年末のライジン26の、『堀口恭司選手vs朝倉海選手』の試合。(←リンクはyoutube)
私はもちろん、伝統派空手出身の堀口選手を応援しています。
試合後の堀口選手は、喜び大爆発でしたが、これまで堪え忍んできた事を考えれば、そうでしょう。
スポーツの年齢的なピークは28歳と言われていますが、堀口選手はピークの年齢を過ぎており、相手は最も油が乗っている年齢。
身長的にも7センチの差があるようですが、基本的には、それがそのままリーチの差であり、それだけ難しい相手となります。
さらには、膝の大手術による1年4ヶ月のブランクからの復帰戦であり、王座を奪われた因縁の相手とのリベンジマッチ。
色々なプレッシャーがある中での、勝利ですからね。
今回の試合を見始めて、最初に思ったのは、”構え”の違和感。
基本的に堀口選手の構えは、伝統派空手に近く、左手を前に出して相手に対し斜に構え、両足でステップを踏む感じだったと思います。
(左手を前に出す事で、首から肩までの距離がリーチに加算され、相手の動きを見れる距離的余裕が生まれます。)
その違いが、ナチュラルなアドバンテージになっていた訳ですが、もともとリーチがある選手が相手となると、それがなくなってしまいます。
前回の朝倉選手との試合は、カウンターを喰らって(2:12)からの負けでした。(←リンク先はyoutube)
試合の流れ的には堀口選手が押し気味だったかと思うのですが、ちょっと無造作に大きく飛び込み過ぎちゃったかなぁと
(右ストレートの前に、相手の左拳を払っているのですが、あれを内から外ではなく、外から内に払っていれば、結果は違ったかも。)
今回は、両足ステップをあまり使わず、上半身を前傾にしたレスリングの様な構えを随所に見せることで、フェイントを掛けていました。
コレにより、朝倉選手はタックルを警戒せざるを得ず、また前試合の経験から、朝倉選手の意識が、おそらくカンターパンチにあったため、自然と前傾姿勢になってしまっていたと思います。
つまり、体重を前足に乗せさせられた結果、避けやカットが遅れるようにされてしまっていたのです。
(伝統派空手では、当たらない事を前提とし、いかに当てるかという工夫をします。)
「カーフキック」は、伝統派空手では、”足払い”と呼ばれますが、昔から、日本空手協会(松濤館流)の選手が好んで使う技かと思います。
(30年ほど前の現役の頃に、私も試合でやられた経験があります。そう言えば、UFCの頃のリョート・マチダ選手も使っていたかと記憶。)
払った脚に体重が乗ってなければ”崩し”になり、体重が乗っていれば”カーフキック”という、2段構えの技になります。
さらには、何度か当てられると、痛みが蓄積されるが故に意識がそちら(下段)に行ってしまい、上段の防御意識が疎かになるという心理的効果もあります。
今回の堀口選手は、上記のとおり、構えのフェイントにより、相手の前足に体重を掛けさせており、最初から”カーフキック”として使っています。
”足払い”は、伝統派では前足で行うのがメジャーですが、後ろ足で行っているあたり、最初から”カーフキック”による試合の組み立てを想定していたのだと思います。
試合が終わった時の感想は、今後、格闘技の世界で、カーフキックが猛威を振るうんだろうなぁと。
昔、柔道において、レスリングから転向してきた選手による諸手刈り(両足タックル)が猛威を振るった時期があり、技自体が禁止になったかと記憶。
そうした、全く別の世界から入ってきた同様の技が、試合のあり方を一変させてしまい、さらにはルールにまで影響を及ぼす事すら起こり得るのです。
いずれにしろ、K-1の山崎選手の”掛け蹴り”もそうですが、伝統派空手にある技が、格闘技においても脚光を浴びるのは、嬉しいものです。
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