鳩のレースで人が駆ける
人が走っていますね。しかも、口にバスケットを銜えています。
実はこれ、バスケットの中には鳩が入っているのです。鳩が放鳩地から自分の家の鳩舎に帰ってきました。その鳩を籠に入れて、レースの記録事務所へ急いでいるのです。
飛ばした鳩が確かに帰ってきましたと、その現物の鳩を持って行き、確認の下に時間を記録するのです。もちろん、レース上の不正を防ぐためにです。
レースでは、鳩は羽にスタンプを押します。そのレース名と個別番号です。スタンプで鳩を識別します。その鳩が帰ってきたら直ぐに事務所へ持って行って、スタンプを確認してもらって、時間を記録します。自分の鳩舎へ帰って来た時間ではなく、その鳩を持って事務所へ到着した時間が順位を決めるのです。
鳩は鳩舎へ帰ります。鳩が判りやすいように、鳩舎は家の上階にあります。
少しでも早く鳩を運ぶために、上階の鳩舎から鳩を入れた籠を吊り下げて下ろします。
これが鳩を入れて運ぶバスケットです。走るのには、口で銜えていたようです。
鳩レース用のタイマーが作られるようになるまでは、このようにして順位を決めていたのですね。
鳩レースが始まったのは1800年代の初期で、およそ百年間ほどはいろいろな方法を試行錯誤しながら行なっていたのでしょう。賞金や名誉がかかっていますから、不正やズルには厳しく対処しつつ、専用の走り屋を雇っていたのでしょう。