おいしそうな表紙と可愛らしい字面のタイトルに惹かれてなんとなく読みだしたら、面白くて止まらなくなってしまいました。
ことごとく店を潰してきた30代の崖っぷちシェフ潮田亮二が、同年代で無愛想な凄腕猟師、大高と出会い諸々突破口を発見していく。自然と動物の命に向き合う、食にまつわる物語。
大高の無骨できっぱりとした口調や犬ファーストな態度がかなり魅力的でした。正しく必要最低限のことしか言わない大人ってやつです。世捨て人のようでいて、害獣駆除を請負うなど人の生活を守り、そのなかで野生の命と真摯に向き合う姿に好感が持てます。(途中から松山ケンイチで想像してました)
一方、亮二は料理人としての腕は良いものの経営となるとセンスがないらしく、ジビエ料理にこだわったオーナーに拾われなければ才能の無駄遣いで終わる境遇にありました。(こちらは中村倫也か松下洸平でどうかな〜とかおもってみたり)
それが大高との出会いで変わっていくわけですが、大高からもらった猪肉で創作意欲がわくところでは、料理ってひとつの芸術でもあるんだなと気付きました。だからアーティストのこだわりだけでは経営が上手くいかないのかも。
もちろん、二人の出会いで何もかも上手くいくようには出来ておらず、雲行きが怪しい事件も起こります。
この事件、動物愛護の観点からみると猟師がいたずらに野生動物を殺傷しているように見えるというもので、非常にもどかしい。農家や林業への被害もあり、生存圏が近い以上、増えすぎる鹿や猪の駆除は避けられません。そこに、どう向き合うかは難しい問題ですね。
どうしても殺さなきゃいけないなら、なるべく無駄なく食べるというのは必然のような気がします。
スーパーで買ってきた肉を毎日何も考えずに食べている自分も無関係ではなく、人間が野生動物というか動物を殺して食べるということについて、さまざま考えさせられました。
若干バディものみたいな感じもあり楽しく、ジビエ料理について多少の知識も得られ、軽く読めるわりに骨太なテーマで読み応えがありました。
スーパーで買ってきた肉を毎日何も考えずに食べている自分も無関係ではなく、人間が野生動物というか動物を殺して食べるということについて、さまざま考えさせられました。
若干バディものみたいな感じもあり楽しく、ジビエ料理について多少の知識も得られ、軽く読めるわりに骨太なテーマで読み応えがありました。