「茶系の色」と一言で表現してしまっては余りに大雑把すぎる。
何故って、一つ一つの花の色からして同じではなく、微妙に違ってもいて、そこには赤やピンク、黄、クリームなどの絵の具が様々に使われているかのよう。
しかも、朝昼夕でまた見え方が違ってくるし、晴れている時と曇りの日でも見え方は異なる。
大袈裟に言えば「刻一刻」とそれこそ千変万化の相貌を見せるバラである。
その名は「空蝉」♪
もう十数年、大切に育てているお気に入りのバラが猛暑の夏を越えて再び咲き出した。
黒点病やうどん粉病に弱く、地植えでは難しいと思い、屋根の下に移動できるよう鉢植えで育てる箱入り娘だが、お陰で生育は旺盛で、初夏からずっと楽しませてくれて来た。
しかも、あの真夏の暑さをものともせずに、次から次にツボミを付けるものだから、毎朝つぼみをピンチ(摘み取ってしまうこと)するのが朝の日課でもあった。
そして9月に入り、さすがにツボミの立ち上がりも減ったなと思っていたら、またぞろたくさんつけ始め、「秋バラ」には早すぎるからピンチするのが常道だろうなと思いつつ、咲かせてみるのも手だな…などと迷っているうちに、次々と咲き出してしまった。
咲いてみれば案の定、花は小振りのものしか咲かないし、香りも立たない。
本来、秋バラは初夏の花より花数は減るものの一花が大きく豪華になり、香りも増すのが特徴である。
その真逆の花を咲かせているのだから、結局体力を浪費させているだけかもな…と後悔もしたが、これはこれで仕方ない。
今咲いている花が終われば、もう咲かせないつもりなので、しばらく休んで体力を取り戻し、11月中旬になれば今度こそ本来の「秋バラ」に期待しようと思う。
今年の秋は多分随分と後ろ倒しになるだろう。
となれば秋バラの季節が年末近くまで長引くことも考えられ、慌てることも無いかと気を取り直している。

上がったばかりの朝陽を浴びる、開いたばかりの空蝉




