていて、そこまで嫌いなんだと思いました。
1-102popra
なるほど➰🐙

そういえばとある英語の絵本でOctopusにつけられた絵が攻撃的な雰囲気で異様な感じがした記憶が🐙

比較文化学っていうんですか?
Sehr interessant!
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