芸術だからといって、本人に無断で少女の頃の裸体をモデルにした作品(彫像)を作り発表するのは許されることなのか?という問題を投げかける。
あまり楽しい気持ちになる話ではない。感想を書くのも難しい。だけど目をそらすことも出来ない感じもあり、ずっと読んできた。
当時14歳の女子中学生と21歳の塾講師という関係はアウトだが、恋愛と捉える人もいる(多くのセクハラ加害者の認識はそうかもしれない)。しかし、昔の話だからといってウヤムヤに出来ないことはある。
3巻で少女像のモデルになった女性(ゆかり)とその親友(茜)が、像を壊すという思い切った行動に出た所から物語が違うステージに入った気がした。
一方で、4巻ではその彫像に救われた少女、不登校だった翠の存在も描かれた。作品には、作者とモデルだけでなく受け手の思いもあることを気付かされる。
ほかにも、彫像家の妻で美しくやり手の紅子が、共闘してくれる友の存在を羨んだり、その子供に及ぶ不穏な性被害など、こういう件にまつわる思いや問題を全部炙り出す勢いだ。
毒親の介護問題まで出てきて見ているのも辛くなる。彫像を壊しても問題は解決しない。しかし少なくとも、泣き寝入りでモヤモヤする思いからは解き放たれたようだ。今後、その行為の行方が本人の行動にどう作用するのか見守りたい。