須磨観光ハウス~花月と猫の物語

1937年(昭和12年)に神戸市迎賓館として誕生した須磨観光ハウス「花月」と猫ちゃんたちを応援するブログです。

花月のお料理(61)~よもぎ豆腐・よもぎの葛饅頭

2021-06-10 06:04:30 | 花月のお料理
よもぎは薬草として古来から用いられた野草です。キク科の多年草で、道端でもよく見かけますね。
デトックス作用や浄血作用があり、アトピー性皮膚炎、便秘、睡眠改善、ガン予防にまで効果があるそうです。またもぐさとしてお灸にも使われています。止血効果もあるそうで、まさに万能薬だったんですね。

ウィキぺデアによると、「ヨモギ属の属名 Artemisia は、ギリシャ神話の女神アルテミスに由来し、月経痛・生理不順・不妊に効果があるとされ、「女性の健康の守護神」の意味である。ヨモギは、その他の多くの薬効があることからハーブの女王の異名がある」・・・フムフム、それは心強い。そういえば「よもぎ蒸し」という女子向きのサウナがありますね。

よもぎは食用として草餅や草団子にいれることから、別名モチグサと呼ばれています。今回も料理長お得意の流しものから、葛饅頭とかわり豆腐をご紹介します。

まず「よもぎ豆腐」、よもぎはキク科の野草ですから香りが高くお豆腐にあいます。色合いもきれいでした。

あえてよもぎの粒感を出さない上品な仕上げ

次に「葛饅頭」。これは!!料理長は素晴らしい料理人ですが、優れた和菓子屋さんにもなれたのだと思います。ただ。。。とても手間がかかるようで「二度と作らない」を、またいただきました!そうはおっしゃっても強くお願いすればたぶん作ってくださるはずです。それだけ自信作という意味だと解釈していま~す!!

トッピングのきな粉が金粉のよう

葛の柔らかさは絶妙、水饅頭の透明なトロトロ感によもぎの緑が季節感を醸しだします。そして中味は・・・餡とミカンだったんですっ!よもぎの緑、ミカンのオレンジ、餡の黒、三色が葛饅頭の水に映えて美しい出来栄えでした。お味も味の濃いよもぎとミカンを餡とともに楽しめ、甘すぎず本当に美味しゅうございました。

中にうっすらと餡とミカン

くつろぐパンさん


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花月のお料理(60)~桜蒸し吉野仕立てのお椀・胡桃豆腐

2021-04-25 23:19:42 | 花月のお料理
春らしいお椀をいただきました。あんこのない桜餅をつかった一品です!

花月のお料理(42)でも「吉野仕立て」の説明をしていますので、ご参考にしてくださいね。よろしくお願いします。



桜餅・・・葛餅と同じく、桜餅も関西・関東の違いがあるようですね。
関東では「小麦粉でできたピンクの皮であんこを巻いた長命寺」、関西では「ツブがあるもち米であんこをくるむ道明寺」を桜餅と呼んでいるようです。

どちらにも寺の名前が使われていますが、「長命寺」は売った場所にちなんで、「道明寺」は大阪にある道明寺で加工された道明寺粉(米粉)を使っているからだ、ということです。

関西 vs 関東のあるあるで長野県以北で長命寺の桜餅が好まれるようですが、なぜか島根県は長命寺桜餅。お殿様が江戸から持ち帰ったという説が有力です。なぜか北海道は道明寺、こちらは北前船の影響だそうで、江戸時代は船が飛行機の役割をしていたのですから、さもアリなんですね。

お花見にちなみ、今回のお椀はあんこのない道明寺桜餅です。塩漬けにした桜葉の上に大粒のハマグリや桜の花びらに切りぬいた淡い色の人参がそっと置かれていました。それが美味い!!ハマグリや人参に桜葉の塩味と香りが移って何とも言えないんです!続いて、つぶつぶお餅のもっちりした食感と細切り魚そうめん、もちもちツルツル、お出汁はもちろんのこと、一つのお椀の中に二度、三度、四度と美味しさが広がります。凄いね!料理長、脱帽です。



