8月7日のまにら新聞から 新聞論調
「麻薬戦争」の捜査を加速させよ ICCになすべき最善の対応
マルコス大統領は1日、ドゥテルテ前政権下で多数の死者を出した「麻薬戦争」について捜査協力を求めている国際刑事裁判所(ICC)に「再加盟する意志はない」と言明した。マルコス氏はかねてよりICCに協力しない考えを示唆しておりそれを裏付けた格好だが、これに対し大統領府は主権の問題だとし、大統領を擁護している。
7月、ICCは政府および被害者の親族ら関係者に対し、9月8日までに捜査協力の可能性について答申するよう要請していた。
ICCは2019年、ドゥテルテ氏がダバオ市長だった11年11月から16年6月まで、そして大統領に就任してからICCを脱退する19年3月19日までの「麻薬戦争」における超法規的殺害について予備調査を開始。昨年9月には本格捜査を承認したが比側が自ら調査を行うと表明したのを受けて捜査は停止されている。
ICCは、捜査手続き開始時に比は加盟国であったため、脱退が捜査に影響を与えることはないとしている。つまりICCは、超法規的殺害など、同裁判所が起訴可能な犯罪について比が正当な捜査を行うことが不可能、もしくは行う意思がない場合、正式な捜査を開始することができるという立場だ。
ゲバラ訟務長官は、ドゥテルテ政権の司法相時代に麻薬戦争の捜査を始めたが、「これほど大規模で複雑な捜査は数カ月では終わらない」として、「ICCは比の捜査が終わるのを待つべきだ」と述べている。
法執行機関によって報告された約6200件の「麻薬戦争」関連の殺害事件で、司法省は150人の警官を含む52件を調査し、裁判になったのは5件だけである。
マルコス政権がICCになすべき最善の対応は、「麻薬戦争」の捜査を加速させることである。比の刑事司法制度が十分に機能していれば、ICCの捜査を受け入れる必要がないことは明らかであろう。(3日・インクワイアラー)
自己評価だからこそ良い指標 SWSの貧困率調査
ソーシャルウエザーステーション(SWS)が実施している自己評価による貧困率調査は、国民の日々の暮らしの実態に根ざした有用な指標だと思われる。
2019年3月以降を見てみると、自分の世帯を貧困と思う割合は19年12月が最高の54%。21年5月が49%と2番目に高く、直近の22年6月と21年同月は48%だった。その他の月はコロナ前の38%から選挙前の43%の間。インフレや防疫規制など諸要因に大きく影響を受ける体感貧困率の動態を明らかにしている。
6月26~29日に実施された最新の調査の結果としてSWSは「自世帯を貧困と思う世帯は第1四半期の109万世帯から第2四半期には122万世帯に増加した」と報告した。
反対に「貧困でないと」思っている世帯は全国では21%だった。地方別に見ると、首都圏では26%から37%へ、ビサヤ地域では6%から10%へと改善。一方で、ミンダナオ地方では7%と変わらず、首都圏除くルソン地方では37%から28%へと急落。地域より異なる体感貧困率が数値に反映されている。
ただし、サンプリングの精度としては、全国の値の許容誤差はプラスマイナス2・5%なのに対し、首都圏除くルソン地方はプラスマイナス4%、首都圏とビサヤ、ミンダナオ両地方はプラスマイナス5・7%と大きめになっている。サンプル調査を読む際は誤差への注意が必要だ。
民間のSWSは政府の貧困削減政策に関し、有用な情報を提供した。それに対しアンヘレス大統領報道長官はジョクノ財務相が設定した「2028年までに貧困率9%に減少」をオウムのように繰り返した。しかし、どのように目標を達成するかについて詳細を説明できていない。
民間調査は、政府が貧困削減にどれだけ真摯に取り組んでいるか確認するためにも重要な役目を果たす。政府は民間調査会社にも知恵を求め、最善の政策の策定の努力をすべきだ。(6日・マラヤ)
2022年8月7日のまにら新聞から 新聞論調(読み上げ)
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