土生重次作品、家族を詠まれた句より。
いまだ恋しらぬ指もて雛納め
夕焼や跼(せぐ)まりて聞くねだりごと
かがまりて蟻に小言の末娘
いまだ恋は、大切にお雛さまを納めてる様ですが、指に焦点を当てることにより読む者にいろんなことを思わせます。
ねだりごとは何でしょうか?・・・ん?と聞き留めようと背をいっそう曲げてらっしゃるのでしょう。
小言ではないのでしょうが、蟻さんに一生懸命な様子。ぱっと景色が浮かびますね。
指もては・・・私の、塩の嵩知りし指もて瓜漬ける に参考にしたというか知らぬ間に使っていたのでしょう。