今回は「一水会」を含めた、竹田氏に関する検討作業になります。
「一水会」についてウィキペディアの説明を紹介しますが、ここから脇道に入り、しばらく氏と無関係な話になります。( やがて繋がりますので、辛抱できる方はおつき合いください。)
・昭和45年11月25日、陸上自衛隊市谷駐屯地の東部方面総監部で「楯の会」会員5人が起した「楯の会事件」で、自衛隊員にに蹶起を促し、
・痛烈に戦後日本を批判して自決した三島由紀夫・森田必勝 ( まさかつ ) 両者の行動を、「戦後体制打破」へ向けた果敢な行動と位置付け、
・「両烈士らの魂魄を継承する」ため、昭和47年5月30日、「一水会」が創設された。
・命名者は阿部勉 ( つとむ ) 。「月に一回、第一水曜日の勉強会」の意味だが、「世界は海洋を通じて一衣帯水である」という意味もある。
日本中が大騒ぎした事件でしたが、「楯の会」と「一水会」がつながっていることをウィキペディアの説明で初めて知りました。
阿部氏は「楯の会」と「一水会」をつなぐキーパーソンなので、経歴を省略せず紹介したいと思います。
・「一水会」は反共の立場から多くの団体が「親米路線」を取っていたことに対し、戦後日本を米国の従属体制に成り下がってしまったと規定し、
・戦前からの思想指導者の影響を受け、日本の完全なる独立を勝ち取る、として「対米自立」「日米安保破棄」「戦後体制打破」を掲げている。
「一水会」の代表は木村三浩 ( みつひろ ) 、副代表は番家誠 ( ばんか まこと ) の両氏になっていますが、実際には阿部勉氏が中心だったようです。
同会の政治的主張は、下記6項目です。
1. 民族主義 2. 民族派 3. YP ( ヤルタ・ポツダム )体制の打倒
4. 対米自立 5. 反グローバリゼーション 6. 脱原発主義
1. 2. は具体的な内容が不明ですが、3.4.5.は「ねこ庭」の意見と同じなので、主張だけを読みますと取り立てて「民族主義団体」と説明する必要を感じません。
前回、頭の整理が必要と述べた理由は、「一水会」の主要会員の経歴を紹介することで分かって頂ける気がします。
以下コメントなしで、各氏の経歴を紹介いたします。
〈 阿部勉 ( つとむ ) 氏 〉
・昭和21年秋田県生まれ、平成11年死去 ( 53才 ) 政治活動家、民族主義者
・三島由紀夫が結成した「楯の会」の1期生で、第5班班長。「一水会」結成参加メンバー
・昭和40年 4月、早稲田大学法学部 に入学、この年の暮頃から早大紛争が激化
・昭和41年 2月紛争収拾・学園正常化に向け、保守・民族派系の学生組織「日本学生同盟」(日学同)が結成
・この運動を全国の大学に拡大して行こうという機運の元、結成メンバーには、矢野潤、宮崎正弘、斉藤英俊、森田必勝、持丸博、山本之聞、伊藤好雄、大石晃嗣、宮沢徹甫などがいた。
・「日学同」から誕生した「早大国防部」に阿部が入会し、早稲田町の「日学同」本部事務所に住みついた。
・阿部は森田らと共に、三島由紀夫の引率する北海道の自衛隊北恵庭駐屯地での体験入隊に参加した。
・昭和43年に、阿部は三島由紀夫の「楯の会」の第一期のメンバーとなり、三島や持丸博らと「血盟状」をかわした。
・昭和45年、元早大の鈴木邦男と渋谷で偶然再会し、鈴木が一時的に阿部のアパートに居候した
・三島事件により「楯の会」解散の後、鈴木邦男、犬塚博英、伊藤邦典、田原康邦らと月1回集まっていた
・昭和47年に「一水会」(毎月第1水曜日に例会を持とうという意味で)を結成した(代表世話人は鈴木)
・阿部は雑誌『土やま心』の編集長を務め、昭和55年には「楯の会事件十周年記念号」を企画
・平成4年、「風の会」の野村秋介から、参院選出馬を要請されたが、これを固辞し裏方として活動
・翌年の野村の自殺後、追悼祭を「群青忌」と命名したのは阿部だった
・平成7年に結党された維新政党「新風」の、初代本部党紀委員長を務めた
・平成8年、友人と共同で高田馬場に古書店「閑人舎」開設した
・平成11年4月、インターネット右翼団体「鐵扇會」の後見人となる。同年10月膵臓癌のため死去
氏を参議院選挙の候補者にしようとした野村秋介氏を、ご存知の方が少ないと思いますが、新右翼、民族派活動家として知られた人物です。
東京に生まれ高校中退後愚連隊に入り、網走刑務所で服役中、5・15事件の三上卓の門下生青木哲と出会って民族主義者となり、自らも三上の弟子となったと言われています。
野村秋介氏は朝日新聞の本社で、同社役員と会談中に拳銃自殺した人物として記憶されている方が多いのかもしれません。
マスコミでは報道されませんでしたが、阿部氏の周りには右翼と呼ばれる人々が集まり、知る人ぞ知る活動家だったことは確かなようです。
次回はそんな氏と共に「一水会」に関わった木村三浩、鈴木邦男、塩見孝也、沢口友美、雨宮香凜各氏の略歴を紹介します。
なかなか竹田氏の話に繋がらないので、退屈された方はスルーしてください。