昨今、OB・OG訪問を発端とする犯罪、ハラスメントが報道されています。
個別の事件については、捜査機関による捜査中の事件もあり、コメントを控えます。
就職活動中の学生にとっては、心配な事項と思います。
事件の背景事情として、指摘したいことは2点あります。
まず、一般に、採用過程において企業採用担当者が大学卒業予定者より優越的地位にあることです。
(力関係が拮抗ないし逆転するのは、大学卒業予定者が企業が必要としている特殊技能を有していて、しかも何かしらで実務経験も積んでいるといった例外的な場合に限られると思います。)
次に、大学卒業予定者の採用活動が自由度が高いということです。企業は採用活動を前倒したり、色々と仕掛けているというのが現状だと思います。結果、大学卒業予定者から見て採用活動なのか、採用に直結しない広報活動なのか、採用に直結しない社会貢献活動(インターンシップを想定)なのか、境界が曖昧になり、全て採用活動のように見えるようになっていると思います。
以上2点の事情からOB・OG訪問を発端とする採用担当者やOB・OGの犯罪・ハラスメントが起こった際、大学卒業予定者は抵抗・拒絶が難しいのだと思います。
そもそもOB・OG訪問のニーズ(大学卒業予定者がOB・OG訪問で得たいもの、行いたいこと)は①自己PRの一環として自己の適性や能力をアピールする、企業情報を収集するといった就職に直結するもの、②社会人のマナー、社会人の生活を知りたい、就職活動何から始めたらよいか社会人の先輩から聞きたい、エントリーシートを添削してほしいといった就職に直結しない自己啓発の色彩を帯びているもの、の二種があると思います。
こうしたことを踏まえると、被害の事前防衛策としては、①のニーズを満たすためのOB・OG訪問と②のニーズを満たすためのOB・OG訪問をきっちりと分ける。そして、①のニーズを満たすためのOB・OG訪問は就職希望企業が整備した制度に乗っかって行う、②のニーズを満たすためのOB・OG訪問は信頼のできる知り合いの先輩に限定するといった使い分けをするのがいいと思います。
①のニーズを満たすためのOB・OG訪問は企業の指揮・監督下のもとで参加することでリスクを低減させる、②のニーズを満たすためのOB・OG訪問は信頼関係でリスクを低減させるというものです。
②のニーズを満たすためのOB・OG訪問をしたいと思うが、信頼できる知り合いの先輩が近くにいない場合、キャリアセンターでの相談などで代用するといいと思います。①②に分けると②のニーズを満たすためのOB・OG訪問は必ずしもOB・OGに聞く、話す必要はないと考えられるからです。
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