平方録

なまった筋肉を痛感する春

医者から止めらえていた自転車が解禁になったのが嬉しくて、昨日は都合の良いことに風も弱く明るい光がたっぷり降り注いでいたのでまた湘南海岸サイクリングロードに出て風を切ってきた。

ボクにとっての自転車は仕事に疲れた主に心を解放するために乗っていたもので、風を受けて体内の隅々の1本1本の毛細血管に到るまで血液を巡らせると、よじれてしまった神経の一つ一つがきれいにほどけて行って真っすぐにぴんと張り直されるのがはっきりと分かるくらいだったのだ。
今はそういう神経の張り直しという必要性は減ってきているが、それだって今の世の中を生きていればむかっ腹の立つことも少なくないし、自分自身に嫌気の差すことだって多々あるのだ。
そういう時に、いわば神経がねじれかけたりすると神経の方から「何とかしろ! 」というサインが届くんである。

自転車禁止中は、仕方がないから散歩したり近場の日帰り温泉に浸ったり、昼間っからやっている立ち飲み屋をはしごして飲んでいる人を観察したり、駅弁とカップ酒を買い込んで普通列車のグリーン車でぼんやり窓の外を眺めていたりしていたのだ。
庭仕事も重要なルーティンではあったが、しかしこういうことの積み重ねでは、体を鍛えておくという一方の要請とは少しかけ離れているのも事実で、人体の筋肉の70%を占めているという下肢の筋肉は目で見てわかるくらいになまってしまっていたのである。

こういう現実を目の当たりにするというのは、案外ショックなもので、つくづくじじい気分を味わわされることになった。
下肢の筋肉、わけても太ももの筋肉は第2の心臓と呼ばれるくらいの位置づけだから、これの衰えというのは正直目にしたくはないのだ。

足がダメなら上半身の腕を使うだけでいいシーカヤックを目の前の海で漕ぐという選択肢もあったのだが、随分前に手放してしまっていたし、完全リタイアの時によっぽど新艇を手に入れようかなと思って何度も店まで足を運んでみたりもしたのだが、結局その決断に至らなかったのが大いなる誤算で、つくづく見通しの甘さを露呈してしまったのだ。
腕の筋肉は太ももの代用にはなり得ないのだが、海に出て一人でぽっかり浮かびながらパドルを漕いでいると、これは自転車同様心を開放する効果は十二分に備わっている。
たかが40~50万円の安い投資で済んだのだが……

まあ愚痴はこの程度にして、昨日はまた湘南海岸のサイクリングロードの松林でウグイスの鳴き声を聞いた。
3日前の解禁初漕ぎの時に「ケキョ」だけの初音を聞いたばかりだが、昨日はもう一丁前に「ホォ~ホケキョォ~」と高らかに響かせていたのを耳にして、何となく微笑ましさを感じたもである。
ウグイスたちの得意顔が見えるようではないか。
相模川が相模湾に注ぎ込む大きな河口の左岸堤防まで行って戻ってきたが、曇り気味だった3日前と違って太陽はたっぷり陽を注いでくれていたので、それを全身に浴びるだけで十分に気持ち良かったのだ。

わが家に戻るのになるべく緩やかな坂を選んで帰るのが普通だが、あと1キロと迫ったところで距離のある急坂登攀で帰ってみる選択をしたのだが、もう3分の1でギブアップした。
1年半遊ばせていた太ももは相当緩んでいて使い物にならない!
取り戻すのに半年はかかるだろうなぁ~。やれやれ。



道が無い⁈ 相模湾沿いのサイクリングロードで自転車を押してきました!


3日前の春の嵐が吹き荒れたおかげで自転車コース上はいたるところで吹き飛ばされた砂が堆積して自演車の通行を阻む


こんな寸断箇所が100mおきくらいに続くから乗ったり押したり、押したり乗ったり…


相模川河口の奥には富士山が見えるのだが、春になると途端に見える回数が減ってしまう。右側に見える橋が国道134号の相模大橋


愛しのわが愛車。ピッカピカにしたばかりだが、もう砂にまみれて汚れてきた


春風に誘われて早速ビーチバレーコートに歓声が響き


こちらのコートではバドミントンの親せきのようなゲームに興じ


初心者を集めたと思われるサーファー教室の生徒たちは真新しい色も鮮やかなボードを手に広々とした海に詰め合うようにして入り、波に乗れる日を目指す?
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