「あれっ、オレの足ってもう少し長くなかったっけ…」
先日、風呂場の全身を写せる鏡をチラッと見て、そんな風に感じた。
ボクの記憶の底にある「ボクの全身像」は短パンから長く伸びた足にひざ下までのストッキングを履き、パンパンに張った太ももや強靭なふくらはぎの筋肉を躍らせてサッカーボールを追う姿だ。
しかも、全身に占める足の比率はと言えば、少なくとも51%は超えていただろう。
胴長短足と言われた平均的日本人像からは、その段階で脱皮していたのである。
だから授業が終わって練習着に着替え、一段低くなったグラウンドに向かうスロープ付近には‶帰宅部〟の女生徒たちが、さっさと帰ればいいのにたむろしていて、ボク(ら)の颯爽とした姿をマナコの奥に焼き付けてから満足して帰っていくのだった。
それが今秋、大腸の内視鏡検査でポリープを取った際、数が多かったので念のため1泊させられ様子を見たのだが、入院に際して身長と体重を計らされた。
看護師さんが読み上げたボクの身長は何と「172cm」。
そんな馬鹿な!オイラの身長は173cm超のはずだぜ…何かの間違いじゃないかと思って、「エッ!?」と声を出すと、優しい看護師さんは「もう一度計ってみましょうか」と言いつつ再度測り直してくれたが、結果は同じ。
まぁ、あの病院の身長計測器がおかしいんだろうが、やはり「172cm」は変わらなかった。
半世紀に渡って信じ込んできた「173」という数字があっさりと否定された瞬間でもあった。
じゃァ原因は何だ?
前々から違っていた?…んなわけないだろっ!文部省ってのは中学生にも高校生にも毎年繰り返し身体測定なんてのを義務付けていたから、中学から高校にかけて「173」に達した後は変わらなかったんだし…
所管が文科省から厚労省に変わったからと言って身長の数字まで変えちゃうのかい。
それともトクガワイエヤスが言ったように「人生は重荷を背負って歩き続けるようなもの」だとすると、重荷のお陰で縮んじまうってことだろうか。
まっ、どちらにしたって、これは俗にいうところの「縮んじゃった」ってことなんだろうと推測が出来るってものだ。
そんなに簡単に伸び縮みしてたまるかと思っていたが、ついに我が身にもそれが及んだってことなのか…
「ブルータス、お前もかっ!」じゃなくて「ボクよ、お前もかっ!」ってやつだな。
別に世間に恐縮して頭を低くして生きているわけでもなく、片隅だけど伸び伸び生きてるつもりだが、それでも縮んじゃうんだ…
だとしたら随分と切ないことじゃないか。
晩秋の風が身に染みるぜ…

14:30 よく晴れていたので富士山が見えると思ったのだが…

ほぼ同じ距離(60km)にある伊豆大島はこんなに良く見えていた