えっとですね。
先日私がフリーズした理由・・・それは決してひとつではなく。
いろんなことが重なったからなわけで。
今から考えればこれを読んだこともその要因のひとつだったと思われます。
・・・これってこれ。
『手紙』 東野圭吾
友達が貸してくれるって言うから何気に借りたんです。
ほら、映画化されて話題じゃないですか。
正直映画には魅力を感じなかったんですよ。
何で似たようなキャスティングをするのか・・・
プロデューサーのセンスを疑いたい。
よほど巧い役者じゃなければ同じ相手役で違う人の人生を演じるのは難しいでしょう。
スタートが「タイヨウの歌」だったら「手紙」の世界に入り込むまでに映画が終わってしまいそうです。
ま、これは私の勝手な主観なので。
さて。映画を観ていない私の読書感想文。
これね。正直重いです。
映画のあらすじで代用しようと思いましたが・・・。
一番肝心なところが小説と違うようなので
珍しく内容をざっと自分でご紹介したいと思います。
ちょっとネタバレです。
工場で働く20歳の武島直貴は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それというのも唯一の家族である兄・剛志が、直貴の学費欲しさに盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまったからだった。兄が罪を犯したのは、自分のせいだ。そう自責する直貴・・・
映画は自責の念に駆られた直貴はせっせと兄に手紙を出す・・・が。
小説の直貴は違うんですよ。
兄が逮捕された時点からもがき苦しみだす。
兄からのちょっと脳天気とも思える手紙と現実の社会の厳しさの狭間でもがき苦しむ・・・もがき苦しんでいるんだけどこの直貴はね。
泣いたり叫んだりしない・・・淡々と自分の置かれた現実を見つめ冷めた目で周囲と自分を見つめている。
兄の行いのせいで去っていく友人を。
決して悪い人ではない大人が自分と距離を置こうとする事実を。
淡々と見つめ淡々と受け入れる。
隠しても隠し通せない・・・。
事実が知られるたびに大切と思っているものが失われていく・・・。
そして彼に唯一の夢を見出そうとするかのような兄の希望にも似た内容の手紙を
受け取る・・・
兄が罪を犯したのは自分のためだ・・・
そんなことは良くわかっている。
幼い頃から弟に何でも譲り優しかった兄・・。
それは良くわかっている・・・
でも、直貴の未来は彼の想いと無関係に狭められ、歪められ・・・。
夫になっても父になっても・・・それは変わることがない。
そして彼は兄との別れを決意する・・・。
さて。
この話。正直救いはない。
私としては救いがあってはいけないと思うんです。
映画版では弟は兄にせっせと手紙を書く設定のようですが。
私が弟だったら手紙書けない気がする。
何て書いたらいいのか・・わからない気がする。
追い詰められている自分・・。
兄を犯罪をするまでに追い込んでしまった事実。
自分の幸せをひたすら祈り続ける兄。
一体何をどう書けというのか・・。
考えれば考えるほど何も書けないと思う。
そしてできることならすべてを忘れてしまいたいと思う。
すべてから逃げたいと思う。
それはきっと正直な気持ちなんじゃないだろうか・・。
「罪を憎んで人を憎まず」
これって本当に出来るのでしょうか。
罪と罪を犯した人を切り離せるのでしょうか・・・。
少なくとも罪を犯した人は罪と自分を切り離せると思ってはいけないと思うんですよ。
そして家族という繋がりも切り離すことは出来ない・・・。
だから直貴は兄の罪も背負うことになる・・・。
人はそれを忘れてはいけないんだと思うんです。
繋がっている・・ということを。
罪を償うことの厳しさを。
たとえ刑務所で刑期を終えたとしても、償えないもの。
人を殺した時点で社会的に自殺したに等しい・・・
自殺した人の家族はずっと苦しみ続けることになる・・
助けられなかった自分を・・
追い込んでしまった自分を・・
見捨ててしまった自分を・・・
ずっと背負って生きていく。
だから自殺もしてはいけなくて人殺しもしてはいけない。
直貴が勤める会社の社長を通して社会の現実が見えてくる。
犯罪者の家族。
被害者の家族。
それをとりまく社会の人々。
決して冷たい人なわけじゃない。
人道的には許されなくとも心情的には差別してしまうことを理解せざるを得ない現実。
すっごく冷たい言い方かもしれないけれど。
直貴の冷めた目線が余計に彼の心の中を透明なまま覗かせてくれるような気がしてかえって胸がつまる想い。
エンディング。
彼が兄の刑務所にバンドを組んで慰問に行き「イマジン」を唄う
というところで話は終わります。
