夏あざみ風の静まる坊がつる ようすけ ほんの四、五年前のことだが、ずいぶん記憶の中では遠く感じる。 長者原から雨ヶ池越で、坊がつるまで出たときのこと。 坊がつるの草原に久住岳からの風が吹き下ろして・・・草のすれ合う音のみの中に身を置いた。 坊がつるの中を歩きはじめたら丈の低い薊を数株見つけた。 あの時の風に、さわー・・しわー・・という、しなやかな草のすれ合う音しかしないのだ。 また行きたいのだが、その風に会えるかは分からない。 薊には会えるだろうけど。