メリハリの効いた冬至だった。
午前9時。
いつものように日だまりで新聞を読もうとして、その前に水やりのために出たベランダで周りの空気が柔らかく、いかにもフレンドリーなのに気づく。
風も北風ではなく、南寄りの微風である。
ネットで天気予報サイトを確かめると午後1時までは晴れ、2時からは雨になっていて、正午を過ぎると南風がやや強まり、2時には7,8mに強まるという荒れ模様の予報になっていた。
低気圧の接近がなせる業らしい。
フム、それなら"鬼のいぬ間"の2、3時間パトロールしてこれるなと思う。
上半身は長そでTシャツ1枚に薄手のダウンを羽織り、下半身は短パン。
ひざ下までのストキングだけで太ももはさらして走ろうかと思ったが、トシヨリノヒヤミズにならないよう、タイツをはいて出かける。
いざっ、漕がんかな!…の気合を込めたつもりである。
ところが、走り出してすぐに、目算が外れたことを思い知らされる。
まず、微風だったはずの南風が「えっ、こんなはずじゃぁ…」というくらいに強く吹き始める。
戻って日だまりでぬくぬく過ごしたい気分になるが、せっかく出てきたのに…と、とりあえず前に進む。
海辺に到着すると、風はますます強くなってくる。
それでも「ここまで来たのだから…」と、いつもの湘南海岸自転車道に乗り入れ、西に向かう。
しかし、そこからがいけなかった。
地下道を抜け、自転車道に入った途端、西寄りに向きを変えた風は完全なアゲインストとなってゆく手を妨げようとする。
おまけに、一層強さを増した風が砂を飛ばし始めるに及んで、こりゃぁ無理だとUターンして逃げ帰ってきた。
修行僧じゃあるまいし、砂礫の混じった強風に身をさらしてアゲインストの強風に逆らいつつ自転車を漕ぐなんて…
距離にして200m!
さっさと白旗を掲げて逃げ帰ってまいりました。
そして夕方。
砂礫に見舞われてざらつく髪の毛や首筋などを洗い流し、さっぱりした気分でユズ湯に浸り、一陽来復をかみしめたのでございます♪
富士山を中央に左に箱根連山、右に丹沢山塊の大パノラマはきれいに見えたのだが…=10:21 片瀬西浜
低気圧が接近しているせいだろう、富士山の頂には普段見かけないような雲が絡みつき始めていた
ただしこの段階では風は強まりつつあったものの、沖で波がしらが砕けるまでには至っていなかった
元気な女の子が海に入って寄せる波と鬼ごっこをしてはしゃいでいるくらい、気温も高かったのである=片瀬西浜
何とか自転車道に入ったが…=10:38 辻堂東海岸あたり
ほんの短時間のうちに風はさらに強まり、沖でも波がしらが砕け始めるのが見えた
南風がびゅうびゅうひゅうひゅう音を立て始める
細かな砂が飛び始め、礫となって顔に吹き付け始めた
沖の白波が目立ち始める
10:58 2枚目の白波のない光景に対してこちらは…
地元の漁師たちは「羊が群れ始めた」という
走れないので、漁港の写真でも撮ってから帰ろうと思ったら、土曜日なのに釣り船はもやったままなのに気づく
朝のうちは穏やかな海でも、やがて羊の群れが出てくるということを漁師たちは知っていて、どの釣り船もこの日の出船を見送ったとみられる
11:13 このころますます風が対くなってきた
漁港のボードウオークの上に停めておいたボクの自転車は2度も強風で倒された
1度は衝撃でチェーンが外れてしまい、手を汚さずに元に戻すのに知恵を絞ったが、海中に転落しないでよかった