カトリーヌ・ドヌーブの最高傑作は、「シェルブールの雨傘」だ。
21歳のドヌーブは、ただただ見惚れるほどの見事な美しさ。
欠点のないお人形的な美は、
逆に、美しい女の持つ独特な強さ、そして浅はかな女の思惑を引き立たせていた。
それなのに、女優としては大根的なイメージを拭えなかった。
そして54年たった今、ドヌーブは現役バリバリの大女優に。
70代の彼女の映画は、どの女優にもない孤高感と熟れてる感じ。。
そして最近の彼女の映画を観てからは、
ワタシの生活に、ドヌーブ現象がジワジワ浸食している真最中でもある。
75歳にして、圧巻の花を咲かせている女優だと思う。
◆映画「ルージュの手紙」◆
失踪した元継母ベアトリス(カトリーヌ・ドヌーブ)と義理の娘クレール(カトリーヌ・フロ)が
30年ぶりに再会するところから始まる。
ベアトリスは脳腫瘍を抱え、
最期の時間を人生で一番愛したクレールの父親と一緒に居たいと願った。
だが、ベアトリスが失踪した直後、クレールの父親は悲嘆にくれ自死。
ベアトリスは義理の娘クレールに詫びるも、二人の性格は水と油。
そして、クレールは関わりたくないと思いながら、
徐々に継母ベアトリスに振り回され、ほおっておけず共に生活するようになる。
文字に書くと、あるかもねぇ…みたいなストーリー。
で、、
ドヌーブは、どちらかと云うと喜怒哀楽の豊かな表情ではない女優。
いつも冷静沈着で、煙草を吸う仕草や目線、歩き方で<心の振れ>を表現するタイプ。
平板なストーリーは、ドヌーブの言葉じゃなく、空気感が全てを動かしていた。
クソ真面目なクレールが、
猫のように気まぐれで、何を考えてるか分からない、
勝手気ままだが、女気は強く、常に孤高なベアトリスに魅かれていく。
そうこう観ていくうちに、最後のシナリオが分かってくる。
この映画の凄さは、分かってても驚いてしまうラストシーンの不可解さにある。
ドヌーブの全身から発するモノが、このストーリーを深く静かに終わらせている。
でね、
ワタシがドヌーブの凄味を感じたシーンに、同じように共感した大物女優がいらした。
樹木希林さんだ。
ベアトリスは流れ者のような自由な生活をし、食べるモノは好きなモノしか食べない。
身体を気遣う生活とは無縁、、
そして余命を宣告されても、ベアトリスは全く意に介しなかった。
ベアトリスの人生そのものが、豊満な肉体に表れていたと思う。。
ドヌーブじゃなきゃ、絶対出来ない映画だと確信して言える。
そういう分かりづらい部分を、ズバッと切り込んでいったのが樹木希林さんだった。
正直、、
この動画はビックリした。
だが、希林さんの言わんとする芯の部分は、正にその言葉通り。
チョットあがってるのか?それとも樹木希林流の言葉なのか?
ドヌーブ様と樹木希林の対談は、世界のドヌーブ様を困惑させ、
希林さん大暴走で終わった。
とてもとても面白く、希林さんのベアトリス論と共感出来たことが、
たまらなく嬉しかった‥‥
↓目が泳ぐドヌーブ様とぶっちぎりの希林さんが噛み合わない7分間をどうぞ🎵
カトリーヌ・ドヌーブさんと樹木希林さんの対談
◆映画「ミス・ブルターニュの恋」◆
この映画は残念ながら、日本では公開されなかった。
が、今年やっとネットで観ることが出来た映画。
女盛りを過ぎたレストランのオーナーが、ドヌーブ。
不倫関係の恋人に若い愛人が出来、捨てられ、レストランは経営不振で倒産寸前。
年老いた母の面倒も看なければいけない。
人生下り坂の底辺に来てしまった女。
女は昔、ミス・ブルターニュに選ばれた美女。
レストランの営業中に、フラリと飛び出してしまう所から物語が始まる。
行きずりの若い男と、一夜を共にし、
男が
「あんた 昔は相当綺麗だったんだろうなぁ・・・
もうちょっと痩せたほうがイイよ」と。。
女は目的もなく車を走らせ、煙草を吸い続ける。
そんな中で、一人のいけ好かない男と出合うのだが、それが運命の出会いだった。
ドヌーブの映画は、女の哀しさや強さが多く、ハッピーなものがない。
が、
「ミス・ブルターニュの恋」は、珍しく
生きてりゃ、イイこともあるさ!!!だった。
天下のドヌーブを散々いたぶり続けた映画だったが、〆はハッピーという意外な展開。
観てて感じたのは、
「ミス・ブルターニュの恋」はドヌーブじゃなきゃ出来ない映画だということ。
新作映画の度に、ドヌーブは太っていくが、オバサン臭くなく、カサブランカのように艶やか。
内なるモノをいつも磨き続けてる人とは、浮世離れした佇まいなんだなぁ。。と。
来年、
あの、あの!是枝裕和監督の映画が公開される。
その主演はカトリーヌ・ドヌーブ。
「ルージュの手紙」を超えるかが、楽しみなのよ~
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