海辺を離れた田園地帯をパトロール中、そう言えば去年オープンしたばかりの、自然の谷戸をそのまま保存して公園にしてしまった場所があるのを思い出す。
その一角には確か菖蒲田があったな…
アジサイはあちこちで見られるが、ハナショウブやアヤメとなると、その気にならないとお目にかかれない。
元よりカキツバタも加えて、どれがどれだか区別がついにくいが、今の時期の花である。
そう思って立ち寄ったのが藤沢市北部の遠藤笹窪谷公園。
広い谷戸全体が湿地になっていて、古くから人々が里山の一部として利用してきたところで、昔のままの姿が遺されてきた場所だった。
咲いていたのはハナショウブで、公園内に1800株が植えてあるそうな。
去年オープンしたばかりだから繁茂の具合はまだ途上のようだが、時期としては盛りの時期を迎えていて、良く咲いていた。
そして湿地という場所柄だろう、何よりトンボが多かった。
散策路からしか見られないから、それなりの制約はあるだろうが、朝夕などは様々な種類のトンボが群舞するのではと思わせるに十分な雰囲気で、訪れたのは真昼間だったが、多分オニヤンマが、それも見事に大きなオニヤンマが音もなく高速でパトロール飛行を繰り返しているのを見て、見惚れてしまった。
そして思い出した。田んぼが身近にあった小学生の頃、オニヤンマやギンヤンマを夢中になって追いかけまわしていたころのことを。
一方で『階前の梧葉すでに秋声』ってやつだなぁ…と、「少年老い易く…」の漢詩の一節が頭をよぎる。
人の気配がほとんどなく、コンビニの握り飯をかじりながら静かな時間の流れに身を委ねていた。

水中にはヤゴがいっぱいいることだろう

こういう水辺の風景も悪くない

キリギリスなどのムシの類も多そう

咲いていたのはハナショウブだそうだが

この時期になると思い出す歌がある

花橘も匂ふなり

軒のあやめも薫なり

夕暮さまの五月雨に

山郭公(ホトトギス)名乗りして 慈円

ワルナスビ

最近その存在を知ったばかりの帰化植物

キキョウソウが進出しているを見つけびっくり

公園への道すがら

田植えの光景に出くわす

こういう光景を見るとなぜか心が安らぐ

ヘラオオバコ

水路わきに数十メートルに渡ってびっしりと群れ咲き、ゆらゆら風に揺れていた