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花日和 Hana-biyori

「飛ぶ教室」の彼らは何歳なのか

ケストナーの「飛ぶ教室」って、主人公の少年たちの年齢が分かりづらくないですか?

というのも、先日久しぶりに友人とお茶していましたら、「飛ぶ教室」の話が出まして。

高橋源一郎の同名ラジオ番組が好きだから、どんな名作かと期待して読んだけど「良さが分からなかった」とのことです。

まーそういう人もいるよな、私も読みづらかった所あるし…と思いましたが、

「16歳にもなって帰省できないことに泣いている、寮に残る友人もいるのに」

といったことを仰います。

そこで私は、ん?16歳ではなく13歳くらいの話だったのでは?と気になりました。

それで、あとで手持ちの本を確認してみましたが、まあ分かりづらい。

本文にはたぶんはっきり何歳と書いていなくて、一番古い岩波の高橋健二訳は高等中学の寄宿舎の「高等科一年生」とあるし、光文社の最新訳は「寄宿学校の5年生」、偕成社版は「4年生」でした。(ちなみに友人は青い鳥文庫の山口四郎訳を読んだそうです)

で、偕成社版の解説にドイツ独自の学校システムの詳しい説明がありました。

この物語が出版された1933年と今ではちょっと違っているようですが、1960年代までは10歳から18歳までのギムナジウム(進学コースの寄宿学校)の4,5年生をテルティアと言い、「テルティアのマルティンたちは十三、四歳、プリマのテオドールは十七、八歳です。」とありました。

つまり彼らは13歳か14歳かはっきりしないけど、16歳よりは子ども、とは言えるようです。

とはいえクリスマスに帰省できないことでめそめそ涙を堪えている10代の少年ということは変わりません。そこに感応できるかどうかは、人それそれぞれというわけでしょう。一つ気になったら話に乗れないってよくあることですし。

それで、以前この本が課題本だった読書会に参加したときのブログを見返してみました。

大好きだという人の話はニコニコしてしまうし、一方「子どものとき読んだけどつまらなかった、いま読んで面白いかというとそうでもない」という人もいたりして面白い。

いろんな受け止め方があって、それはそれで気付かされることがあるので、人と本の話をするのはホント楽しいですわね。


***

9/27追記: コメントいただいたはづきさんによれば、講談社(青い鳥文庫)の山口四郎訳はあとがきに「16歳くらい」と書いてあるそうです。友人の勘違いなどではなくその解説がちょっとアレだった…ってことみたいです。



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コメント一覧

hana-biyori
はづき さんへ
わーいコメントありがとうございます

ご明察の通り、友人は先にあとがきを読んでいたそうです。青い鳥文庫は16歳くらいって明記しているんですね。そりゃしょうがない。教えて頂いてありがとうございます!

私もマルティンがお金なくて帰省できないことを悲しむ「泣くこと厳禁」の場面に目頭が熱くなったほうなので、16歳は親離れして然るべき的な意見もまあそうか…と思いつつ釈然とせず(映画でも子どもたちはもっと幼かったし)年齢が気になってしまったのでした。

>「(母)親に愛し愛される優等生」キャラで、現代の感覚としては

確かにそうですね、むかし私が見た映画でもマルティンじゃなくジョニーが主役になっていたような。時代の違いも受け止めかたに影響しますね。

山口四郎訳は、年齢はともかく思春期の話だよって感じで明確にする必要をあんまり感じてなかったかもしれませんね。

読書会はこれ去年かと思ってたら一昨年の話で時の流れの速さに愕然としました。この回のはづきさんのコメントは特に楽しいので書いておいてよかったです。
はづき
わーい『飛ぶ教室』の話題だ! 話すと長い!(予告です)

山口四郎訳は訳者による「解説」で、「マルチンたち高等科一年生はだいたい十六歳だと考えていいでしょう」とあります。(1992年刊の講談社青い鳥文庫を2003年講談社文庫版にするとき、新装版として版をあらためたとしていますが、解説はそのままのようです。というかほぼ誤訳の一箇所もそのままです)

なのでご友人はさきに解説を読んだか、読んでてしっくり来なかったところに解説を読んでおまえ十六だったんかい! ってなったのか、ですね🥲 個人的には、「お金が足りない」を理由に級友がほぼみんなできていることが自分にはできない、と泣く十六歳男子がいてもぜんぜんおかしくないとは思いますが…… マルティンはケストナー作品では定番の「(母)親に愛し愛される優等生」キャラで、現代の感覚としては主役級にするなら親への思いを愛情一辺倒には描かれないだろうな〜ってところはありますよね。

はあ、長くなってしまった!笑 あと読書会はやっぱり記録してもらえることの有り難さを感じました。よぅしゃべってる自分。あらためて、いつもありがとうございます。
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