「イマジン」という曲がこの小説の中ではキーワードになっていて。
武器もなく 差別もなく 欲張りや飢えることもない。
そして一人ぼっちじゃない・・・・そんな世界を想像してごらん・・と。
いつの日かそんな日が来るといい・・
この曲を歌う現実社会の彼の辛い心情が伝わってきて胸が痛い。
この歌詞に著者が込めた意味もそのあたりなんじゃないだろうか。
そして希望的観測・・・例え縁を切ったとしても兄貴と俺は繋がっているんだ・・
そんな想いもあったんじゃないのかな。直貴の心のどこかに。
私はそんな風に思いました。
私が号泣したのは
直貴の絶縁を宣告する手紙を読んで自分の犯した罪の大きさに獄中の兄が気づくところ。
そして兄は被害者の遺族に謝罪の手紙をずっと書き続けていたんですが
弟からの絶縁をきっかけに遺族にも手紙を書くのをやめることを決意し最後に一通の手紙を書きます。
この題名の「手紙」はこの手紙なんじゃないかと思うほど。
胸を揺り動かされました。
救いはないと書きましたが沢尻エリカ演じる彼女とバンド仲間のえっと何君だったか
その二人の存在は彼にとって明らかに救いだったと思います。
何にもなかったら辛すぎて・・・読めないから。
映画ですが・・・ミュージシャンがお笑い芸人になってるみたいですね。
「イマジン」の立場はどうなっているのでしょうか・・
私の印象からすると小説とはまったく別の仕上がりな気がしますが。
いかに。いつか観られればいいかなと思います。
こんな重いものを読んで号泣しながらあんな明るいボムス君の創作をシコシコ書いてレビュー書いて「亀・・」でゆるゆると笑い・・・
この激重レビューを書けない・・・と棚上げしていた。
何となくフリーズした理由わかっていただけるでしょうか。
ちと苦しいですが読んで損はないと思います。
感想と言うにはブツブツでお恥ずかしい。
でもお勧めです。
先日私がフリーズした理由・・・それは決してひとつではなく。
いろんなことが重なったからなわけで。
今から考えればこれを読んだこともその要因のひとつだったと思われます。
・・・これってこれ。
『手紙』 東野圭吾
友達が貸してくれるって言うから何気に借りたんです。
ほら、映画化されて話題じゃないですか。
正直映画には魅力を感じなかったんですよ。
何で似たようなキャスティングをするのか・・・
プロデューサーのセンスを疑いたい。
よほど巧い役者じゃなければ同じ相手役で違う人の人生を演じるのは難しいでしょう。
スタートが「タイヨウの歌」だったら「手紙」の世界に入り込むまでに映画が終わってしまいそうです。
ま、これは私の勝手な主観なので。
さて。映画を観ていない私の読書感想文。
これね。正直重いです。
映画のあらすじで代用しようと思いましたが・・・。
一番肝心なところが小説と違うようなので
珍しく内容をざっと自分でご紹介したいと思います。
ちょっとネタバレです。
工場で働く20歳の武島直貴は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それというのも唯一の家族である兄・剛志が、直貴の学費欲しさに盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまったからだった。兄が罪を犯したのは、自分のせいだ。そう自責する直貴・・・
映画は自責の念に駆られた直貴はせっせと兄に手紙を出す・・・が。
小説の直貴は違うんですよ。
兄が逮捕された時点からもがき苦しみだす。
兄からのちょっと脳天気とも思える手紙と現実の社会の厳しさの狭間でもがき苦しむ・・・もがき苦しんでいるんだけどこの直貴はね。
泣いたり叫んだりしない・・・淡々と自分の置かれた現実を見つめ冷めた目で周囲と自分を見つめている。
兄の行いのせいで去っていく友人を。
決して悪い人ではない大人が自分と距離を置こうとする事実を。
淡々と見つめ淡々と受け入れる。
隠しても隠し通せない・・・。
事実が知られるたびに大切と思っているものが失われていく・・・。
そして彼に唯一の夢を見出そうとするかのような兄の希望にも似た内容の手紙を
受け取る・・・
兄が罪を犯したのは自分のためだ・・・
そんなことは良くわかっている。
幼い頃から弟に何でも譲り優しかった兄・・。
それは良くわかっている・・・
でも、直貴の未来は彼の想いと無関係に狭められ、歪められ・・・。
夫になっても父になっても・・・それは変わることがない。
そして彼は兄との別れを決意する・・・。
さて。
この話。正直救いはない。
私としては救いがあってはいけないと思うんです。
映画版では弟は兄にせっせと手紙を書く設定のようですが。
