図書館で、その人の伝記的な絵本『大統領を動かした女性 ルース・ギンズバーグ ~男女差別と戦う最高裁判事』(ジョナ・ウィンター/ステイシー・イナースト:絵/渋谷弘子:訳/汐文社)を見つけたので借りてきました。

映画ではすでに結婚して子供もいて、法科大学院に入学するところからでしたが、こちらは子どものころから始まっています。ルースのお母さんが子どものころから受けてきた女性差別から描き、ルースの幼年期や、優秀で活発だったティーンエイジャー時代、最初の大学で夫となるマーティンに出会うところなども。父親に大学院に行くことを反対されても、ルースは諦めず結婚して家を出ていき進学。おまけに子どもを抱え病気の夫を看病しながらトップの成績で卒業しているんだから大変なスーパーウーマンです。
女だから、結婚したから、子どもができたから、といってすべてを諦めるようなことは絶対にないという生き方がうらやましいです。
折々に、ルースが出会った女性差別が裁判中の証拠提出を読み上げるような形式で紹介されていました。妊娠中に給料を減らされたり、法律図書館では雑誌閲覧室への入室を「女性だから」という理由で拒否されたり。映画に出てきた、大学院での女子を集めた食事会でのイヤミもありました。
興味深かったのは、「名門コーネル大学で、女子学生は男子学生からデートに誘われたいと思えば、かしこくないふりをしなければならなかった」というくだりです。ルースは勉強しているところを見られないよう、トイレで勉強していたそうです。そんな時代でしたが、日本もいまだに似たような風潮がありますね。しかし「マーティンは、ルースのかしこいところを好きになったのです」というのが次ページにきて、とても希望が持てる流れになっています。
それから、ルースは世の中を変えるために弁護士になったのではないけれど、弁護士に必要な資質はどんな男性にも負けないと思ったから弁護士なった。けれど、ルースはアメリカ女性のためにたたかい、勝利し、世の中を変えている――。というクライマックスも感動です。
絵本なのでダイジェスト的な流れにはなりますが、十分感動がよみがえる内容でした。読み聞かせに向かないわけではありませんが、残念ながら音読に21分かかりました。いつか紹介だけでもしたいものです。