ただの水

たまには

ぜんぶ放り投げても　いいかい　

たとえば

晴れた日に

どこへも行かずに

コーヒーの氷の行方を見守るように

雨の日に

ソファにもたれながら

ソーダ水の一生を見送るように

たまには

ぜんぶ忘れて

うつわから

こころを解き放って

何も言わず　何も考えず　ただただ　ボンヤリと―・・・

たまには

ただの水になっても　いいかい

もっとも

水にだって

こころはあるかもしれないが

いまは

からっぽの

ただの水に　なりたい

つかの間でいい

目的を持たない　水でありたい