私が弟だったら手紙書けない気がする。
何て書いたらいいのか・・わからない気がする。
追い詰められている自分・・。
兄を犯罪をするまでに追い込んでしまった事実。
自分の幸せをひたすら祈り続ける兄。
一体何をどう書けというのか・・。
考えれば考えるほど何も書けないと思う。
そしてできることならすべてを忘れてしまいたいと思う。
すべてから逃げたいと思う。
それはきっと正直な気持ちなんじゃないだろうか・・。
「罪を憎んで人を憎まず」
これって本当に出来るのでしょうか。
罪と罪を犯した人を切り離せるのでしょうか・・・。
少なくとも罪を犯した人は罪と自分を切り離せると思ってはいけないと思うんですよ。
そして家族という繋がりも切り離すことは出来ない・・・。
だから直貴は兄の罪も背負うことになる・・・。
人はそれを忘れてはいけないんだと思うんです。
繋がっている・・ということを。
罪を償うことの厳しさを。
たとえ刑務所で刑期を終えたとしても、償えないもの。
人を殺した時点で社会的に自殺したに等しい・・・
自殺した人の家族はずっと苦しみ続けることになる・・
助けられなかった自分を・・
追い込んでしまった自分を・・
見捨ててしまった自分を・・・
ずっと背負って生きていく。
だから自殺もしてはいけなくて人殺しもしてはいけない。
直貴が勤める会社の社長を通して社会の現実が見えてくる。
犯罪者の家族。
被害者の家族。
それをとりまく社会の人々。
決して冷たい人なわけじゃない。
人道的には許されなくとも心情的には差別してしまうことを理解せざるを得ない現実。
すっごく冷たい言い方かもしれないけれど。
直貴の冷めた目線が余計に彼の心の中を透明なまま覗かせてくれるような気がしてかえって胸がつまる想い。
エンディング。
彼が兄の刑務所にバンドを組んで慰問に行き「イマジン」を唄う
というところで話は終わります。
「イマジン」という曲がこの小説の中ではキーワードになっていて。
武器もなく 差別もなく 欲張りや飢えることもない。
そして一人ぼっちじゃない・・・・そんな世界を想像してごらん・・と。
いつの日かそんな日が来るといい・・
この曲を歌う現実社会の彼の辛い心情が伝わってきて胸が痛い。
この歌詞に著者が込めた意味もそのあたりなんじゃないだろうか。
そして希望的観測・・・例え縁を切ったとしても兄貴と俺は繋がっているんだ・・
そんな想いもあったんじゃないのかな。直貴の心のどこかに。
私はそんな風に思いました。
私が号泣したのは
直貴の絶縁を宣告する手紙を読んで自分の犯した罪の大きさに獄中の兄が気づくところ。
そして兄は被害者の遺族に謝罪の手紙をずっと書き続けていたんですが
弟からの絶縁をきっかけに遺族にも手紙を書くのをやめることを決意し最後に一通の手紙を書きます。
この題名の「手紙」はこの手紙なんじゃないかと思うほど。
胸を揺り動かされました。
救いはないと書きましたが沢尻エリカ演じる彼女とバンド仲間のえっと何君だったか
その二人の存在は彼にとって明らかに救いだったと思います。
何にもなかったら辛すぎて・・・読めないから。
映画ですが・・・ミュージシャンがお笑い芸人になってるみたいですね。
「イマジン」の立場はどうなっているのでしょうか・・
私の印象からすると小説とはまったく別の仕上がりな気がしますが。
いかに。いつか観られればいいかなと思います。
こんな重いものを読んで号泣しながらあんな明るいボムス君の創作をシコシコ書いてレビュー書いて「亀・・」でゆるゆると笑い・・・
この激重レビューを書けない・・・と棚上げしていた。
何となくフリーズした理由わかっていただけるでしょうか。
ちと苦しいですが読んで損はないと思います。
感想と言うにはブツブツでお恥ずかしい。
でもお勧めです。
東野圭吾さん、読ませる作家ですよね。
「白夜」での力技(?)、すごかったです。
それで、他にも読みたかったところに、このご紹介ありがとう・・。
いつか読むね。
ただ、痛い兄弟のお話となると、実生活を照らし合わせて私耐え切れるかしらん・・。
はは、落ち込んだら救済してください。
それで、営業ですが(爆)、私も温めていたご本の紹介書きました。
いつか読んでね。
以前、haruさんに書き送った言葉、書くものは自分へのラブレターだったかな、
それを引用したのもこの本からです。
で、ラブレターだから、軽さや重さはケンチャナヨ。
いろんな愛があったほうが、人生は豊かよ。
なんだかんだとこぼす(←おいおい)haruさんの細波のような繊細な感覚が好き。
封じ込めないで、開放してね。
どうか、ここがharuさんの解放区になりますように・・。
これ、私もUPしてます。
もう、随分前かな?
