平方録

冷や汗三斗の圏央道

遠くに出かける場合、ボクは鉄道派で車はめったに利用しない。

今回、姫の誕生祝を兼ねて北関東の県庁所在地まで車で出かけたのは、行きと帰りに寄り道する算段を立てていたためで、駅弁をほおばりカップ酒などをちびりちびりやりながら景色を眺め、列車に揺られて行くのが性に合っているのだ。
小学生の頃には蒸気機関車の車庫である機関庫からそう遠くないところに住んでいたこともあり、時々蒸気機関車を見に出かけたものである。

ある時は学校の宿題の写生に蒸気機関車を描きに行ったら機関士さんがボクの絵を見てずいぶんほめてくれて、運転台に上がらせてくれたことがあった。
運転台の窓の上あたりにあった綱を引っ張ってみろと言うので引っ張ったら、それは汽笛を鳴らすための綱で、引っ張ると同時にものすごい音がして、それこそぶったまげたが、思えば管理の緩い牧歌的ともいえる良い時代だったのだ。

自分でいうのもなんだが、こういう経験も経ての筋金入りの鉄ちゃんなのだ。
ま、最近はすっかり「吞み鉄」だけれど鉄ちゃんには違いない。
JRの中長距離列車の良いところはトイレが付いていることである。
身近な横須賀線にも東海道線の電車にも設置されているのだ。
姫のところに電車で行く場合は湘南新宿ラインでも上野東京ラインでもわが家直近の駅から姫の暮らす町まで一直線の直通運転がされているから楽チンである。
グリーン車の2階席にでも収まってちびりちびりやりながら本を読み景色を眺めながら座っていれば運んでくれるのだ。

今回、その鉄道を捨てて車を使ったことで大いに慌てることが起きた。
トイレに困ったのだ。
新湘南バイパスに入り、圏央道、東北道経由で向かったのだが、わが家から70キロを過ぎた辺り、時間にして1時間半以上経ったころ、圏央道を走っていて小用を感じたのだが肝心のパーキングエリア(PA)もサービスエリア(SA)もないのだ。

路肩に止めて立ちションという最悪のシナリオが頭をよぎるが、最近の高速道路はうっかり路肩に車を止めようものなら後ろから暴走車が突っ込んでくるから、出来ることなら避けたい。
しかも八王子ジャンクション辺りから先は山の中を走っているせいかトンネルと左右にコンクリートの垂直の壁を立てたような、U字溝の底のような道路が続いていて、路肩らしい路肩もないのだ。

並走しあるいは追い抜いて行く大型トラックの波に注意を払い、そして尿意のコントロールに集中するというのはたやすいことではない。
もう万策尽きるかと思われたとろで現れた青梅インターで慌てて降り、料金所手前の広くなったところで立ちションして何とか事なきを得たが、冷や汗三斗である。あんな思いはコリゴリだ。

ネットで調べたところ、圏央道の全長300キロの区間にはPAが5か所あるのみで、SAは一か所もない。
300キロに5か所とは60キロに1か所の計算であり、トイレに困るという投稿が少なくなかったのもうなずける。
実際、圏央道に入ったばかりの厚木にPAがあったが、ここから次の狭山PAまでは54キロも離れている。
止むを得ず降りてしまった青梅インターから6、7分も先なのだ。

NEXCO東日本は東北道や常磐道などの放射道路のPA・SA配置との関係性も考慮した結果と説明しているようだけど、少なくても生理現象の前に54キロは開きすぎだろう。
利用者本位の視点っていうものが欠けてやしませんかってんだ。

歳をとって膀胱の柔軟性をも欠く年代になってしまったせいもあるのだが、これでもしも渋滞にでも巻き込まれていたら一大事じゃないの。
こうなるとやっぱり列車だな、移動は。ちびちびやりながらサ。














先日訪れた足利・鑁阿寺境内の紅葉・黄葉
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