カツラの葉はハート形をしていて、弱い風が吹いただけでもサワサワと気持ちよく揺れるから、熱い夏でも涼しさを感じさせてくれる。
秋が深まれば黄色に色づいて目に楽しい。
好きな樹木のひとつなのである
株全体で細い枝を交差させるから、葉がびっしりと株を覆って、見ようによっては息苦しくはないかと思えるほどである。
株立ちだからなおのこと、至る所で枝が重なり合っているのだ。
今年は枝を重ね合わせていたナンキンハゼが余りに大きくなりすぎたため、植木屋を入れて泣く泣く伐採してもらったのだが、ついでにカツラの枝も込み合ったところをすいてもらったのである。
どんな効果をもたらすのか、楽しみといえば楽しみなのである。
2階のベランダからも、はるかに頭の上を越えて伸びているのだが、枝の重なり具合を何気なく見ていてフト気付いたことがある。
小枝のあちこちに葉の芽かと思っていたふくらみの脇に赤いものが見えるのである。
ツバキなどの葉は芽が伸びてくると最初に現れるのは赤い葉であることがままある。しかしそれとは違って、細くひも状なものが出ているのだ。
これこそカツラの花なのである。
東京では昨日、サクラの開花が発表されたが、わが庭ではカツラの開花なのである。
3、4年前にも1度、花に気付いたことがあるが、それ以来である。
しかも、その時はほんの5、6輪が付いたにすぎないが、目を凝らして見ると、今年は枝という枝に花芽がついているようである。
この木を植えてかれこれ20年になるが、こんなことは初めてのことで、株全体に花がついて赤く染まるところをぜひ見てみたい気がする。
それともうひとつ。カツラは落ち葉になると良い香りがするんだそうだ。
どんな香りなのか。なぜ落ち葉なのか。
ともあれ、百聞は一見にしかず。この場合、百聞は一嗅にしかず、か。いずれにしても秋になれば分かる。
先ほどもちょっと触れたが、花そのものは色こそ赤いが、モクレンやハナミズキなどと違って短いヒモが垂れ下がるような、極々地味なものである。
赤い糸くずのようだ、といったら可哀そうだろうか。
雄花と雌花があるようだが、もちろんそんな区別はつくはずがない。
どれがオシベで、どれがメシベだか、見れば分かるのだろうか。今年はじっくり観察してみたいと思っている。
というのも、花が咲くのだから当然なのだが、実が成るんだという。
どんな実なのか、まだ一度も見たことがないから是非実ったところも見てみたいものである。
糸くずのような花だからか、モノの本によればカツラの花には花弁もがくもないそうで、オシベかメシベのどちらかが花ビラのように見える原始的な木なのである。
しかも雌雄異株だそうだから、実際に実を見るためには雌の木でなくてはならないと思うのだが、わが家のカツラはどちらなのだろう。
仮に雌株だったとしても、近くに雄株がなければ駄目なんだろうね。
イチョウも有名な雌雄異株の植物だが、彼の木の場合は並木になって植えられることが多いから、近くに容易に異性株があり、ギンナンが成るのもあながち難しいことでもなんでもないのだろう。
猫の額のわが庭にも、大きな世界の広がりを感じさせる自然の営みが存在するのだ。
さて、わがカツラや如何に。
葉の芽の脇から赤くヒモ状のような花が開きかけているのが分かる。地味な花だが、まだ枯れ木状態の梢では良く目立ち、春への期待が高まる。
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