ふんぞり返って実力を誇示するような先輩議員には一切逆らわず、逆にへりくだって相手を立て付き従う姿勢を示して何ら気にするところがない。
だから相手は上機嫌で応対し、あいつは見どころがある、オレの子分になりたいらしい…などと勘違いさせ、上機嫌にもしてしまう。
その実、情報収集能力にかけては右に出るものがいないくらいネットワークを張り巡らし、そうして得た情報の分析力、情報の先にあるものを見定める深い洞察力などいう物まで備えているから、実力は先輩議員など足元にも及ばないのである。
それでも普段の姿勢は全く元と変わりがない謙虚なものだ。
そういう訳だからなかなか油断のならない男で、国政の場だって並みの議員は手玉に取られているはずだ、とも。
地元神奈川の自治体の長の一人がそういう人物評を語ってくれたのを思い出している。
99代総理大臣に選ばれたガースについて、国政に進出して総務大臣を務めるようになっても、一旦地元に戻ればこの姿勢は何ら変わらなかった、と。
残念ながらボクには仕事上でまったく接点はなく、2009年か10年ころに1度だけ会食したことがあるが、この時はもっぱら聞き役に徹していたことと酒を一切口にしないので全く静かに座っているだけという印象しか残っていない。
しかもこの時はダイエット中だとか言っていて、痩せこけた姿で現れて病気じゃないかとさえ思ったくらい、印象が薄かった。
だから、これが県政界のドンを手玉に取っているというのも信じられない気持ちだったのだが、今まさに国会議員どもも手玉に取って国政の頂点に立ってしまったのだから、やはり驚かざるを得ない。
そのガースの口からこぼれてくる新しい政権像は「アベなんちゃらの継承」だという。
寄りに寄って憲法も法秩序も全く無視するような政権のありようを継承するとは絶対に許せない。いくら番頭として8年近くも政権を支えてきたからと言って、気は確かかと思うのだが、ちょっと待てよ…という気持ちも若干だがあるにはある。
どういうことか。
つまり、ヤツの得意技は前述したように恭順の意を表して何ら恥じ入るところも無く、逆に相手を気持ちよくさせてその裏で実権はチャッカリと握ってしまうというものだ。
ならば「アベなんちゃらの継承」なんてのも、看板はでかでかと掲げて周りを安心させておいて実際には換骨奪胎し、周囲が気が付く頃には自分の思うままに仕事をしているのではないか…という儚い期待である。
本当に田舎の農家の長男坊を自認し、「国民のために仕事をしたい」と心底思っているのであれば、苦労人の意地も見せてもらい、アベなんちゃらたちのようなチャラチャラした2世3世議員たちの苦労を知らない人物が国を動かすより、少しはましなんじゃないかというのが根拠である。
けっして本心をのぞかせず、油断のならない男――多分それが真実なんだろうが、東北の雑草魂というようなものも、ぜひ見てみたい気がするのだ。
それがアベなんちゃらの番頭だった男だけに、余計にそうした豹変する姿を見てみたい思う。
今は騙されるのも覚悟しつつ…
(見出し写真は道端に咲いていた他の色が複雑にまじりあったオシロイバナ)