１０月の”戦国武将カフェ”の欄でちょっとだけ
ご紹介した松井屋酒造さん、今回も登場です。
松井屋酒造は、岐阜県加茂郡富加町にある
江戸時代から続く、日本酒のメーカーです。
戦国武将、佐藤紀伊守の居城、加治田城は
この地にありました。それにちなんで名付けた
”加治田城”というお酒を醸造しています。
お酒が好きだった佐藤紀伊守のイメージで
すっきりした飲み口、辛口の日本酒です。
街道筋にあるお店の建物は、昔ながらの
町屋の佇まいで、なかなか風格あります。
お店の内部や酒造用具も、江戸時代からの
伝統を今に伝える、貴重な文化遺産です。
酒造り業界は現在、機械化が進んでいます。
でも、ここには江戸時代から続く、酒造りの
昔ながらの道具が、たくさん残されています。
しかも昔と同じ製法でお酒を造っています。
それは全国的にも珍しい…、とのことでした。
酒蔵２棟と母屋、酒造用具、酒造文書は、
岐阜県の重要有形民俗文化財に指定され、
現在、酒造資料館として公開されています。
お店は、岐阜県最大級の商家の建物です。
入り口の大戸や蔀戸も、建築当時のもの…。
帳場も江戸時代から今までずっと現役です。
お店にある大きな招きネコ、耳が大きい…。
現代の招き猫とは一味違った風貌です。
江戸時代からずっと、このお店を見守って
いるようですね。ちょっと神秘的な感じ…。
さて、松井屋さんでは蔵の整理をしていたら
思ってもみなかった”お宝”が出てきたとか…。
昔の飛行機、プロペラ機の尾翼の一部が、
蔵の中から発見されたのです。
１００年前のフランス製のプロペラ機でした。
その昔、川崎重工が３０機ほど、海外から
取り寄せた…、という記録があるそうです。
しかし記録があるだけで、実物はずっと
どこからも発見されていませんでした。
この蔵から出てきた”お宝”は、この時の
貴重な”現存する最後の一機”だそうです。
そこで専門家と相談の上、修理＆保存して
後世に伝えていきたい…、とのことでした。
修理＆保存、その費用はどうする…？
今の時代、クラウドファンディングだそうです。
さて戦国時代、この地域では信長の美濃
侵攻により、戦いが繰り返されていました。
佐藤紀伊守＆信長軍に対し、斎藤方の武将、
岸勘解由＆長井隼人との戦いがありました。
紀伊守の寝返りに対する”堂洞城の戦い”は
これまでのブログ記事に詳しく書いています。
「今日は紀伊守のお墓に参りましょう。」
もうかなり前のことになりますが、紀伊守の
お墓に案内してもらったことがあります。
紀伊守のお墓は、龍福寺にありました。
紀伊守が建立したお寺の一番奥です。
木々に囲まれた道を進んでいきます。
静かです。何か出て来そうな雰囲気…。
何…？ 佐藤紀伊守の幽霊か…？
いや、お猿さんだ…！野生の猿でした。
あぁ～、幽霊やクマじゃなくてよかった…。
しばらく行くと紀伊守のお墓がありました。
敵方の人質となって、戦いの犠牲になった、
紀伊守の娘、八重緑姫のお墓もありました。
そして同じく、この戦いの犠牲になった息子、
右近衛門のお墓も並んでいました。
紀伊守は晩年、出家して、戦いで亡くなった
人々の供養をする日々を送ったそうです。
仏の道に入ったことで、娘、息子を亡くした
悲しみを昇華させたのかもしれません。
八重緑姫は、歴史漫画”夕雲の城”では
かわい～い姫として描かれています。
戦いの犠牲になったとは心が痛みます。
戦国時代、女性の名前は、はっきりと
記録が残されていないことが多いです。
実は長い間、この紀伊守の姫の名は
記録にありませんでした。ただ地元では
長い間”八重緑姫”と伝えられていました。
近年やっと、姫の名が記された資料が
発見されたそうです。やはり資料にも
”八重緑姫”と記載されていたそうです。
ちなみに歴史漫画”夕雲の城”では、
”やえみどり”とフリガナがありました。
ネットで調べてみると、”やえりょく”と
書かれているものもあるようですね。
歴史漫画”夕雲の城”の作者、渡辺先生の
サイン会では、サインの他、一人一人に
漫画の登場人物の絵を描いてもらえました。
私には、イケメンの”良沢”の絵でした。
主人は、かわい～い”八重緑姫”を書いて
もらえるかな～と、期待していたら…！
なんと…！紀伊守の宿敵”岸勘解由”…！
怖い顔に、ちょっとがっかりしたそうです。
