X君は、今元気にしているだろうか。
私がX君に出会ったのはまだ18歳だった大学入学時の頃でした。
彼は私が言うのもおかしいけれど、「一風変わった」人。
今思えばかなり癖の強く症状の重い自閉症スペクトラム障害だったのかもしれません。
X君はあまりに変わった人だったためか周囲の人には敬遠され、誰も仲良くしようとはしていませんでした。
しかし、私は当時もっとも彼と接した人間であったかもしれません。
一緒にご飯を食べに行ったり、誕生日を祝ったりしたこともあったように思います。
そのような関係の中で、私は彼に色々おかしいと思う点をやんわりと指摘したりするようにしていました。
そのためか、彼は「いつも色々教えてくれてありがとう」という言葉さえかけてくれました。
これ以外にも、色々なことを語り合いました。
しかし、私は当時弓道部に所属しており、そちらの方の人間関係もありましたので段々と彼と過ごす時間は少なくなっていきました。
私と疎遠になっていく一方で、彼は更に「おかしな言動」をするようになり、どんどんと周囲から距離を置かれていきました。
それでも、彼とすれ違ったりした時には挨拶をしたりはしていましたが、それ以上のことは出来ていなかったかもしれません。もっと当時から色々接しておけばよかったと思っています。
彼は結局留年を繰り返して、おそらく進級は出来なくなり大学在学可能年月を超えたため放校になっていると思います。
彼との連絡はたまに取っていたのですが、去年夏頃からは全く既読もつかなくなりました。
元気にしているのでしょうか。
それだけが心配です。
みんな、彼のことを色々と悪く言うけれど、そんな嫌な奴じゃないし、本当に純粋でいい奴なんだが…。
ただ、「変わって」いるのは確か。
でも、変わっているだけで、生きにくくなるのはおかしいのでは。
色々考えることはありますが、入学当初から彼に関して私が思っていたこととして、
「誰しもX君となり得る。」
ということがあります。
つまり、「遺伝や育った環境云々により、誰しもX君のようになる可能性はある。したがって、排除しようとするのは誤りであり、他の人と同じように接するべき。」という風に考えていました。
でも、私自身が分け隔てなく人と接することが出来ていたわけではないと思いますので、彼に対しても変な接し方になっていたかもしれません。
しかし、ただ一つだけ言えるのは、先ほども書いたように、「本当に優しくて純粋な奴だよ」ということ。
みんな、酷い言いようで、あいつは統合失調症だのと言っている人も居ましたが…。
でも、私は知っているのだ、彼が「臨床医になりたい。人の助けになりたい。」と言っていたことを。
「色々課題が見つかって、直そうと頑張っていきたい。」と言っていたことを。
誰もかれも、勝手な印象だけでX君を語るけれども、お前たちは実際に接したのか?
私自身、偉そうに述べることはできないですが、やはり、接することなく印象だけで他人を語ることは避けるべきではないでしょうか。
接していない限り、その人に関していくらどんな前情報があっても人格は「不明」としか言いようがありません。
ちょっと脈絡のない話になってしまいましたが、最初の話に戻ると、彼が元気にしているのかだけが気がかりです。
元気かな…。
どこかで生きていてくれて、いつか会えることがあるといいなと思います。
その日まで、お互い生きていこう。
そして、また会って酒でも飲もう。
それでは。