確かに、1輪のバラを切り取ってきて花瓶に挿すだけで、例えそこがだだっ広く殺風景な空間だったとしても、その空間全体を引き締め直し、雰囲気をがらりと変えてしまうだけの力がバラにはある。
しかし、世の中というのはなかなか一筋縄ではいかないようにできている。
ここで突然だけれど、脇役のいない主役ばかりのドラマや映画について想像してみて欲しい。
でも、そんなドラマや映画は誰もお目にかかったことがないだろう。
百歩譲って個々人がこれまで見たり読んだりしてきた映画や小説などで印象に残っていたり、お気に入りのものがあったらそれを思い浮かべて見るといい。
その登場人物が全部主役だったらどういうことになるのか…
そんなものはあり得ないのだ。そもそもストーリーが成り立たないだろう。
そしてバラの世界というものがまさに主役ばかりの世界なのだと言っていい。
バラ園と呼ばれるところに行くと、それぞれの主役がズラァ~ッと並び、出自を紹介する名札とともにポーズをとって「どぉ ?」と艶然と微笑みを投げかけているに等しい。
世の中の物語はそんなことでは成り立たないというのに…
さて、横浜イングリッシュガーデンの秋バラその3をアップします。
その4はありませんから秋バラはこれでおしまい。
彼の庭ではバラだけがツンとすましてポーズを作っているということはなく、様々な植物と沢山の種類の花が手付かずの大自然の中でそれぞれがしっかりと位置を占めるように、にぎやかにさんざめいていましたよ。
主役が脇役で脇役が主役のようでもあって、至る所で狂喜乱舞のシッチャカメッチャカ ♪
(見出し写真はブッシングアイスバーグで、6~7本まとまめて植えられている。わが家にもまとめて3本植えてあるけれど、まだまだ道半ばでいる)