平方録

サラバ東京電力

これまで地域独占だった電力会社から買うしかなかった電力が、4月から自由化された。
6360万件余りの対象世帯のうち、自由化を受け入れて契約変更した件数は33万件余りで、全体のわずか0・5%だそうだ。
まだ戸惑いがあるのだろう。
わが家では早速この制度を取り入れ、東京電力との契約を打ち切って他のエネルギー大手が生み出す電気を使うことにした。

契約変更することで、確かに年間1万円弱は安くなるらしい。
が、しかし、それが魅力で契約を変えたのではない。
あの東日本大震災で福島第一原子力発電所が引き起こした炉心溶融などの重大事故に当たって、これまで無事で来られたことが信じられないような無能力さと無責任さをさらけ出し、今なお多くの住民を苦しめている事態を目の当たりにして、1日も早く東電との縁を切りたかったのである。
第一、当事者能力を失ってもそれすら気付かないような旧経営陣の鈍感さと傲慢さは一体何さまのつもりだったのか。あんな態度の会社の世話には1日たりともなりたくなかったのだ。身の毛がよだつほど嫌だったんである。

原子力発電所には思い出がある。かつて、新潟にある柏崎刈羽発電所を見学した時の案内の東電職員の言葉が忘れらない。
こう言ったのだ。
「ここにある原子炉が自然災害で壊れたり深刻な被害を受けることは決してありません。そうした設計になっているのです。もし、壊れたり被害に遭ったりするとしたら、厚い壁に直角に戦闘機が体当たりしたりすれば分からないけれど、そういう人の手になる故意の破壊行為以外はびくともしません」と。

なるほど、と聞いていたものである。
それを否定できる知識を持っていなかったのだから仕方がない。
世の中に流布されていた通り、それを疑う事もなく「原発は安全」と信じ込んでいたのだ。信じ込まされていたのである。

しかしなるほど、そう言われてみれば確かに、柏崎の職員の言うとおりなのである。
福島の原発で起きた事故は第一原因は確かに自然災害の大津波だが、自然災害だけであの重大事故が引き起こされたわけではない。
象徴的なのは、東電が15~16メートルに達する津波襲来の恐れ、可能性を事前に把握していたことである。
ただ、そんな津波は襲って来ないだろう、例え襲われたとしても大きな被害が出るとは考えられない、何とかなるだろう、という身勝手で無責任な対応を取ったがゆえに、防備の不十分な発電所が重大事故に見舞われたわけで、防潮堤など高くしたり、原発を冷却するための非常用電源などを充実させておき、事故時の対応の訓練を怠らないでいれば防ぎ得たはずであるという点において、まさしく「人の手による」怠慢と不作為によってもたらされた重大事故なのである。
世の中で引き起こされる重大事故はいつも決まって人が引き金を引いている、という事実が忘れ去られていたと言うしかない。

福島事故以前にだって、原子力発電を巡る東電の事故隠しは頻発していて、多方面から怒りを買っていたのが、ここに極まったのである。
そもそも無責任な会社だったのだ。信用していたがゆえに許せないんである。
そんな会社が造り出す電気など利用できるはずがない。他に選択肢がないならいざ知らず、選択肢ができたのだから替えるのは必然なのだ。
それが今回、契約変更を率先した最大の理由である。
本心を明かせば、電気料金が少しくらい割高になっても東電からは買うまい、とさえ思っていたんである。
これでようやく、気が済んだ。

原発はゼロに出来るのである。
しかも脱化石燃料さえ可能である。要するに、決断ひとつなのだ。あのコイズミジュンイチローさえそれを声高に主張しているではないか。
私も同感なのである。
ここでもあのアベなんちゃらが邪魔立てしているのだ。ったく…。




天気が悪く寒かったので冴えなかったが、満開の桜の下ではお茶が振る舞われ、琴の音が響いていた=2日の横浜イングリッシュガーデン
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