胡桃豆腐、見た目は今までのお料理と同じですが、エピソードを一つ紹介したいので取り上げます。胡麻豆腐と違って胡桃豆腐、ゴマ比べてクルミの味は出にくいでしょうが、今回は胡桃のお味をしっかり感じました。実は半年ほど前に「あまり胡桃の味がしない」と偉そうにダメだししました。研究熱心で謙虚な料理長はちゃんとお味を改良されていました。一人ひとりのお客さんの意見に対して、謙虚に大事に耳を傾けてくださる料理長の凄さがわかる一品でした。







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花月のお料理(59)~特選和牛陶板焼「鉢伏」・鯛の博多押し

2021-04-07 21:20:00 | 花月のお料理
まずは焼く前の和牛肉をご覧あれ!
「肉、食べたい~!!」、そういう時がありますね。



このお肉は増量150gですっ!!特選和牛陶板焼のコース「鉢伏」・・・皆さま、美味しくてごめんなさいね~。

「鉢伏」のコースでは和牛サーロインステーキ90gのお肉が食べられます。そしてそして、私のように150gのリクエストもできるんです。お値段は変わりますよ、ごめんなさいね~。

その「鉢伏」から「鯛の博多押し」をご紹介します。



日本料理における「博多」とは、博多帯の縞目になぞらえた料理全般をいうようで、色の異なる素材を重ねて切り、博多帯に似た縞模様が見えるように盛り付けます。博多押しの他に「博多焼き」「博多揚げ」等もあるようです。

このお料理は副料理長に教えていただきました。「これは博多押し、博多帯みたいやろ」と・・・本当ですね、感心しました。鯛と昆布の味が合います。書きながら、甘酸っぱい酸味とあっさりした鯛の味を思い出して、ゴックンしました。美味しかった~。

料理長さんとマネちゃんを「co-opステーション」4月号のお花見記事で、ご承認を得たうえで紹介をさせていただきましたが、 実は副料理長さんも気さくでステキな方です。料理長・副料理長のお二人には、たまにお声掛けいただくのですが、お二人はとても仲が良さそうです。チームワークの良いところに良い仕事あり。花月のお料理が絶品なのも納得です。

さてその博多帯、キュッと締められて気持ちいいので夏の浴衣に良く使います。五行説により青、赤、黄、紫、紺の5色が基本色だそうです。博多帯の図柄は仏具がモデルだそうでビックリしました。

ルイ・ヴィトンも日本の家紋にインスピレーションを受けたと聞いていますが、日本の仏具や家紋のデザイン力って本当に凄いんですね。

因みに、花月猫ちゃん達の中にも、大ボス縞次郎を筆頭に「博多押しの猫」がた~くさん。皆さまのご来店をお出迎えしていま~す。









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花月のお料理(58)~筍の木の芽味噌(姫皮)・サーモン奉書巻・菜の花・蓮イモ・三色団子

2021-04-07 02:07:00 | 花月のお料理
今回ご紹介する春のお料理の数々は主役ではありません。

例えると、2021年3月末に天国に行かれた「北の国から」田中邦衛さんのように「名脇役」ともいえるお料理でしょう。今後も長く忘れられない存在感が光る田中邦衛さんのように、これらの小さいお料理も一つ一つが宝石のように輝いています。例えるなら箱入り高級チョコレート、見た目も美しく一口で食べられますが、その一粒一粒が微妙に違っていて、繊細な味覚が楽しめます。



筍の木の芽味噌、今回は姫皮と一緒にいただきました。美味しさのあまり写真は撮り忘れましたが、姫皮が珍しく、ご紹介します。春の筍は香りもいいですね。筍を茹でて皮をむいた時に、皮の内側に残る柔らかい部分が姫皮です。家で茹でることがあれば捨てずに食べてみてください。シャキッとして美味しいです。今回は姫皮をお皿のようにしていただきました。

