吉井という筑後川の中流に位置する町があります。
今はお雛さま祭りで町を訪れる人も多いだろう。古い商家の白壁が歴史を感じさせる。
そういった商家群の一部は骨董屋さんや輸入絨毯のお店になっていたりする。
旧商家に会うのかな、レトロチックなお店が多い。
蔵という観光案内所みたいなところでは、パンフの一つに句碑の案内があったりして俳句愛好者には嬉しいものでしたが、今はどうなっているだろうか?
熊本時代の夏目漱石もこの町に宿泊して句を残している。
明治32に年冬に宇佐八幡宮に参拝している・・・漱石全集より
宇佐に行くや佳き日を選む初暦
熊本から列車での旅で博多~小倉~宇佐
宇佐からは徒歩や馬の背に揺られて・・・
羅漢寺・耶馬渓の守実などに宿泊しながらの厳しい旅だったようです。
道中、俳句を多く作っていますがその中から。
短かくて毛布つぎ足す蒲団かな
泊り合す旅商人の寒がるよ
寐まらんとすれど衾の薄くして
せぐゝまる蒲団の中や夜もすがら(せぐくまるは丸くなること)
そして日田の町に出て・・・
吹きまくる雪の下なり日田の町
峠を下る時馬に蹴られて雪の中に倒れる・・・
漸くにまたおきあがる吹雪かな
吉井に泊りて・・・
なつかしむ衾に聞くや馬の鈴
この句の句碑が町の資料館・・?だったか植込みの中にある。
難行苦行の旅、歩きまた馬の背に揺られて峠越えをして来たのですね。
宿の蒲団の中でようやく人心地ついたのですが、耳には馬の鈴の音がまだ続いているようだ。
ここからは軌道車が走っていたのではないかな?農産物などを久留米市へと・・・。
久留米では地元の文人たちとの交流があったようです。
菜の花の遥かに黄なり筑後川
どこから眺めてできた句かは知りませんが、筑後川の土手が黄色になる季節が近づいて来ました。