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花日和 Hana-biyori

うっかりそうなってしまった人たち

フォークナーの『野生の棕櫚』、まだ全然読み終わってないのに感想を書いておくの反則でしょうか。(しょっちゅうやってますが)

400ページの本ですが、まだ60ページほどの所ですよ。文章は覚悟していたより難しくないのですが、時々()で長い注釈が入るのがちょっと読みづらい。あと、時々センテンスが長くて「。」でなく「、」でつないでいく文章があるのが、記憶力が乏しい私には読みづらいです。

でも、内容は面白いです。

なるほど交互に全然ちがう話が展開するのですが、共通しているのはアメリカ南部(ミシシッピー州)が舞台で、登場する人は、なんだかうっかり退っ引きならない境遇に陥っちゃった人たちだなってことです。

医師が出てくるエピソードのほうは、人妻と恋に落ちて二人で出奔する研修医の話がいまのところのメインです。もう一方は強盗殺人の罪で懲役百年以上の囚人。

人妻と恋に落ちてと言っても全然ロマンチックな描写はなく、むしろ貧乏に負けて逢瀬が失敗するなど寒々しい!なんでこれですべてを捨てて二人で都会に行こうってことになるんじゃ…と腑に落ちないことおびただしい。

が、人間ってどうしようもなくだめな方に流されるってこともあるよね…と何処かで納得もしてしまいます。それくらい彼の境遇はそもそもギリギリだったのです。

囚人のほうも、実は共犯の二人のせいで何故か自分だけが一番重い懲罰を背負ってしまった人です。別に陥れられた訳じゃないけど、いわば賢い選択をできなかったというのかな。

それぞれの人物像の掘り起こし方がえっぐいですね。まだ全然話の本筋に入ってないと思いますが、彼らがどうなることやら気になります。




 
 
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