山陽電鉄浜の宮駅に程近く、神社の西にある広い松林は、陸軍航空隊通信学校の兵舎跡である。往時は様々な声で満たされていたであろう空間は、今は深い静寂(しじま)の中にある。
陸軍は横暴、海軍は紳士という図式はただされつつあるが、今猶イメージ化された軍隊の描き方が大手を振って一人歩きしている。
陸軍=問答無用というのは嘘である。例えば息子を憲兵にするには、家族の同意が必要であったというようなことは、何時になったら当たり前の知識になるのだろう。
世間に対し申し訳のないことはしないという当然の倫理に従って生きていた普通の人々にとって、社会主義者等はゴロツキ以下の存在であった(世界であれ日本であれヤクザ顔負けの内紛の歴史を見るだけでも分かる)。所謂「アカ」にまともな人はいない。
その連中が、戦後になって自分たちこそが正義であったという虚偽を垂れ流し、それが何となく信じられてしまった。
そういった化けの皮は剥がれつつある。例えば史的唯物論等は今は真面目に信じるものは誰もいないだろう。世間は少しずつ賢くなっていると思う。
松風に 古き声聞く 浜の宮