江ノ電稲村ヶ崎駅集合ですぐ近くの海に出て稲村ケ崎公園で吟行。雨には会わなかったが一日中日差しの届かない日だった。
稲村ケ崎に立って海を見下ろしていると夏の間中吹いていた南寄りの風は姿を消し、反対側の陸側から、つまり北寄りの風となって吹いてくる。
おかげで、これまでの温かく包み込むような親しげな空気は跡形もなく消え去り、どこか突き放されたようなヒンヤリした空気に入れ替わってしまった。
宇宙の摂理に従って青い星・地球の季節が移り替わっていくのは致し方ないことだが、理屈とは別に夏が去っていくちょうどその瞬間に立ち会ってしまったような気がして、見送る側の寂しさというものをしみじみ感じる羽目になってしまったのも因果なことである。
だがしかし、こうやって観念的な言葉を幾十と並べるよりも、雲っているので薄暗くなり始めるのも早いのだが、まだ5時前という時刻に合評をした店を出て外に出てみると、空気の冷たさと風の寒さに身震いするほどだったという事実を書き止めておく方が説得力があるというべきか。
ボクは短パンと半袖のTシャツ1枚で出かけてきたのだが、思わず持参のウインドブレーカをザックから引っ張り出して羽織らなければならなかったほどなのだ。
ということになれば、夏大好き――の人間からすれば、この日の句会は夏に別れを告げた日として記憶されなければならないだろう。
悲しい日になってしまった。
しかも、今朝起きて外気温を計ってみると午前五時の時点で18.4度しかない! あぁ、何ということでせう…
稲村ケ崎ではちょうど国道134号線を挟んだ向かい側にあるレストランの2階に琥珀色をした湯が湧き出る天然温泉があって、肌がすべすべになるというので女性に大人気ですよと教えると、句友の最年長で80歳になったばかりの大姉御と最年少の、と言ったって間もなく還暦を迎える年ごろのオトメが名乗り出て「入りたぁ~い!」。
合評開催まで2時間ほどあったので、ボクも湯に浸りながら吟行句をひねろうとお供することに。もちろん混浴の湯ではないが、付き合うことにしたのである。
2時間後、合評の席で再び顔を合わせた大姉御は「ほんとにいいお湯ね。夏の疲れをすっかり癒せたようだわ」と喜んでくれたのが嬉しい。
年ごろのオトメのほうは1時間湯に浸り続け、帰りしなには温泉水を使った化粧水まで買い込んだそうで、オトメ心というものを教えられた思いである。
黒き湯に日焼けし肌と夏惜しむ 花葯
これが琥珀色の湯に浸りながら浮かんだボクの吟行句。
蛇足ながらここの湯は手ですくって見ると琥珀色だが、湯船に手を10センチも沈めれば見えなくなってしまうほど。見た目は濃いこげ茶色か黒色である。
今回の兼題は「秋の虫」。兼題を含めた吟行句以外の提出句は以下の4句。
陽を逃れ夜は熱風秋の虫
秋の虫猛暑で楽器ふやけたか
炎天に百粁を漕ぐ古希の吾
盆の入り裳裾なびかせスクーター
最近続けて合評の会処として使っている店の献立書きが銘々の膳に添えられていて、初めてのことに一同「わが句会もついに世間に認知された!」と感涙にむせびましたとサ
稲村ケ崎の写真は温泉に入ってしまったので取り忘れ、日曜日に出かけた円覚寺の花々を。こちらは仏殿裏のフヨウ
これも仏殿裏で見かけた。直径7~8センチもある紫色がひときわきれいな花
こちらは黄梅院境内のものだが名前は知らない
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heihoroku
ひろ
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