最初に掲げた2枚の写真は昨日、足柄峠から見た富士山。
この景色がいきなり現れた時、そしてしばらく対峙しつつ浮かんだ感想は「近すぎる!」。
普段暮らしている町からは海辺に出れば相模湾越しに、坂を登れば木の間越しや家並みの奥からでもよく見える。
周囲の風景の中にさりげなく溶け込んでいたり、夕暮の空に浮かぶシルエットとしてだったり、あるいは雲一つない快晴の空ににょっきりと存在感を際立たせて屹立する姿だったり…
それは「あぁ、今日も見えた」と必ずと言っていいほど目を止める存在であり、心地よい風景として受け入れられている。
それが…
まるで標本の見本を目の前に置かれたようで、実に落ち着かない。
余りにあけすけすぎて、こんなはずじゃなかったと後悔するくらいに目のやり場にも困るくらい困惑してしまった。
ここまで出かけて来たことを後悔したいくらいの気持ちで、この感想は意外というほかない。
故郷は遠きにありて思うもの…とは言うが、心のふるさとである富士のお山も同じように遠くから眺めるものであるらしい。
いつも視点を置いている鎌倉から富士山までの距離をGoogle Mapの距離測定機能で調べると71kmある。
片や足柄峠から富士山頂までの距離は26km。
高々45kmの差がかくも大きな差となって感覚を揺さぶるという訳である。
そりゃそうだよな、女性を見る時でも‶夜目遠目笠の内〟って言うくらいだもんな。
距離やシチュエーションてのは大事なのだ。
以下に、これまで写し貯めた富士山の中から、いくつか適当に選んで並べてみました。
片瀬漁港から
辻堂海岸
鵠沼海岸
片瀬西浜
稲村ケ崎
夏の早朝の弁天橋から
片瀬漁港
稲村ケ崎
夕暮、伊豆半島上空を羽田に向かう機内から
朝の長崎行きの機内から
鎌倉山
鎌倉山
鎌倉山
江ノ島の岩場
茅ケ崎海岸
鵠沼海岸
片瀬西浜
円覚寺から
稲村ケ崎
稲村ケ崎
畢竟、富士山と言うものは風景の中にその時々の光や空気感とともに溶け込んでいる姿こそもっとも映えて美しく見えるもののようである