今度の豪雨災害でも同じだが、5年前の豪雨災害でも被害が大きくなったのは、山の崩壊により立木が流れ出しそれが橋脚の破壊や、堤防の決壊を起こしている。
麻生さんが福岡に来られて、何度も同じことを繰り返してどうするのかと訓示の中で言っているとこちらのニュースで流していた。
私は森林組合の理事として、県の造林者会議に20年以上参加してきた。いろいろと勉強させてもらいましたが、3年ほど前に隣接の町に山林を売却したので今は肩の荷が下りているのだが・・・考えるところがありまして少し書かせていただきます。
昔は森林公団と言いました。山の保全と木材の産出のために造林を、山の所有者に呼び掛けていたわけです。木材の需要も国産材では足りなくて、ラワン材なども輸入する時代です。
造林はスギとヒノキです。できるだけ広い範囲に植林しますので、それこそ山すそから川の土手のすぐ上から植林されました。
植林するには急傾斜の山肌に苗木を植えるために、大変な労力で地をならしてから始まります。苗木を植えてからは大体4、5年は周辺の草を刈らなければなりません。それは苗木が草や他の木々に成長を妨げられます。それも人力で行われました。
その後に、苗木の成長の悪いものなどは間伐されます。保育間伐だったかな?正式には。そしてぐんぐん伸びてきますね。その枝を払わなければなりません・・・まず下枝を落とします。そして真っすぐに育ちそうなものを残して、間伐を行い成長を待ちます。
伐採して市場に出すには50年以上は必要です。
手入れの行き届いている山(植林された)は見事です。間伐もされて日の光が地面に届きます、そこには草や低木が茂り保水能力もあります。
手入れが出来ていない山は、まず下枝が密集していて入れません。もちろん草や低木も全くありませんし、杉ヒノキの落ちた枝葉だけです。緑というものが無くて茶色の地面となっています。保水力などありません。
造林者会議でいろんなことを学びましたが・・・杉ヒノキと広葉樹を混合させるような植林方法なども提唱されていました。それは保水能力の向上を目指したものだと思いました。しかし、それはその後のことです。すでに山々はびっしりと杉ヒノキばかりですね。
要は、その山も手入れさえしっかりなされていれば、保水力もあります。
ここで世界経済の話になりますが・・・わが国だけでなんでもできるものではありませんからね。
日本から優秀な工業製品など輸出が盛んになります。とうぜん労働者もそういった会社や工場で働きますので、過疎が次第に始まりました。山の仕事に従事する人口も減りました。
世界経済のグローバルな中に森林産業も置かれているのです。
工業製品を輸出するコンテナ船は、帰りは空っぽでは採算が取れませんね。帰りは外国産の木材、しかも日本向けに製材加工されたものが積まれて戻ります。安く量も多いのですね。一例を上げますとなんですが、カナダ産のツーバイフォー工法とかですね。
国産木材はますます需要が減ります、山は手入れが行き届かなくなり荒れてきますね。
これではいけないと、他県ではどうか知りませんが福岡では森林税なるものが導入されました。事業者でも個人でも500円だったか納めております。
要はその山を手入れする資金は確保できたのです。これをもとに県は森林の県有化といいますか、県の森林組合を起こして、放置されている山林への手入れを始めたのです。
ところが山の仕事に従事する人は限られていますし、その事業規模だけではすべての山へは手が入りません。また危険な仕事でもありますし、人材確保もたいへんです。
治山治水は国の要として、戦国時代?いやもっと前から行われていますね。森林税まで創設して資金は確保できた、しかし実際はなかなか進まない。
今回のいや前回もその前もそうです・・・手入れのされてない森林が豪雨でその根元の地面から流れ出したのです。
河川の改修をしても山の改修が終わらないかぎり、豪雨災害による山の崩落と流された木々による2次的災害は続きます。
麻生さんはその辺のところを県の職員へ訓示したのではないかと思って書きました。
森林税を創設するのにも力を尽くしたでしょうから・・・・
災害は起きてからでは遅いといつの時代から言われていますでしょう。