このブログでも何度か登場させている花の寺として聞こえた長谷の光則寺。
ここで今、寺が開かれて750年になるのを記念して本堂に施された鎌倉の伝統工芸「鎌倉彫」の格天井が特別公開されている。
寺院建築ではおなじみの火伏の意味を持つ龍図のほか、境内に咲く花をデザインした花園が天井に出現している。
龍図は構想から5年がかりで2020年に完成したもので、幅5m、奥行き4mの大作。
1枚の絵柄を91枚の板に分けて彫り上げ、格子にはめ込まれている。
ご本尊にお参りした際に顔を上げて天井を見た時に龍の眼とこちらの視線がぴったり合うようにできているそうである。
鎌倉には建長寺や円覚寺の本堂の龍図が知られているが、いずれも天井に彩色された絵柄の龍で、鎌倉彫の龍は日本中どこを探してもここだけではないか。
貴重なものを拝観してきたものだと思う。
内陣の天井とは好対照に、法事などで寺の本堂に上がった檀家が座る場所の天井も格天井になっていて、ここには境内に咲くウメやフジ、カイドウなど境内に咲く花がデザイン化されて136の板に彫り込まれ、天井にはめられていて本堂内に花園を出現させている。
こちらは龍図の完成に先立つ2015年に完成しているそうである。
いずれも完成時には完成披露の特別公開がされたようだが、まったく気が付かなかったので、今回2度目の特別公開をっ知ったときはこの寺にそんな珍しい格子天井がるなんて…といささかびっくりしたものだった。
これから先、1000年、1500年と時代を経るごとに、光則寺の「鎌倉彫の格天井」は輝きを増していくことだろう。
観光客に大人気の大仏と長谷寺に挟まれた深い谷戸の奥にひっそりと佇む光則寺 独特の形状をした屋根が人目を引く
普段は人気のない境内だが、特別公開中とあってにぎわっていた
本堂外陣の天井には境内に咲く花がデザインされた136枚がはめ込まれている
残念ながら本堂内は写真撮影が禁止されていたため、格天井を写した写真はすべてネットからの借用
焼香するときに天井を見上げると目と目が合うとされる内陣天井の龍
内陣の外側の参拝の人々が座る場所の天井には花畑が出現している
う~む、まさしく鎌倉彫の天井!
1000年後にこの格天井はどうなっているだろう…
製作工程を記録したパネルが展示されていて、それを接写してきた
1枚の絵柄を91枚の板に分けて彫り込み、塗りを施す前の段階で格子にはめたところ
様々な花が136枚の板に彫り込まれた
撮影OKのパネルの一例
境内ではモミジが少し色づき始めていた
コギクが群れ咲いている
日本の固有種のホトトギスも旺盛な咲きっぷり
カリガネソウ
段ギクかな
スズムシバナはそろそろ終わり
ショウキズイセン
ニオイバンマツリ
小粒のミカンが色づき始めていた
寺の境内でなければ一つ失敬して味見したいところだが…