須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

花月のお料理(66)~茗荷のお寿司

2021-07-19 17:14:20 | 花月のお料理
生姜(しょうが)と茗荷(みょうが)、似て非なるものですね。いずれもショウガ科ショウガ属の食用植物、生姜は球根を食べ、茗荷は花穂や若芽を食べる違いがあります。



「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」・・・と、どこかで聞いたことがありますね。周利槃特(しゅりはんどく) という釈迦の弟子、「愚路」とも呼ばれたこの方は、後の十六羅漢のお一人です。
釈迦の弟子中、もっとも愚かで頭の悪い人だったと伝えられています。ウィキによると釈迦は愚路を教団から追い出すことなく、彼に一枚の布を与え、「塵を除く(払い)、垢を除く」と唱えさせ、掃除だけをさせました。愚路はこの行いから「落とすべき汚れとは、貪、瞋、痴という『心の汚れ』だ」と悟り、大悟されました。
ちなみに「心の塵、心の垢」とは行動・経験・習慣等によって作られた「偏った見方や頑固な思い込み、こだわり」のことだそうです。 

「塵(ちり)と垢(あか)を掃除する」という言葉と掃除だけを与えられた愚路が、それを繰り返し毎日続けて掃除一筋20年、ついに大悟に至った、小さいことでも侮らず繰り返す毎日の努力がいつか実を結ぶ・・・良いお話ですね。日本の学校で「清掃」が教育活動になっている理由の一つもここにあるそうです。

周利槃特(しゅりはんどく)にはファンが多いらしいのですが、その魅力の理由は「人からの評価ではなく、自分のできること(好きなこと)を一生懸命続けた結果、心の平安を獲得するということができた人だから」なんですって。 「天才バカボン」に出てくる「レレレのおじさん」のモデルだという説もあります。 

で、茗荷と物忘れ。周利槃特(しゅりはんどく)の死後、墓の回りに生えてきたのが茗荷、自分の名前を覚えられず「名」を書いた板を背中に「荷なって」いたことから「茗荷」と名前が付けられたそうです。

「茗荷のお寿司」は八寸に入っていた一品なのですが、この時期色目も美しく、ほのかな苦味と酸味が寿司酢とあってシャキシャキで爽やか!!茗荷の香りには食欲、消化、発汗を促す効果の他、集中力をUPさせる効果もあるそうで、周利槃特(しゅりはんどく)も大喜びでしょう!!



    モフ、相変わらず修行者の風貌。可愛さだけでない、変わった魅力の猫仙人です。

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花月のお料理(65)~鱧の梅香鍋

2021-07-01 19:03:22 | 花月のお料理
ブログも一年が過ぎ、二巡目の初夏です。ということで何度も鱧を取り上げましたが、今回はまた違う料理法をご紹介します。

私は神戸に住んでいるので、鱧で有名な淡路島に、毎夏一回は「鱧づくし」料理を食べに出かけていました。
淡路には料理旅館の日帰りコースがたくさんあります。南あわじ温泉郷でお風呂と鱧の湯引き、お造り、天ぷら、鱧鍋など定番のコースを一通りいただき、満腹で帰宅する「体重計に危ない」コースは好きな定番コースの一つで、その他バスツアーもたくさん出ています。



南あわじ温泉郷の他にも、福良の料理旅館で上沼恵美子さんの子供の頃のお話を伺ったり、阿那賀港近くの民宿で食べきれないほどの鱧を半泣きでお腹に入れたり・・・と鱧といえば枚挙にいとまがありません。

うちの父の教えは「物より食」でしたから、冬になると蟹やフグ、ボタン鍋など、家族や友人と「体重計に危ない」コースのハシゴを楽しんでいましたが、ここ一、二年はコロナ禍で出かけられないので残念です。

さて、鱧の梅香鍋、書きながら口の中がジュワっとします。鱧といえば梅肉かからし味噌でいただきますが、梅肉を使ったお出汁でいただく鱧の小鍋は最高でした。もちろんいつものドッカン鱧食いはできませんが、花月のコース、全体のボリュームはなかなかのもので、お昼に行くと夕食が食べられない時があります・・・あぁ、歳とって残念・・・。



美味しいものを美味しいと思えるうちに食べるのは、「生きる幸せだ」と晩年胃がんになった父から学びました。ちなみに鱧づくしコース、胃と味覚がなくなった父は「思い出で食べている」と言ってました。とはいえ、その大半が私達に回ってくるので、父と食事に出かけていた頃は、いつも1.7倍ぐらい食べて、5キロぐらい太ったと思います。



それもいい思い出・・・晩年に「思い出で食べられる」ぐらい美味しいものを食べ、記憶に留めたいものです。

ゴッド・マザーは子育て中も余裕の息抜き・・・見よ!花月猫ちゃん達の目力の原点はこのビビだ!


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花月のお料理(64)~うすい豆腐・うすいしんじょ鱧よもぎ麩お椀・賀茂茄子の銀餡かけ

2021-06-28 20:20:36 | 花月のお料理
「うすい豆」は「うすいえんどう」と呼ばれるえんどう豆です。グリーンピースよりも青臭さがなくほのかな甘みがあるそうで、和歌山紀州の春の特産物として「紀州うすい」と商標登録されていてるそうです。


ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な優れた食品、そのまま焼いて食べても豆ごはんにしても美味しくいただけるそうですが、今回、料理長お得意の変わり豆腐で一品目スタートです!