サーモンの奉書巻。奉書巻はおせち料理にも入っていました。奉書紙を巻いたように仕上げた料理です。サーモンを巻き込んでさっぱりといただきました。

菜の花は言わずもがな、春に相応しい旬の食材です。花月のプライドは出汁の旨味、菜の花の味付けは素晴らしいの一言です。



刺身のあしらいに用いられる蓮イモは茎の部分を食べます。味自体はあまりありませんが、見た目がレースのように美しい食材です。私の第二の故郷タイにも自生し、茎はゲーンソム(カレー)にして食されるようですから、別の食べ方では既に口にしていたようなんです。味のない(薄い)食材って侮れない応用力を持っているんですね。何か感動しました。



最後に三色団子。こちらも春らしい色合いと可愛らしさが際立つお料理です。
ピンクには梅肉、白にはくちなし、緑には抹茶、食品を使っての着色です。

私は花月のお料理の中でもこんな名脇役たちが大好きです。

料理人さん達は小さいお料理を一つ一つ大事に丁寧に仕上げる、お客さんは一目の楽しみ一口の味わいを喜ぶ。

作り食べる・・・双方が料理に対して真摯に向き合う至福の時なのです。







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花月のお料理(57)~特別注文・蟹のフルコース

2021-03-15 07:16:09 | 花月のお料理
正月明けに米寿を迎えた母を花月でお祝いしました。その時は日帰りプラン(お風呂入浴付き・和室)をアレンジしていただいたのですが、今回も無理をお願いしてしまいました。

蟹のフルコースです。3月に蟹・カニ??? もはやシーズンオフ直前なのに?

実はうちの母はフレイルのため足が弱くなっています。リハビリを重ね最近少しずつ良くなってきましたが、やはり長距離の旅行は難しいです。ましてこのコロナ禍で2年目の冬にあたる今年も、念願の蟹旅行は叶いませんでした。
 
花月の特徴の一つとして「お祝い事」が多いことあげられます。コロナ禍の今でも、結婚前の顔合わせや長寿祝いなど、ご家族の皆さまに集まって使っていただくこともしばしばです。加えて、コロナ前には退職祝いや歓送迎会、法要の集まりなど、ご家族さま以外でも、多人数でご利用いただける機会が多くありました。早くその頃に戻れるといいですね。

戻って・・・母は「これで2年間蟹を食べなかった。これで今年死んだらもう蟹が食べられないんやな~」と言ったのです。まだまだ元気、今年も元気に憎まれ口をきくでしょうが、すでに亡くなった猫達のことを思いだすと、自分も含めて誰にせよ寿命に絶対はありません・・・まして88歳、絶対はありません。私達、子供はそんな事後談を抱えて生きるのは嫌です。

なんで2月に言わなかったのか・・・というと、寒い中階段を上がる自信がなかったそうですが、先日「卒寿」のお客さまがいらっしゃったという話を聞いて、(たぶん負けん気で)気が変わったようです。

それでマネちゃんと料理長に無理を言い、津居山漁港等の蟹を調達していただきました。卵いっぱいのセコガニから始まり、華が咲いたような蟹のお刺身、焼蟹、甲羅焼、茹で蟹、蟹すき、蟹飯、デザート、コーヒーといただきました。蟹の味は説明しなくていいでしょう。料理長も「蟹は蟹で美味しいものだ」とおっしゃってました。

しかし特筆すべきは、セコガニのさっぱり薄く甘酸っぱい味付け、塩辛くないのに蟹の風味がいっぱいの甲羅焼、などなど・・・料理長ならではの味付けも随所に感じました。普通のフルコースで終わらないのがやはり料理長です!最後に食べた蟹飯、お出汁が軽く効いたご飯は蟹の風味を損ねず、絶品すぎて写真も忘れました。

では、特別注文・蟹のフルコース、写真だけですがご覧あれ!!










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