あなろぐ

ここは私の巣穴です。自閉症の息子のことや、好きな作品のことなどを書きます。
最近のハマリものはイ・ジュンギ。愛だぜ。

絹の変容

2010-07-25 09:46:43 | 読書メモ
篠田節子『絹の変容』(集英社)

いや~、こわい本でした。
絹織物には興味があるので、タイトルの「絹」という単語と、篠田節子の名前で手に取ったので
すが、なんとホラーでした(汗)。
パニックSFタッチの恐怖。
この作品で篠田さんは世に出たそうなので、もともとこういうのが本領なんでしょうか。

とりあえず、虫が苦手な人は、気をつけて読んでください…(汗)。

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祖母の遺品から見つけた、小さな布。
虹色に輝くその絹を見つけたときから、康貴の運命は変わってしまいます。
こんな美しい絹で打ち掛けを作りたい、という純粋な気持ち。
その気持ちから、繊維メーカーに勤めていた研究者、芳乃と協力して、蚕の品種改良へ。

品種「改良」によって効率的に成長させることができるよう、肉を食べるようになった蚕たち。肉を食べて、見事な虹色の繭をつくり、康貴と芳乃はついに虹色の絹布開発に成功します。
しかし、虹色に輝く打ち掛けを着たモデルが、舞台で倒れ……。
天然の毒性が品種改良によって強まり、アレルギー体質の人には着ることができないほどの毒性をもった布だったのです…!
そして改良された蚕が、一部研究所から逃げ出して繁殖してしまい………
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冷たいイメージの研究者として登場した芳乃が見せる、終盤のかなしみが切ないです。
なんとなく「エヴァンゲリオン」の綾波をイメージさせる芳乃。
ああいう、体温あるのかしらと思うような感じの人。
美女ではないけど、骨細で、繊細な手をもっていそうな理系女子でした。
芳乃の魅力的なのにくらべると、語り手の康貴は凡庸な男です。

物語のモチーフとして、バイオテクノロジーの安易な発展や、アレルギー体質の子どもの増加、といった現代科学技術への危惧が織り込まれていて、興味深く読めました。

いやぁしかし、私も虫の毒には弱いので、ホント、こわかったですぅ~。
柿につくイラガに特に弱くて、母がハシで虫を駆除している近くを通っただけでジンマシンが出たこともあります。
あの毛針?が飛ぶらしいんですよね。こわいよねえ~!

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2 コメント

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蚕・・ (みゅーず)
2010-07-26 00:16:52
小学生の頃、近くの大学の農学部に行って
蚕を分けてもらい・・近所の桑畑から桑の葉っぱを失敬して((((^^;
育てた経験がありますが・・・う~~ん・・

読むのがちょっと恐ろしい感じですねーー;

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こ~わ~い~ (春花)
2010-07-26 05:13:47
蚕、小学生のとき飼ってましたよね。
桑の葉はどうしてたんだったかなあ。田舎なので、昔はその辺でとれたんだったような気もします。

肉食する蚕……
もう夢に見そうにこわかったですよ~。
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