2022年12月7日のまにら新聞から
12月7日のまにら新聞から
日本の戦闘機が戦後初飛来 クラーク空軍基地で歓迎式
部隊間交流参加のため空自戦闘機が戦後初めて比に来比。クラーク基地で到着式開催
パンパンガ州クラーク空軍基地で6日正午ごろ、先月27日から実施されている比空軍と航空自衛隊の「部隊間交流」に参加するため、航空自衛隊が保有する戦闘機「F―15」2機が到着した。同機は8日まで比で活動に参加する。日本の戦闘機が比に訪問するのは戦後始めて。また空自戦闘機の海外訪問はこれまで、安全保障条約を結ぶ「同盟国」米国と、訪問部隊の法的地位を定める円滑化協定を結ぶ「準同盟国」豪州の2カ国だけだった。2カ国以外では比が初となる。
在比日本大使館および空自は、今回の空自部隊訪問はあくまで「交流」であり「訓練」を含まないとしている。台湾を巡る米中対立の激化をはじめ地域の安全保障環境が不安定化する中、現行の枠組み内で可能な限りの空自・比空軍間協力関係の深化を内外に示した格好だ。
空自「F―15」2機は、宮崎県の新田原(にゅうたばる)基地から比領空に到着。比空軍は戦闘機「FA―50」4機を派遣して出迎え、クラーク空軍基地上空では両国戦闘機による初の編隊飛行を披露した。
「空自の通常訓練ではかなりまれ」という約4時間の長時間飛行を経てF―15で比に降り立った空自第5航空団飛行群第305飛行隊の有澤章太郎隊長(2等空佐)は記者団に対し、「戦後初めて比に戦闘機を持ち込むという重責を成し遂げ、安心と達成感でいっぱい。現在はインド太平洋地域で協力を促進しなければならない状況のため、相互連携、相互理解を深め、地域の安定に貢献できれば」と語った。
また比空軍機との編隊飛行については「初めての経験。比軍機(FA―50)を見るのも初めてだったが、素晴らしいフォーメーションを組むことができ、お互いのスキルの高さを確認できた」と笑顔を見せた。
F―15は最大速度マッハ2・5で航続距離は約4600キロ。20ミリ機関砲を1門搭載する。未確認機の領空侵犯に対する緊急発進(スクランブル)にも使用されている。
▽和やかな雰囲気
派遣部隊司令官を務める髙橋秀雄空将補は到着式で、「マガンダン・ハポン・サ・イニョン・ラハット。マサヤ・ナ・アコ・マキタ・カヨ(みなさんこんにちは。お会いできてうれしいです)」とフィリピン語で挨拶。今回の訪問の目的について「比空軍と空自の相互理解と防衛交流」とし、「東南アジア諸国連合(ASEAN)で初めて空自の戦闘機の受け入れ」に対し感謝を表明した。
比空軍第5航空団のレオ・フォンタニリヤ司令官は「比空軍を代表し、歴史的な日本戦闘機の『親善訪問』を歓迎したい」と述べ、日本戦闘機訪比実現に対する空自・比空軍双方の努力をねぎらった。
空自のF―15機体にはこの日のために特別塗装が施された。機体の右には比国花サンパギータ、左側には桜をあしらった「PAREHO―22」(同じ/結束の意)という文字が書かれ、両側面には日本の国鳥キジと比国鳥フィリピンワシをかたどったエンブレムが描かれた。
着陸後、F―15と比空軍機には比日の国旗が掲げられ、比空軍は到着に合わせ、ハリウッド映画「トップガン」(1986)のメインテーマ「デンジャーゼロ」を流して歓迎。空自・比空軍両隊員は、F―15の前に集まって打ち解けた様子で記念写真を撮り合った。
今回の部隊間交流で空自は約60人の要員を派遣。11日まで防衛や訓練に関する意見交換などが行われる。交流には戦闘機「F―15」のほか、空中給油・輸送機「KC―767」、輸送機「C―2」が投入されている。(竹下友章)
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