床暖房で部屋全体が暖まるまではエアコンの力も借りなければ凍えてしまいそうな勤労感謝の日の朝だった。
去年の勤労感謝の日の翌日はめったに雪が積もらないわが海辺の町に、あろうことか1、2センチの積雪があったのだ。まさか…
こうなったら炬燵にもぐり込んで一歩も出ず、音楽を聴き、本でも読み、いずれにも飽きたらごろんと横になって目を閉じて過ごせばいい。
そう思い定めてリビングにしつらえてある掘りごたつのセットに取り掛かる。
言ってみれば越冬態勢の構築である。
日本人なら誰だって一度くらいは経験があるだろうが、どんな寒い日だろうが、木枯らしが吹きすさぶ凍えるような晩であっても炬燵の中にさえ潜り込んでいれば、それはぬくぬくとした別世界というもので、うたた寝しようがミカンを食べようが自由自在、自分だけの楽園が出現するんである。
おまけに、たかだか1メートル四方くらいの炬燵の内部を温めるのに大した熱源は必要ないから、エネルギーの節約という観点からも優れた暖房装置と言ってよい。
欠点は炬燵にもぐりこんだままだと自分自身の肉体に取り込まれるエネルギーを燃焼させるには都合がよろしくないから、身体の随所に燃焼しきれない脂肪がたまっていくことである。
冬眠する動物は冬眠の前にたらふく食べた後は春まで何も口にしないが、高度に脳を発達させた人間は脳を働かせるためにもエネルギーを供給し続けなければいけない。
しかし、悲しいかな必要最小限のエネルギー摂取とはどの程度のものなのかという判断も出来ないし、判断に必要な計量装置も身に付けていないのだ。
逆に欲望という底なしの袋をぶら下げていて、その袋は絶えず大口を開いているから欲深き人間は悲惨な末路をたどることになる。
自業自得、身から出た錆…エトセトラ、エトセトラ。
好事魔多し。苦あれば楽あり…じゃぁなかった逆だ、楽あれば苦あり。そうは問屋が卸さない。寸善尺魔。花に嵐。月に叢雲花に風。穴があったら入りたい…は関係ないか。
ま、物事にはリスクはつきもので、常に良いことばかりが続く道理がないという点さえ注意しておけば、炬燵は世界に冠たる暖房器具なんである。
その炬燵をしつらえてすっかりその気になって、よし、今年も炬燵布団のシミになってやると決意したら、昼過ぎにはあれよあれよと青空が広がって、うたた寝の快楽も味わわぬままさっさと炬燵から抜け出した。
畢竟、炬燵はどんより空の陰気な日の友であるべし、と言うことを改めて痛感し、クル病にならないように、身体内部に出来るだけ脂肪をためないように、青空の下に出たんである。
この場合、不思議なことに気温が高いか低いかは関係なく、太陽の光があるかどうかが分かれ道となる。
そこはちょっとイソップ寓話の「北風と太陽」に似ていなくもないのだ。
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電熱器が収まった掘り炬燵の底を掃除し
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足を下ろす底の部分にすのこを張り
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天板と炬燵布団を乗せる台を据え
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炬燵布団をかぶせ
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天板を乗せたら掘り炬燵の設置完了
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炬燵をつけている時は床暖房は切る。障子のような効果と機能を持ち、上下に折りたたんで使うカーテン様のブラインドを上げ下げすれば雪見障子のようにもなるから淡雪程度なら歓迎である
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この2枚が去年11月24日の関東南端の海沿いの町の雪景色