悩みや苦しみの中におられる方のお話をお聴きしていると
みなさん「過去」の哀しみとか「未来」の心配にとらわれておられます。
私自身もそうなのですが、なかなか「いま」という時間に
意識を持っていくことができないのです。
ひとりの男の方が電話をかけてこられました。
お話になる息遣いからして
とても苦しい心理状態にあることが察しられました。
いまどこからお電話をされているのかとお尋ねしたら
公園のベンチに座ってお話をしているということです。
寒くないだろうかと心配になってお聴きすると
「細かい雨が少し降っているけれど
おひさまが射してきたので
そんなに寒くはないですよ」と
ご自分がおられる周りの様子を私に説明してくださいました。
その瞬間にきっと意識を今へ持っていくことができたのですね。
その方が、急にひらめいたように
「きょうは、仕事がお休みなので床屋へ行ってきます。」
とおっしゃったのです。
それまでその方がずっとお話しくださったご家庭の状況というのは
うかがっている私にもほんとうに重くてしんどい状況なのですけれど。
「床屋へ行ってさっぱりしよう」とひらめかれたことに
私もほっとする思いでした。
人生はいつも瞬間瞬間の連続で
実際に苦しい時間は
そんなに長く続いているわけではないそうです。
私の感覚では、過去も未来も
時間というのは絶対的なもので
そこから決して逃れられないように思って
哀しみや苦しみにずっと支配されてしまうのですが。
物理学者の難しい研究では
「時間」というのは絶対的ではなく
「5次元の世界」というものがどういうものなのかは
私にはさっぱりわかりませんけれど。
時間にとらわれて
過去や未来へ思考を向けて苦しむことなく
この瞬間瞬間へ意識を向けたいものです。