『おおきくなりすぎたくま』(作・絵:リンド・ワード/訳:渡辺 茂男/ほるぷ出版/1987年)
アメリカ開拓時代くらいのお話で、野生動物との共存の難しさを背景に、少年ジョニーくんがこぐまを拾って育てるお話です。コールデコット賞受賞作品。
さいしょ、ジョニーくんは近所の家にくまの毛皮が飾ってあるのが気に入りませんでした。自分のうちは、おじいちゃんもお父さんも熊を殺さない主義で、熊に出会うと逃げ出していたからです。ジョニーくんは、自分が熊にであったら一発で仕留めてやると思っていました。(ライフルを持っている扉絵に「戦争じゃん」と緊張した声を出した子もいました。)
いざこぐまに出会うと、可愛くて連れて帰ってしまったジョニーくん。家では誰も彼の行動を否定せず、むしろ感心していました。優しい家族です。(しかし、その優しさが後であだになるんですけどね…。)
こぐまがジョニーくんの家のものを何でも食べてしまうという流れでは笑いが起きていました。どんどん大きくなったくまは、近所の畑を荒らしてしまうので、ついに捨ててこなくてはならなくなります。が、どんなに遠くに連れて行っても必ず戻ってきてしまうくま。ジョニーくんはお父さんに、辛い選択を迫られます。子どもたちの中には「殺しちゃうんだ」とつぶやく子も。ここは緊迫の場面です。さいごは森のなかで、食いしん坊のくまが罠にかかり、動物園に送られるという、いちおうハッピーエンドです。
子どもたちは引き込まれたようすで、笑ったり緊張したりしながらよく聞いてくれました。最後は「実話?」と聞かれましたよ。
教室で最初、少しアクシデントがありましたが、みんなしっかりしていて、私には「気にしないで下さい」なんて言ってくれたりしていました。
お話を楽しもうとする姿勢を感じるクラスでやり易かったです。