しばらくして、うすい豆再登場です。うすいしんじょに夏の魚である鱧とよもぎ麩のお椀、季節を感じるお椀をいただきました。

この二品、うすい豆の色はうす緑で可愛い!お味はホクホク感やさっぱり感がありました。



加茂茄子は以前にも紹介したことのある京野菜の一つです。花月のお料理(26)で一度取り上げましたね。大きくて立派な丸茄子を見ると、いつも華やいだ気持ちになります。今回のトピックは「銀餡」。私は初めて聞いた料理法ですが、見た目はあんかけ焼きそばの餡と同じなんです。でも言うまでもなく違いますよね。銀餡とは片栗粉や葛粉などを出汁で合わせ、低温加熱、色目を付けないように煮立たせた「餡(あん)」なんですって。



餡は銀色でないのになんで「銀餡」と呼ばれるか不思議ですね。見た目は薄い透明でとろみがありますが、光が反射すると銀色に見えるという理由だそうです。そうか!銀シャリとか言いますもんね。写真を見てみて!! 銀色に光ってますか?



銀餡の作り方に類似するもので、お醤油を使って黄金色の「べっ甲」に見えるように仕上げるのは「鼈甲餡」というそうです。餡かけも奥が深いですね。

ステキな器に大きな丸茄子をドーン、彩りの具材を乗せたものを銀餡でトローリと味わいながらいただきました。しかし食後はさっぱり、すっきり・・・これこそ夏のお料理です!!

お昼寝ウニ太郎。ボブ兄と共に北側バックヤードを守っていた父??子供達は西エリアにデビュー



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花月のお料理(63)~真鯛抹茶葛打ちと魚そうめんのお椀

2021-06-16 23:34:46 | 花月のお料理
葛を使った日本料理、料理長お得意の分野なのは皆さま、もうお分かりですね。
春のお料理は萌黄色が目を楽しませてくれます。今回のお椀は抹茶葛打ち、白身の真鯛に下味をつけて葛粉をまぶし、茹でたものを椀種にした一品です。

まず色合いをお楽しみください。 日本料理はやはり季節の色彩、上質な花月のお椀でいただくとさらに美味です。



真鯛のさっぱりしたお味に抹茶の香りがほのかに心地よい、そしてたっぷりの三つ葉・・・香り種のハーモニーが響きます。そして出汁は言うまでもなく絶品です。

魚そうめんがピンクなのが可愛いと思いませんか?

料理長の色合わせはいつも可愛らしく、食欲を更にそそりますね。

花月随一のカフェラテ猫パンさん

おくつろぎのご様子

おみ足を前方展開中

特集おわり


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花月のお料理(62)~甘鯛若狭焼

2021-06-14 22:50:26 | 花月のお料理
「若狭焼」とは若狭の甘鯛を酒焼きしたことに由来して、その地名が使われているそうです。酒焼き ・・・そういえば料理長は「たれに酒の量が多い」と説明してくださいました。 

酒または酒にしょうゆを合わせたたれを若狭地と呼ぶそうです。若狭という地名、何となくお魚が美味しそうなイメージが湧いて来ますね。焼き方は、甘鯛等、うろこの細かい魚をうろこがついたまま焼くのですが、魚自体は塩をあてた物でも干物でもいいようです。 若狭地を皮にかけながら、うろこが逆立たないようにこんがりと丁寧に焼き上げ、仕上げます。


甘鯛若狭焼

食べ方はもちろん皮ごと・・・最近、魚の皮を食べられられない人も多いですが、若狭焼なら丸ごと美味しくいただけます。今回は皮もきれいに細工されていましたので、美味しさUP!!でした。

若たけのこ、ワカメを添えて更に春らしく、鯛のピンク、若タケノコの黄色、わかめ青緑、これもまた春の色合いと言えましょう。はじかみ生姜 もきれいですね。

日本料理の味わいを更に高めるのは「盛りつけ・配色・器」等ですね。盛りつけや配色は料理長の腕の見せどころ、花月の和食が素晴らしいのは言うまでもありません。

片口皿に盛りつけられた花月のお造里

さらに忘れてならないのが器。花月自前の器はとても上質です。先日、閉店直前の「太閤園」へ行きました。特別な器の展示なども見て回りましたが、花月の器がいかに優れているか、よ~く分かりました。工芸品の優劣を比べているのではなく、普段使いの器のことを言っているんです。花月ではランクの高い器をランチメニューにも使っているのですよ。


焚合の器も素敵です

太閤園の元の持ち主でいらっしゃった藤田男爵は晩年、須磨にお住いを移し、よく花月を利用されました。「藤のお椀」等、藤田男爵お持ち込みの漆器類・食器類もたくさんありますが、花月ではこれらの名品を会席コースの普段使いとして使用しています。太閤園のように大規模の料亭でないからこそできることがあるのです!

名品も置いているだけではもったいない、日々、料理に使ってこそ器も生きる!いつも最高級のおもてなしが花月の心意気です。


かくれんぼ中


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