で、うん、ほんと、重かったわ・・・
ほら、東野さんは、大好きで、まぁ、ほぼ完全読破に近いので。
まだ、数冊、読めずに抱えているのがあります。
あはは・・・誰のせいかしら?
この『手紙』、ちょっと話題になっているのですよね。私は、まだなんだけれど、正月休みの楽しみにしておきましょう。
今日手に入れたのが、村上龍、小池真理子の『美しい時間』、作者というより、男女の作家によるコラボというのに、興味を引かれたのです。『愛のあとに~』、『情熱と冷静の~』を越えることができるのか(笑)・・・。
今日は暖かかったけれど、これからどんどん寒くなりますね。風邪などひかれませんように。
読み終わってから、心が重くなるよね~
それもいろんな重さが折り重なっていて、
解決策なんて見つからない所が何とも・・・
でもズシリと深く考えさせられる点で、
やっぱりいい本だと思いました。
haruさんの文章力に脱帽です。
自分ではこんなに上手くまとめられないわ)))
ええ。あの時は凍死寸前で。
あなたの解放区にお邪魔した時は南極で小屋を見つけたソン・ガンホだったわ。
ええ。これ良かったです。重いけど。
おそらくこの話の中に痛い兄弟を投影することはないと思います。この兄しっかりしてないから。(笑)
東野圭吾また読んでるんですけどいまいち入り込めず苦戦。置き去りにしてお勧めに触手が動いてます。
読んだら感想書きますね。
繊細なのか・・・?
本人自覚なし。(爆)危険だ・・また駆け込むかも。
でも、落ち込む私も考え込む私もトナカイな私も私だと。何だか腹がくくれたかな。
解放解放・・・・あけっぱ広げっぱでやっていければと思います。
うさるなさんちは記事がどんどん上がるので。
全部読んでるつもりでも取りこぼしがあるのね。
気がつきませんでした。
検索かけて読んでまいりましたよ~。
うんうん。正直わからない・・というのがホントですね。
直貴の心情は推し量るにはとてつもなく複雑で。
共感するには重過ぎる。
それでも胸が痛いのは誰でも持っている想いが彼の中にあるからなのでしょう。
厳しいけれど息子にね。読ませたいと思っています。
お正月読むにはちょっと暗いけど。
ゆっくり考える時間があるときに読んだ方がいいと言う点では良いかもしれませんです。
「美しい時間」面白そうですね。
そそられます。
男の人と女の人やっぱり目線が違う気がする。
まあ、個人差なのかもしれませんが。
でも、読んでみたいな。
「中原の虹」も私を呼んでいる。。
なかなか時間が取れなくて。
通勤時間2時間くらいかかる職場に転職したい気分です。
ご紹介ありがとうです。
さちこさんもお風邪気をつけて。
私は彼のファンになってから倒れたこと・・ない。免疫力上がっているようです。(笑)
お・・・重い作品でしたね・・・。何の気なしに読み始めた話でしたが、でも、『読んでよかった』と思いました・・・。
アマゾンのレビューを見ると、「償い」ということが書かれてありました。私は、償い、ということには、あまり考えが及ばなかったので、ふ~ん、そうなのかなぁ・・・。と・・・。
イマジンは・・・私はなくても大丈夫かな(多分)この作品は、差別も取り扱っているけど、一番のテーマは、自覚とか・・・そういうことだと思ったので・・・。
でも、弟さんは、かなり、お兄さんを疎ましがっていましたよね(小説)絶縁も、そうとうな決心でやっているような。映画では・・・そのへんソフトなのかなぁ?
私、あまり想像力ないのでいつもちょっと変なんです。ゆるして~
押し売りにお付き合い感謝です。
ええ。重いけどいい本だと思います。
読んだ後いろいろ考える本というのは面白いというだけでなくその後いろいろ広がりますよね。
ちょうど娘や息子が文部大臣からのプリントを持ってきていて・・・フクザツでした。
このプリントを読んで心が動く子供がいるのだろうか・・ないよりましか・・。
この本からどんなメッセージを受け取るのか・・
息子に読ませてみたいと思ってます。
ちょっと厳しいかな。
チャットタイミングですね。
この小説今旦那さんが読んでますが・・・不評です。
これを貸してくれた友人も「重い。好きじゃない」
との批評でした。
きっと人それぞれ評価が分かれるんでしょうね。
あの小説のどこに気持ちが動くのか・・
千差万別ということでしょうか。
自覚ですか・・・。それは弟の?兄の?
いやぁ~。一冊の本でずいぶん楽しめるものです。
お付き合いでしたっ。